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月ぬ走いや、馬ぬ走い の商品レビュー

4.6

20件のお客様レビュー

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2024/09/30

恐ろしいほどの才能を読んでしまった 著者わずか21歳、沖縄での大戦とZ世代を往来するパラレルワールド ウイリアムバロウズのカットアップ手法を彷彿とさせるぶっ飛んだ文体 それは、ドアーズからカートコバーン、AWITCHまでを飲み込む圧倒的なバースのセンスと、有無を言わさぬレペ...

恐ろしいほどの才能を読んでしまった 著者わずか21歳、沖縄での大戦とZ世代を往来するパラレルワールド ウイリアムバロウズのカットアップ手法を彷彿とさせるぶっ飛んだ文体 それは、ドアーズからカートコバーン、AWITCHまでを飲み込む圧倒的なバースのセンスと、有無を言わさぬレペゼンうちなーぐちの完璧なるマッシュアップ そして鮮やかなまでの鎮魂詩のラスト 何から何までやられました アナーキー・イン・ザ・OKINAWA この才能は未来を変えると思いました

Posted byブクログ

2024/09/20

またものすごい新人登場。 作者がどんな人物なのか知りたくなる ほどの傑作。 今年読んだ中でNo.1。前回の芥川賞の候補にあがらなかったのはなぜ?少し遅かった?芥川賞はこれでしょう。 章の最後を数珠繋ぎにすることで、世界の連環を示唆し空間と時間を自由に行き来する。 このアイデア!...

またものすごい新人登場。 作者がどんな人物なのか知りたくなる ほどの傑作。 今年読んだ中でNo.1。前回の芥川賞の候補にあがらなかったのはなぜ?少し遅かった?芥川賞はこれでしょう。 章の最後を数珠繋ぎにすることで、世界の連環を示唆し空間と時間を自由に行き来する。 このアイデア! 沖縄が舞台なのが、またいい。 大戦のおそらく最も悲惨な現場であり、現代のおそらく最も困難な現場である沖縄。マジックリアリズムが生き続け、リアリズムが人々を翻弄し続ける沖縄。 矛盾を抱えた沖縄が重層的に語られる。 しかも、この切れ味。 この読みやすさ。 この人はどんな話し方をするのかな。 どんな人生を生きてきたのかな。 2003年生まれの大学生。どれだけ濃密な人生を歩いてるのだ⁈

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2024/09/18

▼配架・貸出状況 https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00555488

Posted byブクログ

2024/09/18

読みにくい。けど、文字を拾い始めると止まらない。 色々思うことがあるのだけど、とにかく著者の中に何人いるんだろうと思うくらい、各登場人物が確立されている。 特に、ケンドリックの妻と、愛依子とヤリたい男の子との差がすごく、これ同じ人が書いてるんだよな…?となった。 途中まで単話の...

読みにくい。けど、文字を拾い始めると止まらない。 色々思うことがあるのだけど、とにかく著者の中に何人いるんだろうと思うくらい、各登場人物が確立されている。 特に、ケンドリックの妻と、愛依子とヤリたい男の子との差がすごく、これ同じ人が書いてるんだよな…?となった。 途中まで単話の様に捉えて読んでいたけど、登場人物たちがみんな何かしらの形で繋がっていることに気づく。沖縄のみならず、私たちが今生きているのは、先人たちの命のおかげで、今が地続きであると思い知らされる。 沖縄の文化的で先祖や周りを大切にするあたたかさ、逆に言うと、閉塞感もあり誰かが誰かの知り合いである世間の狭さ、みたいなのも感じた。 1番最後、苦しくなったな。みんな幸せになるために生きているはずなんだ。

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2024/09/12

お盆の日には海へ行ってはいけない。そう言われていたのに少年少女は海へ遊びに行き、そこで戦時中に亡くなった日本兵の亡霊を目の当たりにする。それぞれの物語が、ある一人(一人称で語られる)の物語の終わりからそのまま言葉が続いて他の人の物語に移っていく。行間が空いているから物語が変わった...

お盆の日には海へ行ってはいけない。そう言われていたのに少年少女は海へ遊びに行き、そこで戦時中に亡くなった日本兵の亡霊を目の当たりにする。それぞれの物語が、ある一人(一人称で語られる)の物語の終わりからそのまま言葉が続いて他の人の物語に移っていく。行間が空いているから物語が変わったことがわかるのだけど、戦時中、戦後、そして現代に至るまで脈々と続いてきた歴史を、しかも一人の人間の視点から描かれていくことに泣きそうになったりもした。それぞれの時代のどうしようもない空気感、目に見えずとも逃れられないものが覆いかぶさって憂鬱にもなる。沖縄の言葉の心地良さと相まって物語の内容が際立ち胸がざわざわする。 戦争というものが残してしまったものとはいったいなんだったのだろうとも思うし、そこにとどまらず見え隠れする様々な問題の大きさに足がすくむような感覚にもなる。 沖縄の土地に生まれたわけではない私がとやかく言う資格はあるのだろうかとも思うし、そうじゃなくても考え続けることや思うことはしなくてはいけないなと。 最後のパウル・クレーの絵、そして谷川俊太郎の詩、そしてなにより島尻オバアの言葉で少し心が軽くなった。

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2024/09/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

こんなのあり? この作家、一体人生何周目? 本を読むより先に、著者の情報を知ってしまったがために思ったこと。 この人は人生何周目でこの本を書いたのだろうか。まるで本人が経験したことかのように、それぞれの世代の話、会話が書かれる。 決して読んでいて気持ち良い内容ではない。 それは目を逸らしたくなる、ダークサイドだから。 世間が思う、るるぶの沖縄ではない。 きらきらしていない日々の暮らし。 沖縄という土地、リゾート地観光地とは正反対の顔を見せる。 ニュースで知る沖縄。 そんなこと、どうしておこるの? 本書では明らか描かれてはいないけれど、これはあの時代の出来事、これはあの事件などの話を元に書かれている。 細やかにわかる。 リアルだし生々しい。 ※これら沖縄戦、ベトナム戦争、事件を知らなければ、?な場面もあるのは確か。是非に調べてもらえればと思う。 抜け出せない。 抜け出したいのに抜け出せない。 沖縄の追加された風土(日本で唯一決戦があった土地・戦後の基地)は糸車くるくるのようにからめとられ、止めようとしても未だ永遠まわるかのよう。 個人の人生が、そこに絡め取られると抜け出すのが難しい。 染み付いてしまう。 当たり前の生活として受け入れてしまう。 それが沖縄の今だとも思う。 ハレとケ。 光と闇。 それがリアルに沖縄では起きている。 ドラマのフィクションではない。 だから読んでいて、辛く悲しく、どうしようもなさの叫びに思えた。 月ぬ走いや、馬ぬ走い 光陰矢の如しとある。 時間はあっという間に流れる。 それなにの「まだ」抜け出せていない。 幽霊。 現実か非現実か。 ぼんやり、いい加減、あやふや、気のせい。 しっかり目を見開いて、沖縄の現状と未来を見る必要がある。

Posted byブクログ

2024/09/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人が入れ替わり立ち替わり語る、語る、語る。 黄金言葉「月ぬ走いや、馬ぬ走い」…時間を大切にしなさい、けれど苦悩は結局なくなってしまうものだから投げ捨ててしまいなさい!その力強さ、しなやかさが凛と立って背骨になり、人の支えになっていく。 死んでしまった人たちもかつては生きていて、私たちもその流れの中にある。月ぬ走いや、には朝の紅顔夕べの白骨というような無常さも漂っている。私もいつかは死んでしまう。でも今は生きているのだから、今を大切に、生きている人死んだ人みな大切にしようと、この本を閉じた時に思いました。

Posted byブクログ

2024/08/31

新人賞の作品とは思えなかった。すごい作品だ。沖縄という土地の血と汗と光が溢れている。そして、私の先祖が沖縄にあることも相俟って、非常にこう、没入して読んでしまった。これからの作品もとても楽しみ

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2024/08/30

 古川日出男の小説を思わせるドライブ感で沖縄の近現代を生きた名も無き人々の声を召喚してみせた作品。一つのエピソードの脇役が別のエピソードの主役になっていく展開など構成上の工夫も見事だが、本作が切り出してきた「現場」のアクチュアリティには感心させられた。沖縄戦の時代から始まり、朝鮮...

 古川日出男の小説を思わせるドライブ感で沖縄の近現代を生きた名も無き人々の声を召喚してみせた作品。一つのエピソードの脇役が別のエピソードの主役になっていく展開など構成上の工夫も見事だが、本作が切り出してきた「現場」のアクチュアリティには感心させられた。沖縄戦の時代から始まり、朝鮮戦争、ベトナム戦争、「本土復帰」、1990年代の沖縄がそれぞれ経験してきた出来事を背景に、懸命に、しかし決して仕合わせには生きられなかった人々の声が畳みかけるように、折り重なるように積み上げられていく(逆に言えば、それだけ沖縄の近現代史は惨酷な記憶が累々と積み重なっている、ということだ)。リサーチ力も筆力も卓越していて、次回作が楽しみ。

Posted byブクログ

2024/08/28

沖縄戦について関心を持って知ろうとしてこなかったなと痛感した。戦中のことはもちろん戦後のことも。終戦から何十年というひとまとまりの単位でしか認識しておらず、その何十年には一日一日その日ごとの出来事が積み重ねられている。その一日一日には戦争の影響がずっと日々の暮らしに及んでいるのだ...

沖縄戦について関心を持って知ろうとしてこなかったなと痛感した。戦中のことはもちろん戦後のことも。終戦から何十年というひとまとまりの単位でしか認識しておらず、その何十年には一日一日その日ごとの出来事が積み重ねられている。その一日一日には戦争の影響がずっと日々の暮らしに及んでいるのだと感じた。 時代も性別もバラバラの複数人で語られる本作は、生々しい感情と状況を連想させる。でも全ては繋がっている。日本兵が米兵と遭遇して殺し合う場面や洞穴に隠れる同国者である母子を殺害する場面、現代の中学生の学校での行動や恋愛、戦後に女性が生きていく上で直面したアメリカからの日常的な性暴力や生き抜く手段、男に失望しながらも依存してしまう貧困家庭での母子の束縛と反発、などこれだけではなく色々と場面転換しながら沖縄を舞台に描かれるどれもが生々しい。矛盾しているようだが、「死」に「生命」を感じるような感覚で読んでいた。 実は一通り読み通すだけで結構時間もかかり話にのめり込めないところもあったのだが、日が経つほどにもう1回読んでみたい気になっている(読み終えてから1週間くらいになる)ので、しはらくして再読してみようと思う。

Posted byブクログ