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砂嵐に星屑 の商品レビュー

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13件のお客様レビュー

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2024/09/11

カテゴリは”お仕事もの”。『君たちに明日はない』シリーズは全部読んだな。『この世にたやすい仕事はない』とか『コンビニ人間』も、お仕事ものか。  「日本人は仕事というものをいじましい位に大事にしている」ってなことを誰かの書評か解説で読んだ気がする。非正規雇用者でも、先が見えてる中高...

カテゴリは”お仕事もの”。『君たちに明日はない』シリーズは全部読んだな。『この世にたやすい仕事はない』とか『コンビニ人間』も、お仕事ものか。  「日本人は仕事というものをいじましい位に大事にしている」ってなことを誰かの書評か解説で読んだ気がする。非正規雇用者でも、先が見えてる中高年でも、単にお金を得るだけじゃない何か(やりがい?)を求めてしまう価値観。それがこの社会の息苦しさの要因でもあるし、現場が何とか円滑に回ってる要因でもある。マネジメント不在で、声の大きさやポジション取りの上手さで人の上に立ってられるのも、この不思議な価値観が共同幻想として信じられてるから。そういう自分もやってらんねーよ、と思いつつも、あからさまに手を抜くのは好きじゃなかったり。  一穂さんの作品は2作目。『スモールワールズ』が強烈な印象だったから、1話目、2話目は案外普通だなーと感じてしまった。3話目、4話目がらしくて良かった。「よるべになりたい」とか「惚れてもええんやで」って言いたくなる相手に出会えることだけで幸せかも。不器用だからつらさもあるけど。  しかし、神戸の人にとって阪神淡路大震災(もう29年前か)は身近で人が亡くなる大きな出来事やったんやなあ…

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2024/09/01

生き辛さと生きる希望のようなものが、分かり易く描かれてる。こういう話で、あまり多くの人には馴染みのない、むしろ、話中でも軽く触れたりしているが反感を持つことも多いかもしれない、テレビ局スタッフが題材というのは目新しい気がした。連作短編で、いち短編の登場人物が他の短編でも絡んでくる...

生き辛さと生きる希望のようなものが、分かり易く描かれてる。こういう話で、あまり多くの人には馴染みのない、むしろ、話中でも軽く触れたりしているが反感を持つことも多いかもしれない、テレビ局スタッフが題材というのは目新しい気がした。連作短編で、いち短編の登場人物が他の短編でも絡んでくる構成はやっぱり大好き。最初の話だけチラッとファンタジー入れたのは異色だが、結構リアルに人の嫌なところを突いてくる。まんまと最後に感動してしまうので、そのノリで自分の仕事も頑張って行きたいもんだと思った。

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2024/08/27

四季に合わせて、主人公が変わる 同じテレビ局で働く中で通ずるものもあるが、 それぞれの性別、キャリア、年齢で 置かれる状況や物の見方があるのが非常に面白かった。 晴一の心情が、自分とリンクしており 心に響いた。

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2024/08/25

自分とは全く異なる業界の、全く異なる年代の悩みなのについ感情移入をしてしまう話だった。短編集だが登場人物は同じ局で働いているため、時折それぞれの人生が交差する時があり、読んでいて飽きなかった。他人の人生を覗き見したらこんな感じなのだろうか、とすごく新線な気分だった。 テレビ局に...

自分とは全く異なる業界の、全く異なる年代の悩みなのについ感情移入をしてしまう話だった。短編集だが登場人物は同じ局で働いているため、時折それぞれの人生が交差する時があり、読んでいて飽きなかった。他人の人生を覗き見したらこんな感じなのだろうか、とすごく新線な気分だった。 テレビ局に働く登場人物たちは、華やかな世界ながらも皆それぞれ違う悩みを抱えている。誰もが完璧ではないし、でもその人なりに色々思考を巡らせて毎日一生懸命生きて働いている。白か黒ではなく、グレーがあって、誰だってその人なりの苦悩や背景があることを思い出させられた。 題名がおしゃれで、でもすごく伝わるメッセージで気に入った。砂嵐の中、ほとんど見えないほんの小さな星屑だけれど、星屑なりに光ってる。 読後、スッキリ感とか強烈な印象は無かったが、温かい気持ちになったので、手に取って良かったと思う。

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2024/08/24

テレビ局で働く人たちの群像劇。 内容は全然キラキラしてなくて、不器用でちょっと情けなくて何だかうまくいかない…そんな人ばかり。でもそれぞれの落とし所がささやかなんだけど絶妙に良い。 一穂さん、全作読みたい!

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2024/08/18

テレビ局で働く人が主役の短編集。 章ごとに主人公と季節が変わる。 前の話が次の話とつながってくる、読んでいて楽しかった。 春、夏、秋、と読んでいた時は日常の一部…だけどちょっとした非日常が起きた時の話で読んでいて軽かった。 冬の章もそうだが、仕事に対する考え方、取り組み方が自分と...

テレビ局で働く人が主役の短編集。 章ごとに主人公と季節が変わる。 前の話が次の話とつながってくる、読んでいて楽しかった。 春、夏、秋、と読んでいた時は日常の一部…だけどちょっとした非日常が起きた時の話で読んでいて軽かった。 冬の章もそうだが、仕事に対する考え方、取り組み方が自分と重なったのか、すごく満足度が高かった。 「傷つきやすいくせに無神経」読んでいて自分のことを省みていた。 一穂ミチさんの本は、「光のとこにいてね」しか読んだことなかったので、恋愛描写が必ず入ると思い込んでいたが、そうでない作品もあることが知れて良かった

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2024/08/18

テレビ局と言っても、アナウンサー、タイムキーパー、報道局員、派遣社員のADなど立場は様々。 悩みも様々。 明らかに向いていない仕事をしている派遣社員ADのお話「眠れぬ夜のあなた」が1番好きだった。 要領悪くてどん臭い、アポ取りとか駆け引きとか大の苦手なのに流されるだけ流されて芸人...

テレビ局と言っても、アナウンサー、タイムキーパー、報道局員、派遣社員のADなど立場は様々。 悩みも様々。 明らかに向いていない仕事をしている派遣社員ADのお話「眠れぬ夜のあなた」が1番好きだった。 要領悪くてどん臭い、アポ取りとか駆け引きとか大の苦手なのに流されるだけ流されて芸人への密着取材のVの仕事をすることになったお話。 周りの人たちがみんな器用に見えて羨ましくて、なんで自分ばっかりと卑屈になって、心の中で毒付く事はできても口にする勇気はない。 わかるわかる。 もうねそういう星の元に生まれたと思うしかないのよね 芸人の青年が爽やかでそつなくて何でも出来ますっていう雰囲気なのにどん臭い晴一のことを何故か気に入ってくれたのが嬉しかった。 取材がおわっても、関係が続くといいなと思える二人。

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2024/08/05

大阪のとあるテレビ局で働く人々を描いた連作集。 全4編の中で一番好きなのは一話目で、ある出来事によって周囲から腫れ物扱いされるようになった女性アナの心情をリアルに描きながら、まったく違和感なくアンリアルな幽霊話を自然に成立させている点が面白かった。 この話に限らず、秘密や悩み、そ...

大阪のとあるテレビ局で働く人々を描いた連作集。 全4編の中で一番好きなのは一話目で、ある出来事によって周囲から腫れ物扱いされるようになった女性アナの心情をリアルに描きながら、まったく違和感なくアンリアルな幽霊話を自然に成立させている点が面白かった。 この話に限らず、秘密や悩み、そして喪失感を抱えている登場人物たちの心の機微が、繊細かつユーモアを交えて丁寧に描かれ、それが大阪弁のリズム感ある会話に乗せられて読み心地がとてもいい。まさに一穂ミチの本領発揮といったところではなかろうか。ストーリー展開も工夫されており、どの話も途中まで脇役に徹していた人物がみな終盤思わぬ一面を垣間見せ、読後に強い印象が残るあたりもうまい。 あえて難癖をつけるとすれば、舞台がテレビ局というのは市井の読者からしたらやっぱりちょっと特殊で、自身に置き換えて共感するというのはちょっと難しいかなという気がしたんだけど、それを差し引いても普通にいい作品だと思った。

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2024/08/01

平成の中で一番印象に残っているのは。 と聞かれたら。。私には何があるのか。 仕事に埋没していた日々とそれから現実逃避しようともがいていた。 一穂さんの作品は直木賞を受賞した「ツンデミック」のような、その時々の事象が絡むから面白いし、考えさせられる短編集 最初の2編以外は、すこしば...

平成の中で一番印象に残っているのは。 と聞かれたら。。私には何があるのか。 仕事に埋没していた日々とそれから現実逃避しようともがいていた。 一穂さんの作品は直木賞を受賞した「ツンデミック」のような、その時々の事象が絡むから面白いし、考えさせられる短編集 最初の2編以外は、すこしばかり情けない(私自身にも似た)人が描かれる。 ただこんな人達は以外に多いのかもしれなくてたからこそ共感する。 名もなき星屑も、どこかで星座をかたどってるかも、と、とりあえずもう少しがんばりますか。と言う読後感である。 そして、知らない業界であるからこそ、読んでいてかなり楽しかったのは否めなく、辛い事象が多い中すんませんって感じです。

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2024/07/31

テレビ局って確かに華やかなイメージある。 でもそこで働く人達だって人間だから辛いこともある。 テレビ局で働く世代が異なる登場人物それぞれの リアルな描写が刺さる。 これを読んで、よし仕事を頑張ろう!とはならないけどもう少し頑張れるかな?とそっと心の支えになってくれる。

Posted byブクログ