弱い円の正体 仮面の黒字国・日本 の商品レビュー
経常収支は黒字でもキャッシュフローから見た円の実需はマイナス。インバウンドを打ち消して余りあるデジタル赤字も寄与。当面この流れは変わらない。貯蓄から投資への移行で家計までもが円売りに走る可能性が高い。これらが相まって長期的には円安基調が続く。 実に真っ当な結論で、誰も異論は無いよ...
経常収支は黒字でもキャッシュフローから見た円の実需はマイナス。インバウンドを打ち消して余りあるデジタル赤字も寄与。当面この流れは変わらない。貯蓄から投資への移行で家計までもが円売りに走る可能性が高い。これらが相まって長期的には円安基調が続く。 実に真っ当な結論で、誰も異論は無いように思える。原因を突き詰めれば人口動態だと思う。シュリンクすることが確実な市場に誰が投資しようとするだろうか。その意味でもう手遅れのように思われる。 この事実を踏まえて、今後我々日本人がどのような社会を選択するのかが問われている。外国企業の直接投資を処方箋として挙げていて、それで経済統計は持ち直すだろうが、当の日本国民がハッピーになるだろうか?外国企業に雇用される具体的な姿が思い浮かばない。少なくともジョブセキュリティはうんと下がる気がする。格差も広がるだろう。 このまま何も手を打たず円安が進んで日本が三流国家になったとして、それとどっちがマシなのか? それぞれが具体的にどのような世界になるのか頭の良い人にシミュレーションで示して欲しい。進路を決めるのはそれからだと思う。
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円の売れる要素が、あまり見当たらないため、円安になりそうです。円が売れるように、産業構造を変えていかないといけませんね。金融面やサービス面での議論が多かったですか、農産物の輸出を頑張ってみるとどうなんでしょうか?
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先月の植田ショックで少し円高にはなったけど、相変わらず円安なことには変わりない昨今。本書がその真因に迫っているということで読んでみた。 読んでみて思った。これは円安になっても仕方ないと。 AWSしかり、Azureしかり、Googleしかり、クラウドサービスは外資ばかり利用してい...
先月の植田ショックで少し円高にはなったけど、相変わらず円安なことには変わりない昨今。本書がその真因に迫っているということで読んでみた。 読んでみて思った。これは円安になっても仕方ないと。 AWSしかり、Azureしかり、Googleしかり、クラウドサービスは外資ばかり利用している(これをデジタル小作人というらしい)けど、逆に外国人が日本のクラウドサービス使ってるとは考えにくいしね。 新NISAでの投資先もオルカンだのS&P500だの、外国株ばかりだし、そりゃ円安になるよねと…。 円安によってインバウンド需要はあるけど、それに対応する人材が減っていく現状を考えると、それ頼みというのは難しいのだろうなと。 『図表1-20 日本における思考停止(brain freeze)』で特許数における日本が占める割合のグラフが載ってたけど、どの分野も右肩下がりで衝撃。日本はそのうちノーベル賞をとれなくなると聞くけど、それがよくわかるグラフだった。 ただし、ちょっと見方が分からない。「ブロックチェーン技術」というグラフがあるけど、1990年代から始まってるように見える。ブロックチェーンという技術が発明されたのは2008年だそうだけど、どういうことなんだろう? アイルランドにグローバル企業が集積しているというのはなんとなく聞いたことあったけど、思ったより影響力が大きくて驚いた。一概にそれがいいわけではないようだけど。 新NISAについては自分も活用しているし素晴らしい制度だと思うけど、もう少し国内投資優位な制度にしてもよかったんじゃないかと思った。 つみたて枠はともかく、成長投資枠は日本株、もしくは日本株に投資する投資信託のみとしてもよかったのかもしれないと思う(といってる自分も、成長投資枠の半分は外国株の投資信託購入してるけど)。 それにしても、「安全資産の円買い」とか「リスクオフの円買い」っていったいなんだったのだろうと。正直、いまだに震災が起きて円高になったのがなぜなのかいまいち分かってない(今はその法則がなりたっていないらしく、今年の能登半島地震でも円高にならず、むしろ少し円安になったそう)。 円安になったら輸出数量が増加するはずなのだけど、どうも今の円安下ではそうなっていないらしい。まあ、いくら安くなっても需要がないと買われないしね…。 『図表4-5 世界の主要株価指数』のランキングにおいて、2024年3月までの過去1年間に株価が上昇した国ごとのランキングが載っていて日本は10位とのこと。そして、上位10国の対ドルの自国通貨はどれも下がっているとのことで、それが要因の一つというような感じで書かれてる。のだけど、2位のエジプトは対ドルにたいしてたった-0.8%という。エジプトはなぜこんなにあがったのだろう。 この円安の状況に日本ができることは、対内直接投資を促進させることだという。 どうやら、岸田政権は対内直接投資を促すことに積極的だったらしく、それによってTSMCの工場が熊本にできたり、海外企業によるデータセンターの建設が増えたりしているそう。 さらに、外資の企業は給料(時給)も高い傾向にあるとのことで、TSMC以外にも、群馬県にできたコストコの時給が群馬県の最低賃金の1.5倍以上だとのこと。 外資企業にとっては、日本は安いということだけど、むしろそれをいかしていくということかな。それがインフレ圧力になって国内企業も給料をあげていく傾向にあるのなら、いいことだと思う。 それにしても、岸田政権ってそんなに悪くなかったよなと思った。 支持率やけに低かったけど、ほとんど他の自民党議員の行いが原因じゃないかと思ったりしてる。
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『#弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』 ほぼ日書評 Day799 戦後の原則的に円高を基調とするトレンドは、円安基調に転じているという。 ウクライナ侵攻や、能登地震に際しても、有事の円買いが進まなかった(東日本大震災という国を揺るがすような災害に際しても円高が進んだのは記...
『#弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』 ほぼ日書評 Day799 戦後の原則的に円高を基調とするトレンドは、円安基調に転じているという。 ウクライナ侵攻や、能登地震に際しても、有事の円買いが進まなかった(東日本大震災という国を揺るがすような災害に際しても円高が進んだのは記憶に新しい)ことは、この事実の強い証左だ。 一方でその理由だが、もはや日米金利差等の要因では説明できず、背景にはもっと大きな構造的要因がある。 キャッシュフロー(CF)ベースでの円の流出に著者はその根本要因を求める。 日本は世界最大の国際収支黒字国として知られるが、海外で稼いだカネが国内に還流せず、海外にとどまる結果、CFベースでの円の流出が加速し、円安を招くのだという。 「オルカン」ブームをもたらした新NISAも(新聞等で家計部門の円売りといわれるように)この傾向に拍車をかけるものとなった。 新NISA制度設計者もこのリスクに気づいていなかったはずはなく、関係省庁一体となっての「確信犯」だったと推論する。 オルカンで海外投資した者は勝ち組(円安のメリットを享受)となれそうだが、結局は国内物価がコストプッシュインフレの影響を受け、生活水準の低下につながる。 そうした投資のできなかった低所得層においては、円安に対抗するためのコストダウン(実質所得の切り下げ)の波をかぶることとなる。 評者の理解不足で用語等が不正確だった場合にはご容赦願いたいが、著者の現状分析の大要は以上であり、評者もある程度は同意できる議論と感じた。 一方で、ではどうするか?という対策の部分については、あまり腑に落ちる内容が無かったのが残念だ。 https://amzn.to/4dRrPnV
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今の円安の構造を、思い込みではなくデータや多面的な角度から考察している。 デジタル赤字以外にも外資系コンサル赤字なども存在し、それは、金利という要因だけではなく、根本的に今の日本の経済・社会状況に起因している。 為替要因として、インバウンド需要や、新NISAもたまに上げられる...
今の円安の構造を、思い込みではなくデータや多面的な角度から考察している。 デジタル赤字以外にも外資系コンサル赤字なども存在し、それは、金利という要因だけではなく、根本的に今の日本の経済・社会状況に起因している。 為替要因として、インバウンド需要や、新NISAもたまに上げられるが、果たしてGDP対比で見た時にそれはどのくらいの割合なのか。冷静になって考えることができた。
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日経の大暴落、円の急騰を横目に読了。 為替は金利差だけでなく、様々な要因で決まっていることを知り、勉強になった。 会社で新たな為替ヘッジを入れようとしている矢先に今回の急騰が起きた。 タイミングに感謝だが、今後は内外金利差だけでなく、サービス収支や家計の円売りの存在についても意...
日経の大暴落、円の急騰を横目に読了。 為替は金利差だけでなく、様々な要因で決まっていることを知り、勉強になった。 会社で新たな為替ヘッジを入れようとしている矢先に今回の急騰が起きた。 タイミングに感謝だが、今後は内外金利差だけでなく、サービス収支や家計の円売りの存在についても意識していきたい。
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現在日本は経常収支黒字国 「新時代の赤字」=その他サービス収支赤字のこと。その中には「専門・経営コンサルティングサービス」も入っている 2023年時点でサービス収支全体で2兆9158億円の赤字。これは旅行収支における3兆6313億円からサービス収支の5兆9040億円を引いた数...
現在日本は経常収支黒字国 「新時代の赤字」=その他サービス収支赤字のこと。その中には「専門・経営コンサルティングサービス」も入っている 2023年時点でサービス収支全体で2兆9158億円の赤字。これは旅行収支における3兆6313億円からサービス収支の5兆9040億円を引いた数字。 2030年には約8兆円に拡大するとの試算。2021年の原油輸入実績は約6.8兆円 少子高齢化などの人口減少傾向にある世界ではイノベーションの停滞が起こりやすい。 「研究開発サービス」で劣後する国がデジタル関連収支で黒字を積み上げるのは難しい。 今まで貿易収支があってその次に過去に行った投資の成果としての第一次所得収支の動向が注目されてきた。 しかし今後はサービス収支の変化幅が非常に大きくなると思われるので、その動きも追うべき CFベースでの経常収支でみると第一次所得収支黒字の4割しか(13.9兆円)円買いに繋がっていないという事実が見えてくる。 2022年に関して言えば貿易サービス収支赤字が21.1兆円のマイナス、また第二次所得収支は約2.5兆円の赤字だったため、CFベースでは(13.9−21.1−2.5)で9.7兆円の大幅な赤字だった疑いが強い 2019年ごろから日本の対外純資産残高の半分近くは直接投資で構成されている。 そのため売られたまま戻らぬ円が増え、円安の進行が進みやすい状況 2022年から2023年にかけて名目GDPは約560兆円から592兆円に増えたが、実質GDPは549兆円かは559兆円へプラス10兆円分の増分になっていて、残り22兆円なインフレによる上乗せであり、成長とは言えない。 特に個人消費に着目した場合、名目ベースでは11.2兆円伸びているが、このうちインフレによる上乗せは9.4兆円で実質ベースでは+1.9兆円しか増えていない。
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