言霊の幸う国で の商品レビュー
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作家の柳千慧が『彼岸花の香る島』で芥川賞を取ってからの一年間の、主にネトウヨや反トランスの文筆家たちとの闘いとLGBTQの人たちとの連帯を描いた、小説のような随想のような作品。その一年の末に柳千慧は、妊娠した女児を李琴峰と名付けると決めて作品は幕を閉じる。早稲田出身の筆者でもあり、これは自然主義的な告白文学であって私小説と思いながら読んだけど、最後にこれは私小説ではないと明確に書かれている。おおやけとわたくしの間、フィクションとノンフィクションの間を語る言葉。それは、性別や国籍明確に切り分ける分かりやすい二元論、あるいは陰謀論へのアンチテーゼであると思う。この小説の存在のありよう自体が、彼女の思想の体現であってそんな芸術作品であるような気がした。 LGBTQについて全然知らなかったけれど、世間に流布する言説のどこがデマなのかとか何がダメなのかとか、少し解像度が上がった気がする。笙野頼子がっかり… 李琴峰のnoteのネトウヨへの反駁記事は大好きだったけど、それも採録されていた。未来に残る日本語はヘイトな右翼の反知性的な言葉ではなく、国籍も性別も問わないが知性に裏打ちされた真実のものであってほしい。
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ちょっと飛ばし読みぎみ 事実や事件の紹介部分は少し飛ばしてしまった フィクションとノンフィクションないまぜだと思うが、とある人物の性別にまつわる話、ざっと検索してみたけど公表してなさそうな情報があって気になった 途中で出てきた神社での不思議な体験など、なにか少し小説風に展開す...
ちょっと飛ばし読みぎみ 事実や事件の紹介部分は少し飛ばしてしまった フィクションとノンフィクションないまぜだと思うが、とある人物の性別にまつわる話、ざっと検索してみたけど公表してなさそうな情報があって気になった 途中で出てきた神社での不思議な体験など、なにか少し小説風に展開するのだろうか?と思ってたけどその後特になにもなく、ノンフィクション的に終始したのも気になったところ 性指向について自分はあまり差別的な感情はないつもりだがトランスジェンダー、特にMtFについては完全に歓迎していないところがある(そういうジャッジできる立場などないのだけど)のはわかっていて、当事者の状況や気持ちをもっと知る必要があると思った そういう意味では現状のヘイトの流れなどがまとまっており勉強になった
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すごい、すごい! こんなに強く、痛切で、地面にしっかり足を踏ん張って書かれた本があるだろうか。 私には、この中で書かれていることが事実か検証する力はないけれど、 作者の言葉や立場を信じるし、 この本から学んだことは自分の礎の一部にしたい。 差別には絶対に加担したくない。
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最後の「この子を産んであげなければならない…」と自分自身を産み直す描写で感極まって泣いてしまった。李さんの受けた差別はあまりにひどくて息が詰まりそうになると同時に、トランス差別について私が無知であるのことを恥じた。 そしてもしかして、自死されたりゅうちぇるさんもこれくらい酷...
最後の「この子を産んであげなければならない…」と自分自身を産み直す描写で感極まって泣いてしまった。李さんの受けた差別はあまりにひどくて息が詰まりそうになると同時に、トランス差別について私が無知であるのことを恥じた。 そしてもしかして、自死されたりゅうちぇるさんもこれくらい酷い目にあってたのかと想像する。社会からの軋轢を新しい仲間を得ながら言葉で対抗する著者の姿に鼓舞されたし、トラウマからの回復は生き直しをすることだと改めて感じた。
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怒れる李琴峰の小説だということで大変楽しみにしていたのだけど、読んでみたら小説という形をとればなんでも主張していいわけじゃないと思った。 7章まではギリギリ小説の体を保っていたけど、8章、9章の個人的論考の羅列は読み手のことをまったく考えず、自分はこれだけのことを日々考え日々苦...
怒れる李琴峰の小説だということで大変楽しみにしていたのだけど、読んでみたら小説という形をとればなんでも主張していいわけじゃないと思った。 7章まではギリギリ小説の体を保っていたけど、8章、9章の個人的論考の羅列は読み手のことをまったく考えず、自分はこれだけのことを日々考え日々苦しみ日々どうにかなりそうなのにお前たちはバカかと言われている気分になる。たしかにバカかもしれない、たしかに表層しか見ていないかもしれない、それでも生きる実感はたしかにわたしの中にもあなたと同様に存在している。ここまでトランス差別に対する持論・事実の羅列・実在する個人攻撃を展開したいなら、小説以外の別の手法を会得したほうがいいのではないか。 李琴峰の小説は好きだが、今作は合わなかった。
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批判ばかりで疲れてしまった。もう少し、物語として読める部分が欲しかった。 事前情報としてこの本の祝詞部分は無断使用・改変の訴えが出ていることを書いておく。 詳しくは下記。たまたま目にしただけです。 『神道LGBTQ+連絡会 筑摩書房発行の李琴峰氏著『言霊の幸う国で』における祝詞等の無断使用・改変について』 http://shintolgbtq.com/ 私はLGBTの情報は得ているので、この本に関しては最初から懐疑的立場だと書いておく。私の感想も『偏っている』と思ってもらっていい。ただ、全ての情報を追いかけてるわけではないので、抜けてる情報は多々ある。こう言うセンシティブな話題は「こういうことも知らないの?」という事をいう人が出てくるけど、「あなたが知ってる情報を全ての人が知っているわけではない」とだけ返しておきたい。(と、事前に書いておいたら、この本自体が『こういう事も知らないの?』という本だった。) さて、さっそく感想を……と言いたいけれど、もう一つ書いておきたい。 最後の注意書きに『作中の主人公は、著者本人ではなく、作中に登場する実名の人物も、実在の人間と完全に重なるわけではありません。ただし、作中で批判対象として実名で引用したテキストは、すべて実在のものです。』 ……小説を個人批判の道具にするな。と思ってしまった。『作中の主人公』を使って、実在人物の批判するのはやってはいけない事だと思う。twitterで未成年者がこの作品の感想で『こんな批判をしていいんだって思った。私もそうしたい』というようなことを書いているのを見かけた。個人批判はリスクが高すぎるのでやめた方がいい。自分の評判を落とすだけ。 残り感想はブログで……言葉が乱暴になってしまった部分もあるのでブクログでは控えます。
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前情報なく、タイトルに惹かれて読み始めた一冊。 著者の『彼岸花が咲く島で』は「言葉」の持つ力が大変印象的な作品だったこともあり、どういう意味なのかと思って読み始めたが、Lという女性が芥川賞を受賞する場面から始まり、実在の人物の名前も出てくるため、一瞬ノンフィクションか自伝か?と思...
前情報なく、タイトルに惹かれて読み始めた一冊。 著者の『彼岸花が咲く島で』は「言葉」の持つ力が大変印象的な作品だったこともあり、どういう意味なのかと思って読み始めたが、Lという女性が芥川賞を受賞する場面から始まり、実在の人物の名前も出てくるため、一瞬ノンフィクションか自伝か?と思いながら、その筆致の強さにぐいぐい引き込まれていく。 LGBTQに対する想像を絶する差別言説やヘイトクライムは、その酷さを知った気になっていたが、実際には本当におぞましく、信じられないとしかいえないものであった。また、差別と闘いの歴史も、深く長く辛いものであるということを、作品を通じて学ぶことになった。自分自身の理解や知識がいかに浅はかなものであったか。 差別する人、誹謗中傷をする人に対抗する人は、実名で戦うのに、加害者側はネットの中で匿名で酷い言葉を書き連ねている、と主人公が指摘する構図は、改めて今の世の中のおかしさを浮き彫りにするものであった。 タイトルは、初めは皮肉めいたものかと思って読み進めたが、命を断つことを考えながらも、小説家として言葉で記録すること、戦うことを選ぶ主人公の強さを見て、本当に言葉の力を信じている人でなければ書けない作品である。
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芥川賞作家の受賞後の日記にしてはタイトル重々しく出たな、と思いながら読んでたらタイトル以上に中身重かった。 LGBTQとかまるで不勉強「同性婚とか認めようが認めなかろうがオイラにはあまり関係ないから、それで少しでも幸せになる、苦しみから解放される人がいるなら認めてもええやん」くら...
芥川賞作家の受賞後の日記にしてはタイトル重々しく出たな、と思いながら読んでたらタイトル以上に中身重かった。 LGBTQとかまるで不勉強「同性婚とか認めようが認めなかろうがオイラにはあまり関係ないから、それで少しでも幸せになる、苦しみから解放される人がいるなら認めてもええやん」くらいの意識しかなかってんけど、モノ知らんかったなぁ、と反省。 あと、笙野頼子とか豊崎由美とかエラい言われようやな。豊崎由美については今でも本は読んでるけどSNSやラジオの話は知らず笙野頼子は最近読めてないので、書かれ方が妥当なのかどうかは一方からだけ判断しても良くないのかもやけど。
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圧倒される分厚さとその内容。 頭をガツンと殴られたような気持ちになった。 今年は自分の無知と向き合う作品に出会えているなあと思っているけど、この作品もそのひとつ。
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やられた。 相変わらず入手するきかっけは忘れてしまっていて、 タイトルから、詩集かなにかと思って読み始めた。 まあそれにしちゃ分厚い本だなあと。 そしたらいきなり芥川賞受賞。台湾人初の! ん?ドキュメンタリーか?Lこと柳千慧(りゅうちさと)。 豊崎由美も出てくるし、、 いきな...
やられた。 相変わらず入手するきかっけは忘れてしまっていて、 タイトルから、詩集かなにかと思って読み始めた。 まあそれにしちゃ分厚い本だなあと。 そしたらいきなり芥川賞受賞。台湾人初の! ん?ドキュメンタリーか?Lこと柳千慧(りゅうちさと)。 豊崎由美も出てくるし、、 いきなりSNSの反日バッシング。安倍首相を批判したと。 女性差別、外国人差別。ストーカーもいた! 今度はレズビアンバッシング。そう、彼女は30代前半のレズビアン、、、 同性愛差別。 と思いきや、 台湾から「彼女はトランスジェンダーだ」のSNS。 トランス差別。 一気に泥沼と化すSNS。 すさまじい。 これに抗うL。 後半はトランスジェンダーに対する著者の見解が滔々と述べられる。 大井に賛同する。 そもそもトランスジェンダーについては私も不勉強だった。 なぜ生まれた体にメスを入れてまで性転換をするのか、と。 それはそれを強いる法律があったから。 そうしないと彼ら彼女らは生きづらいから。 要するに弱者いじめ。マイノリティいじめだ。世の中のわずか0.5%に対して。 気づかずに差別してしまうことについては学習するしかない。 声に耳を傾けるしかない。 しかし、意識的に差別する人、自分の価値観以外は認めない人、集団についてはどうしたものか。 その権化に自民党があるとは、なんとも情けない話だ。一部の議員が裏にある組織に動かされ、、、 それに煽られ教養のない人が乗っかり、数の力になる。そうした議員を当選させる。 そういうときは比例区なんてなくせばいい、と思うが、 個人を選ぶのも党議拘束で無意味とも思う。 やはり党自体を選ぶしかない。選ばない、しかない、だ。マイナス投票権が欲しい。 話が逸れた。 自分だけは安全な場所にいると勘違いしているからこそ、マイノリティを差別できる。 東大卒の勘違い、世襲議員の勘違い。ほかにもいろいろあるだろう勘違い。 反知性主義、そのものだ。 過去はマイノリティの犠牲の上に繁栄があったのかもしれない。 成長なき現在、それが悪質化する。少ないパイをマジョリティが奪おうとする。 そこには何の根拠もない。 マイノリティを応援したい。 プロローグ 第1章 栄光 第2章 暗影 第3章 虚像 第4章 狭間 第5章 傲骨(ごうこつ) 第6章 兆候 第7章 俯瞰 第8章 因果 第9章 喪失 第10章 邂逅 第11章 時代 エピローグ 五十年後のあなたへ
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