百年の孤独 の商品レビュー
ガルシア=マルケスの代表作。 ホセ・アルカディオ・ブレンディアとウルスラの夫妻たちが住み着き、新たな村としたマコンドを舞台に、マコンドの街の栄枯盛衰と、ブレンディア家の歩んだ道の物語。 とりわけ物語の中心は後者。ホセ・アルカディオ・ブレンディアと、ジプシーとして村を訪れたメルキア...
ガルシア=マルケスの代表作。 ホセ・アルカディオ・ブレンディアとウルスラの夫妻たちが住み着き、新たな村としたマコンドを舞台に、マコンドの街の栄枯盛衰と、ブレンディア家の歩んだ道の物語。 とりわけ物語の中心は後者。ホセ・アルカディオ・ブレンディアと、ジプシーとして村を訪れたメルキアデスとの出会いをきっかけに始まる一族の数奇な人生が滔々と語られる。 村を襲う伝染性の健忘病、内戦の参戦と敗戦、アメリカ人の入植、文化流入と鉄道の敷設、4年間止まない雨と10年間の干ばつ。 次から次へとめまぐるしく環境が変わる中、時には状況を受け入れ、時には状況に抗い生きていくブレンディア家の一族。 逞しく育つ者、不思議な能力を持ち内戦の指導者となる者、絶世の美女となる者など、何かしら普通とは言えない特徴をもった者たちが6代にわたって描かれる。 誰もが幸せになっておかしくない境遇にも関わらず、愛を知り、愛に足る者になるべく人々が、何故か孤独な人生を歩むことになる。 この6代、「100年の孤独」の果てに待ち受ける出来事まで描かれ、物語は結末を迎える。 錬金術や空中浮遊、亡霊のような超現実がごく当たり前のように記述される「マジック・リアリズム」とも呼ばれる文体が、独特の読書体験を生む。 描かれる各人物も特徴があるため、面白く読めるのだが、なんと言ったらいいのだろうか。 まるで碑文に書かれているような、抑揚をもたずにただ事実を並べていくような語り口で進むため、とりわけ中盤くらいまで読みづらさを感じる。 それが中盤以降、序盤の登場人物が年を取り人生の斜陽を迎えるようになってくると、彼らの境遇とは裏腹に俄然文章が生き生きとしてくる。 「ああ、この人の人生、こんなに面白かったのか」と思わせるための前半なのかとも思うと、筆力の妙を感じる。 また、生まれてくる子供の名前に親や先祖の名前をつけるから、慣れるまで大変というのも読みづらさを感じる要素の一つ。 しかし同じ名前の子供というのは、この物語ではとても重要な意味を持っており、最後まで読み切ると納得する。 この本に関する評価は私が下すまでもなく、誰もが口を揃えて「素晴らしい」と呼ぶ本。 述べたようにちょっと読みにくい部分はあるし、600ページ強あるので長く感じるかもしれないけど、最後まで読んだ後「やれやれ、面白かった」と言える物語。 ここに私の感想を追加するとすれば、人生は、終わりかけが素晴らしい、というところだろうかね。
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3度目の読了。百年の孤独 毎回新しい発見があるし、小町娘のレメディオスが昇天するところや、亡くなった人の血液が家の中を超え、大通りを超え、街中を蛇のように流れて、母親のところに亡くなったことを知らせに行く。 最初読んだ時に、なんじゃこりゃ?!と驚いたし、受け入れるために頭切り替え...
3度目の読了。百年の孤独 毎回新しい発見があるし、小町娘のレメディオスが昇天するところや、亡くなった人の血液が家の中を超え、大通りを超え、街中を蛇のように流れて、母親のところに亡くなったことを知らせに行く。 最初読んだ時に、なんじゃこりゃ?!と驚いたし、受け入れるために頭切り替え、話についていくのに必死だったマジックリアリズム。 今回はすんなり受け取められて、楽しみなシーンとして充分に堪能しました。 百年の孤独からラテンアメリカ文学にハマって、いろいろ読んだ。正直、暗い作品も多いしカオス過ぎて読んでて凹む作品もけっこうある。登場人物みんな強烈だし、引っ張られる。 でも百年の孤独がここまで読まれるのは、何かしらカラッと明るい雰囲気を纏っているからではと思う。戦争や血縁、村社会、金、ドロドロした話だけれど現実世界というより、世界で一番素晴らしいファンタジーなんだと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
アウレリャノ17人に恐れをなし、同名がさらにいることに怯えつつ読み始める。 想像していたよりも読みやすく、そして面白い。 夢と現が交差するものの、根底にあるのは「どこにでもいる人々の生活」で、どの人物も「この人、知ってる」と思わせる細やかな性格描写に唸った。私は、戦争を乗り越えて生きてきた祖父母を思い出した。 男も女も、美を誇れど家庭に入れば容貌は意味を成さず、武勲や名声も歳と共に衰え存在すら忘れられていく。それでいて、一貫して滑稽で切なくて愛おしく、寅さん味のある笑いが終始漂っている。誰も彼もが孤独で、寂しくて、ひっそりと死んでいく。 ウルスラだけが終始元気で逞しい。 そして迎える最後。なぜ、こんなにも幻想を纏った語り口だったのか、一族に、マコンドに何が起きていたのかが明かされる。 ページを閉じる。 この本の中に、マコンドがある。
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これが南米文学というやつか。 一族の始まりから終わりを、6代に亘るブエンディア家の一族の者の、 情愛と心の孤独を描いているのですが、どんな話かというと雲を掴むような話で、出来事はすべて薬による幻覚のように描かれる。 疲れました。
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単行本で以前読んでましたが、文庫化されて話題になっているし、文庫版には家系図があるし、筒井康隆の解説もあるし、ということで文庫本を購入してまた読みました。やっぱり面白い。そんな馬鹿な!という非現実的なことかさらりと出てくる。
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3.5かな。人物の複雑さよりも時空の行き来が大変(笑)。 むせかえるような匂いや湿度のある描写がすごいなと思いました。
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なんとなくホテルニューハンプシャーの1万倍濃厚な内容に感じられた。 主役の一族を呪われたとは思わず、親戚くらいの気持ちで読み耽った。 私は初代ウルスラが家を守る陽気さ、粘り強さに惹かれた。 ラストは驚いたけど予想できたので納得感。 なお、文庫版冒頭についてる家系図があれば似た名前...
なんとなくホテルニューハンプシャーの1万倍濃厚な内容に感じられた。 主役の一族を呪われたとは思わず、親戚くらいの気持ちで読み耽った。 私は初代ウルスラが家を守る陽気さ、粘り強さに惹かれた。 ラストは驚いたけど予想できたので納得感。 なお、文庫版冒頭についてる家系図があれば似た名前で惑うことはないし、作品的に多少惑っても問題なし。
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話題になっているうちに読んでおこうと購入。 第4世代辺りから読み進めるのが苦しくなってきたので、本屋に置いてあった読み進めるためのキットで、読み終わったところまで内容を確認しながらなんとか読了。 名前は慣れてしまえば問題ないと思うんだよなー
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結末がとてもクールでため息がでる。「孤独」を頭に描きながら読んできて、ふと、書物というものも何人からも読まれなければこの上ない孤独な世界を抱えるものだなと。この地球も文明もいつか滅亡という運命を辿るなら、私たちはだれの記憶にも残らず正真正銘の無になるんだよなと大きな厭世観が。 ...
結末がとてもクールでため息がでる。「孤独」を頭に描きながら読んできて、ふと、書物というものも何人からも読まれなければこの上ない孤独な世界を抱えるものだなと。この地球も文明もいつか滅亡という運命を辿るなら、私たちはだれの記憶にも残らず正真正銘の無になるんだよなと大きな厭世観が。 その厭世観は「メルキアデスの部屋」によって慰められる気がする。そこは「おまるの部屋」、「ごみ捨て場」とも呼ばれたが、「塵も積もらないし傷みもしない」。「世界の不思議を見たいという願望」が渦巻く錬金術が遺した部屋だ。その部屋の羊皮紙で見つけたのが金になって輝く孤独だったとは。 全体的に叙事詩のような、行為の羅列、にぎやかな文章だが、ところどころに好きな場面が見つかる。アウレリャノ・ブエンディア大佐が死にゆくところもそのひとつ。老いと死の瑪瑙石のような描写。膀胱に溜まった小便のことも忘れ、サーカスの行列の見物後、父親の亡霊がいる栗の木にいく。
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マコンド村を興した変人、奇人一族の栄枯盛衰?を描いた物語。 タイトル通り、まさに『百年の孤独』とはどういうことなのか。 そして、その呪いとも呼べる孤独を打ち破るものとは? 現実と超現実(本作に起きていることは非現実と呼んではいけないらしい)が織り成すマジックリアリズ...
マコンド村を興した変人、奇人一族の栄枯盛衰?を描いた物語。 タイトル通り、まさに『百年の孤独』とはどういうことなのか。 そして、その呪いとも呼べる孤独を打ち破るものとは? 現実と超現実(本作に起きていることは非現実と呼んではいけないらしい)が織り成すマジックリアリズムの世界にようこそという作品です。 読書歴約20年、約5年(令和6/7/14現在)で約300冊の小説(ほぼエンタメ)を読んでいるレベルの私では理解が追いつかない箇所が多いです。 7/1に読み始めましたが、初日の読書量は8ページです。 5日目にしてようやく100ページを読み終えても、正直絶望しかみえませんでした。 ギブアップ宣言しようかな?とか思いました。 読み辛い原因は登場人物の多さ?と思われるかもしれませんが、違います。 改行、段落がないページが盛り沢山なうえ、10ページどころか数行後に気がついたら展開がかわっていたということが多いという点。 また、翻訳本ですから、日本語として綺麗という文章でもないというのが読み辛い原因だと思ってます。 そんな私が13日で最後まで読み切れたのは、目まぐるしく展開がかわってもマコンド村で起きることや登場人物一族の変人ぶりに慣れると日に日に先へ先へ読み進めたくなったからかな?と思ってます。 目まぐるしく展開がかわる本作品の魅力はマジックリアリズムと言われるらしい現実と超現実の織り交ぜ方が面白く、癖になるとどんどん読み進めたくなるという点ではないか?と思います。 また、全てを理解する必要がなくとも読み進められるのが良いなと思っております。 本作品の特徴は、淡々として語られる文章の中にある妙な生々しいエロスというのか性だと思っています。 そして、その性にはあるものが常に欠けている。 それらが街の100年以上にも及ぶ街の歴史とともに語られていくのです。 変わっていく街や人々、でも変わらないものがある。 私はそんな本作を読んで感じたことは、実は私も「百年の孤独」なのではないかということです。 性的な意味ではなく、登場人物ほどの奇人、変人ではないと思いつつも、私も変化を求めつつも変化を嫌がる矛盾を抱えているなと思います。 暮らしが便利になるような発明や暮らしが豊かになるような変化、例えば、家事が楽になるような家電を望んだり、仕事を充実させたい、お金持ちになりたいと思うことや、空飛ぶクルマに乗ってみたい、あるいは戦争状態なら早く戦争が終わってほしいなどなど、色んな変化を望みます。 一方で、変化を嫌う傾向にもあるなと思います。 年は取りたくないし、新しい家電の使い方はわからないから嫌になるし、変わらないのはわかっているのにまともな候補がいないから票を入れたくもないけどいれてしまうなどなど、変化してほしいと思うのに、変化を嫌うあるいは変わらないということを続けているなと思います。 そして、ほとんどの人は転勤族でもない限り、定住して、住んでいる地域以外の世界をみることは殆どない。 本作品の芸術性というのはさっぱりわかりませんが、私も百年の孤独なんだろうなと思えるからこそ、本作品の世界に最後は引き込まれたのではないかと思いました。
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