「ふつうの暮らし」を美学する の商品レビュー
ちびまる子ちゃんを例に挙げ、机の上のきれいさがそのままその人の評価やパーソナリティを決定づけることになりうることに深く納得した。たしかに、机上が整理されている人を見ると「この人は自分の身の回りのことをしっかり行える自立した人なんだな」という印象を持つ。机の状態に対して放った言葉で...
ちびまる子ちゃんを例に挙げ、机の上のきれいさがそのままその人の評価やパーソナリティを決定づけることになりうることに深く納得した。たしかに、机上が整理されている人を見ると「この人は自分の身の回りのことをしっかり行える自立した人なんだな」という印象を持つ。机の状態に対して放った言葉である「きれい」や「きたない」がその向こう側の人に対しても評価をしていることになりうるというのは確かに無意識のうちにしていた。 私が印象的だったのはp184の部分。著者がフィンランド滞在中に撮った写真で、著者がその場所に対して注ぐまなざしが大きく変化したかを示していたというパート。 私もオランダに留学したばかりのときはすべてのものが目新しくて、オランダらしい自転車と運河のセットの写真や、花束や風車といった風景に感動し、気取った構図で取られた写真をインスタグラムに挙げていた。 それに比べて、帰国を迎えるころに撮った写真たちはとても地味。風車や自転車、運河などは撮るはずもなく、トラムステーションに捨てられたゴミや、スーパーの前に無造作に捨てられたゴミの写真や、当の昔に見慣れた大学や町の景色だった。 これらを見ると、やっぱり私もあのロッテルダムでの生活の肌触りーー肌寒い空気や日本よりも歩きにくく警戒しながら歩いたあの地面の感触を、思い出せる。 引用:「美学者の津上英輔は、散歩のことを『小観光』と呼んでいます。散歩は、地元のような日常的な環境のなかにいながら、通勤ルートなどの日常生活の制約を逃れて自由に立ち回ることを許してくれます。 vlogを見ると、自分との生活とあまりにも異なって、余裕があるように見えて焦燥感を抱いてしまうこと、わかるー!!となった。 でも見てしまう。自分の日常の中で主体的に選択できる瞬間を探せるようにしたいと思って、疲れたときはvlog見てしまうよねぇ。
Posted by
「日常」というワードにほのぼの系を連想していたが、本書で展開する議論は想像を上回る骨太。生半可な態度では理解するのが難しいところもあり、日常美学は学問であることをまじまじと認識させられる。 美的=感性的を基軸に、日常に潜む美的経験や美的性質について検討していく。21世紀に生まれ...
「日常」というワードにほのぼの系を連想していたが、本書で展開する議論は想像を上回る骨太。生半可な態度では理解するのが難しいところもあり、日常美学は学問であることをまじまじと認識させられる。 美的=感性的を基軸に、日常に潜む美的経験や美的性質について検討していく。21世紀に生まれた新しい学問であるため、断定的な定説というものは少なく著者の主張が述べられていく構成となる。執筆期間にあたる著者個人的な出産・育児経験を下地に論理を構成しいるので、学問として突き放されるのではなく親近感が持てる。 「世界制作」というキーワード。 美術芸術はどこか崇高なもので日常生活から切り離された体験であるという一般認識は私にもある。しかし、個人が営んでいる日常に感性を働かせる意識を持つことで、個人から世界へと影響を広げ世界における認識を良い方向へ転換していこうという働き。 日常美学をきっかけとして、日々の暮らしを新しい視点で見直す。美的な経験を生みだす。忙しさにかまけてつい見逃してしまう些細な感情の揺らぎに自発的に耳を傾けて、ちょっと思考していこうかな、という思いに至るのです。
Posted by
日常美学について語った本。 日常美学とは、日々の暮らしを支える活動やモノを通じて、美を捉える学問。 印象的だったのは、ピカソのゲルニカについて。 ・現実社会を忠実に描く絵画としては、とてもいびつ、風変わりな絵画。 ・キュビスムの絵画として捉えると、典型的で優れた事例、美的な絵...
日常美学について語った本。 日常美学とは、日々の暮らしを支える活動やモノを通じて、美を捉える学問。 印象的だったのは、ピカソのゲルニカについて。 ・現実社会を忠実に描く絵画としては、とてもいびつ、風変わりな絵画。 ・キュビスムの絵画として捉えると、典型的で優れた事例、美的な絵画。 →どのカテゴリーで物事を見るかによって、美への捉えな方が異なるという考え。 また、バラを事例にした、美的性質という理論。 バラは華麗というが、どこがといわれると難しい。全体的とかしかいえない。 (例) ・深紅の色 ・くっきりと弧を描く花弁 趣味が洗練されると、対象に対する美的判断が適切になる。 つまり、趣味に秀でている人は、適切な美的判断できる人といえる。 日常美学は、新しい研究分野。 最先端の研究における理論をわかりやすく説明した本。
Posted by
日常の中に美を捉える新しい哲学、「日常美学」というものがあるらしい。本書で初めて知った。 機能と美の関係性の整理、そもそも「美」とはなんなのか、芸術と日常の境界線、親しみという感情は美たりうるか、ルーティンの構築の役割……といったことが論じられていて、なかなかにおもしろかった。...
日常の中に美を捉える新しい哲学、「日常美学」というものがあるらしい。本書で初めて知った。 機能と美の関係性の整理、そもそも「美」とはなんなのか、芸術と日常の境界線、親しみという感情は美たりうるか、ルーティンの構築の役割……といったことが論じられていて、なかなかにおもしろかった。 個人的な感想にはなるが、日常を美学することとは、生きることを取り戻す切実な態度な気がする。じぶんは自意識が強すぎて、「美」や「快」を積極的に取り入れることに抵抗がある。いわんや、他人のvlogなんて到底みれたもんじゃない。 でも、この態度も変えていきたいと思っている。
Posted by
再読。最近哲学じゃなくて生活のことを考えていて、こういうアプローチの意味もわかるようになってきた。生活美学の先生たちはがんばってほしい。
Posted by
芸術やら美術やら音楽やら、誰もがそれは美学があると認識されるものは研究対象となし得るが、まさか日常のなかにあるものを美学するという、一見難問とさえ思える事柄を考えている本書。 言語化するだけでもスゴい。 ただ、やはり難しい。日常を美学する概念を自分に馴染ませることが難しいんだと感...
芸術やら美術やら音楽やら、誰もがそれは美学があると認識されるものは研究対象となし得るが、まさか日常のなかにあるものを美学するという、一見難問とさえ思える事柄を考えている本書。 言語化するだけでもスゴい。 ただ、やはり難しい。日常を美学する概念を自分に馴染ませることが難しいんだと感じた。
Posted by
冒頭に、本書はいわゆる丁寧な暮らしなどについて書いたものではない、との記述が。まさにそう思って読もうとしていただけに、頭からひっくり返される。とはいえ、読み進めると日常にある美学について理路整然と解説を試みていると理解した。哲学的なところに入り込んでいるなと思ったら、著者の専門が...
冒頭に、本書はいわゆる丁寧な暮らしなどについて書いたものではない、との記述が。まさにそう思って読もうとしていただけに、頭からひっくり返される。とはいえ、読み進めると日常にある美学について理路整然と解説を試みていると理解した。哲学的なところに入り込んでいるなと思ったら、著者の専門がそこにあると知り納得。正直、抽象度の高い内容を論説しようとしているので、小難しく感じた。ところどころ飛び出す事例がドラマなど身近な素材を用いているので、そうしたところではホッとする。再読するともう少し理解が進むのかもしれない。
Posted by
家の中で過ごす何気ない時間にも美は宿る。日常の営みを見つめ直す視点を与えてくれる。掃除の手順や食卓の配置すら暮らしの美を構成する一部だという。 だが忙しさに追われがちな現代ではその美は見過ごされがちだ。だからこそ「家から考える」ことが心を整える第一歩になる。ありふれた風景に目...
家の中で過ごす何気ない時間にも美は宿る。日常の営みを見つめ直す視点を与えてくれる。掃除の手順や食卓の配置すら暮らしの美を構成する一部だという。 だが忙しさに追われがちな現代ではその美は見過ごされがちだ。だからこそ「家から考える」ことが心を整える第一歩になる。ありふれた風景に目を凝らせば静かな輝きが見えてくる。
Posted by
哲学的で少し理解に苦しむ内容なのだけれど、要は美学とか美的センスとか機能美とかって普通の暮らしからどう読み取ったら良いか⁈ってことが書かれてる。イスはモノとして見る時とオブジェとして見る時では美の感覚が違うし〜とね。 色々納得できる点は多かったけど、私には少し読みづらかった。
Posted by
芸術や美学、ふだん美しいと感じているものは社会的あるいは道徳的にそう思わされているだけかもしれない。自身の感性に向き合い、世界をつくる一員として感性の変化も含め、心地良いと思うものを流されず選んでいきたいなと考えさせられた。
Posted by
