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ガザ日記 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2024/09/22

 著者は1973年生まれの作家で、2019年からパレスチナ自治政府の文化大臣を務める(文化大臣が何もできずに逃げまわっているのがこの「戦争」なのだ!)。2023年10月の段階ではヨルダン川西岸地区に居住していたが、たまたま息子を連れて故郷のガザを訪れていた際にイスラエルによる攻撃...

 著者は1973年生まれの作家で、2019年からパレスチナ自治政府の文化大臣を務める(文化大臣が何もできずに逃げまわっているのがこの「戦争」なのだ!)。2023年10月の段階ではヨルダン川西岸地区に居住していたが、たまたま息子を連れて故郷のガザを訪れていた際にイスラエルによる攻撃が始まり、3ヵ月近くガザに閉じこめられた。本書では、その85日間が日記形式で綴られていく。  まさに現在進行形の「戦争」を記録した貴重なテクストとして、時間をかけて読んだ。抑制的なトーンに見えるが、ここに刻まれた怒りと悲しみ、孤立感と絶望感は途方もなく深い。イスラエルの所業は端的に言ってジェノサイドであり、ガザの意図的な破壊以外ではない。彼らは人間を殺すだけでは飽き足らず、文化や歴史、人々の尊厳まで根絶やしにしようとしているかのようだ。どうしてこんな所業が堂々と行われてしまうのか。なぜそれが「自衛」の暴力だと語れてしまうのか、到底理解ができない。この現実がいまも続いていることは、この世界の「罪」だと強く思う。  一つ気になったのは、このテクストには「ハマス」という文字は出てこない、ということだ。「ハマスの戦闘員」という存在も登場しない。メディアは「戦争」の語を用いているが、この概念が想起させるような対称的な「敵」は、パレスチナに、ガザに存在しているのだろうか。いったいパレスチナでは、誰がイスラエルと戦っているのか。この出来事を「戦争」と呼称することがすでに、イスラエルのプロパガンダの「勝利」ではないのか?

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2024/08/24

まず、この本の存在そのものが、すごいと思う。そして内容もすごい。 毎日続く爆撃。死体は日常の風景の一部となる。 ミサイルで身体がバラバラになっても分かるようにと、子供たちが自分にマーカーで名前を書く。家族の携帯電話の番号を書く子もいる。 自分の身体が無くなって、腕一本だけで発見...

まず、この本の存在そのものが、すごいと思う。そして内容もすごい。 毎日続く爆撃。死体は日常の風景の一部となる。 ミサイルで身体がバラバラになっても分かるようにと、子供たちが自分にマーカーで名前を書く。家族の携帯電話の番号を書く子もいる。 自分の身体が無くなって、腕一本だけで発見されても、家族に連絡してもらえるように。 この世の地獄だ。

Posted byブクログ

2024/08/21

2023年10月、ガザ侵攻に巻き込まれた著者が脱出するまでの80日余りを記録した日記。 日本のニュースを見ていても手触りが遠過ぎて、実際に何が起きているのかよくわからない。でも、目を背けてはならない何かが起きている。ずっとそんな思いでガザ侵攻をウォッチしていました。 2024年...

2023年10月、ガザ侵攻に巻き込まれた著者が脱出するまでの80日余りを記録した日記。 日本のニュースを見ていても手触りが遠過ぎて、実際に何が起きているのかよくわからない。でも、目を背けてはならない何かが起きている。ずっとそんな思いでガザ侵攻をウォッチしていました。 2024年の春に緊急出版された本書は、そんなよくわからない侵攻の現実を、ガザの内側から見て、記録した迫真の戦争ドキュメントです。ガザで一体何が起きているのか、ガザの人たちがどんな思いでどんな日々を強いられているのか、知ることができました。でもずっと終わらない責め苦に、これほど読んでいて辛い本も久しぶりでした。 読んでいると、イスラエル人(軍)はとてもナチュラルにパレスチナ人を人と思ってないんだな、と感じます。遊び半分で人を殺す、みたいな記述も出てくるので、まさかそこまでは思ってないでしょ。とか思ったのですが、クーリエがレポートしたところによると(https://courrier.jp/news/archives/373614/)、遊び半分で殺しているみたいです。そんなに深い分断、日本にいるとにわかには考えられません。とても胸が痛いです。 この本は最後に著者がガザを離れ、死地に置き去りにしたガザの人々への罪の意識で締めくくられます。生き残った者の苦しみはWW2の後の日本にもたくさん記述が残っていますね。死ぬのも地獄、生きるのも地獄。こんな戦争をいつまでもやりたがる人類に、少し絶望の感を抱かざるを得なくなります。ガザ、ウクライナ、ミャンマー、シリア、アフリカ諸国などなど。いつか戦争や紛争でこんな思いをする人がいなくなることを、嘘でも希望として持ち続けなければいけないのは苦しいですね。

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2024/08/20

本当のところ、ガザで起きていることって、どんな感じだろうと思い読んでみた。 ホロコース関係の本も何冊か読んでいるので、こうした本への耐性はあるのではないかと思っていたが、かなりヘビーで読むのに時間がかかった。 改めて、ここで起きていることは、ジェノサイド以外の何ものでもなく、...

本当のところ、ガザで起きていることって、どんな感じだろうと思い読んでみた。 ホロコース関係の本も何冊か読んでいるので、こうした本への耐性はあるのではないかと思っていたが、かなりヘビーで読むのに時間がかかった。 改めて、ここで起きていることは、ジェノサイド以外の何ものでもなく、ホロコーストで起きていたこととかなりパラレルな状況であることがわかる。そして、あらためてそれが今、21世紀に起きていることに驚愕してしまう。 この本はそのジェノサイドの内側にいる人からの情報なので、全体として何が起きているかが分かるわけではないのだが、インターネットが発達しているため、おおよそどんなことが起きているかは知ろうと思えばしれる状況で、かつこうした事態に国際社会が有効に対応することができずにいるということは驚くべきことだ。

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2024/08/19

フリーパレスチナ! 読めよ平和ボケした人間ども、 パレスチナ人が解放されなきゃ俺たちも自由じゃないんだよ、本当の意味でな。

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2024/07/13

極限状態を生きるとはどういうことだろう。いつ終わるともしれない戦争状態を生きるとは。ここで綴られる日記はそんな、メディア報道だけでは想像しづらい生活の実態をひりひりするような筆致で描き出す。食べるものにも事欠き、緊張状態の只中で多数の仲間たちとの死を経験させられるということがどん...

極限状態を生きるとはどういうことだろう。いつ終わるともしれない戦争状態を生きるとは。ここで綴られる日記はそんな、メディア報道だけでは想像しづらい生活の実態をひりひりするような筆致で描き出す。食べるものにも事欠き、緊張状態の只中で多数の仲間たちとの死を経験させられるということがどんなことなのか、それがつぶさに伝わってくる。正直に言えば「読むのがつらい」本でもある。決してカタルシスを保証しないからだ。でもここに記録されていることを実に生々しく生きた人がいて、それを残さんとした意志の恐るべき強靭さにこそ脱帽する

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2024/03/21

版元ドットコムのページ https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784911256060 紹介、目次、著者プロフィール ※出版社「地平社」は2024年4月に活動を開始する 出版社(地平社)のページ https://chiheisha.co.jp/20...

版元ドットコムのページ https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784911256060 紹介、目次、著者プロフィール ※出版社「地平社」は2024年4月に活動を開始する 出版社(地平社)のページ https://chiheisha.co.jp/2024/02/28/9784911256060/

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