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よい教育研究とはなにか の商品レビュー

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2024/06/28

タイトルにもあるとおり、本書は我々に、「よい教育研究とは、いったい何か」という問いを投げかける。従来の教育研究に関する書籍が「良い教育研究とは、このようなものである」という、ある種の「正解」を読者に提示してきたのに対し「教育を研究することは、いかなることなのか」、「(『教育実践を...

タイトルにもあるとおり、本書は我々に、「よい教育研究とは、いったい何か」という問いを投げかける。従来の教育研究に関する書籍が「良い教育研究とは、このようなものである」という、ある種の「正解」を読者に提示してきたのに対し「教育を研究することは、いかなることなのか」、「(『教育実践を改善する』ことが教育研究のねらうところであるとしたら)そもそも、『教育実践を改善する』とはいかなることなのか」といった、教育研究の存在を成り立たせるための根源的な問いを投げかける。 本書に含まれる全8章の論考は、これについて、読者がそれぞれに考えていくための、いくつかの道筋を示している。それらは、哲学的な知見を示すものから、、教育研究の言説を歴史的に眺めなおすもの、政治・社会的な視点から、現在行われている社会的営為としての「研究」を記述しようとするものまで幅広い。 が、本書のすべての論考を読みおえたあと、あらためて、考えてみると、本書がひとつの「結論」として我々に提示しているのは、「プラグマティストにならずに、プラグマティックであること」(p27)に尽きるのではないか、という思いに至った。 「よい教育研究とは、いったい何か」という問いの答えは、教育を研究しようとする者それぞれが、プラグマティックに、すなわち、自分が取り組もうとする「問題」とはいったい何かという問いとの関係において考える必要がある。 そのような意味でいえば、本書の第2~第8章は、私たちが、「プラグマティストにならずに、プラグマティックに」教育を研究することに考えるための道筋のひとつひとつを照らし出したものであるといえるのかもしれない。

Posted byブクログ