エビデンスを嫌う人たち の商品レビュー
この本はまったくエキサイティングだ。なみのフィクションでは敵わないほど面白かった。 疑似科学があふれ、恥ずかしげもなく商品化されたものをあの手この手で売り込もうとする我が国の商売人にさえ引っ掛かる者には、科学否定論に太刀打ちするのはとても難しいだろう。 アメリカを舞台に気候変動や...
この本はまったくエキサイティングだ。なみのフィクションでは敵わないほど面白かった。 疑似科学があふれ、恥ずかしげもなく商品化されたものをあの手この手で売り込もうとする我が国の商売人にさえ引っ掛かる者には、科学否定論に太刀打ちするのはとても難しいだろう。 アメリカを舞台に気候変動やコロナやワクチンなどについて非科学的な立場をとる人々とどう向き合うのか、科学的に、人間的に、考え実践する作者の行動はアドベンチャー。 誰か日本版を描いてくれないものか。
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※このレビューにはネタバレを含みます
以前から科学コミュニケーションの分野には関心があり、アメリカの大統領選に間に合わせるべく読み終えた。著者の主張が強すぎるきらいはあるが、そういうものだとして読めば充分楽しめる。 科学と技術の発展でもっとも恩恵を受けた国であるはずのアメリカで分断が広がっていることを知り、因果なものだと感じる。 フラットアースは滑稽ではあるが、信者は真剣だ。地球温暖化、遺伝子組み換え作物、ワクチンをめぐる論点も改めて整理はできた。証拠よりもアイデンティティで動く人がいることを思い知る。彼らとコミュニケーションを続けるしかない。 著者が語る科学否定論者の5つの特徴もなるほどというものだった。 ・証拠のチェリーピッキング ・陰謀論への傾倒 ・偽物の専門家への依存(本物の専門家への誹謗中傷) ・非論理的な推論 ・科学への現実離れした期待 科学は万能ではない。中世ヨーロッパで正しいとされたことは現在では否定されている。343ページに書いている点は科学と正しく付き合う姿勢として参考になる。 「不確実性を科学の弱みではなく、強みとして受け入れることが、科学否定に対抗する大きな武器になる。」 共感、敬意、傾聴の3つが必要と著者は訴える。哲学者なのでもっと倫理などと形而上学的なアプローチかと思ったが、ここは意外。全体的に面白く読めた。
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・反GMOの友人との議論は半GMOのほうが説得力がある。友人は食べて有害と言っているわけではなく「予防原則」に基づいて主張しているのに著者が聞き入れていないのは、首尾一貫していない。気候変動の予防原則とは方向が逆なだけなのだが。 ・あとは気候変動対策の必要性を強調するわりに著者は...
・反GMOの友人との議論は半GMOのほうが説得力がある。友人は食べて有害と言っているわけではなく「予防原則」に基づいて主張しているのに著者が聞き入れていないのは、首尾一貫していない。気候変動の予防原則とは方向が逆なだけなのだが。 ・あとは気候変動対策の必要性を強調するわりに著者はモルジブまで飛行機で行ってカーボンクレジット払ったからそれで良しとしているし、自省が感じられない。 ・自分は正しくて間違っている人とどう対応するかという上から目線を感じる。 How to Talk to a Science Denier:Conversations with Flat Earthers,Climate Deniers,and Others Who Defy Reason 【目次】 はじめに 第1章 潜入、フラットアース国際会議 第2章 科学否定とはなにか? 第3章 どうすれば相手の意見を変えられるのか? 第4章 気候変動を否定する人たち 第5章 炭鉱のカナリヤ 第6章 リベラルによる科学否定? 第7章 信頼と対話 第8章 新型コロナウイルスと私たちのこれから エピローグ 《科学否定論者に共通する5つの特徴》 1 証拠のチェリーピッキング 2 陰謀論への傾倒 3 偽物の専門家への依存 4 非論理的な推論 5 科学への現実離れした期待
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心理学では陰謀論に関わってしまう人は、自尊心の肥大、ナルシシズム、低い自己肯定感などさまざまな原因に求めている。 その中でも、陰謀論とは動揺をもたらす大事件に直面した時の不安や制御不能感に対処するためのメカニズムであるという説が支持を集めている。 自分が体験した出来事に無力感を...
心理学では陰謀論に関わってしまう人は、自尊心の肥大、ナルシシズム、低い自己肯定感などさまざまな原因に求めている。 その中でも、陰謀論とは動揺をもたらす大事件に直面した時の不安や制御不能感に対処するためのメカニズムであるという説が支持を集めている。 自分が体験した出来事に無力感を覚える時、私たちは対峙すべき敵を明確にしてくれる説明に引き寄せられる。 陰謀論的な思考に1番ハマりやすいのは「直感に従う」傾向がある人。 信念の形成において中心的な役割を果たしているのは、証拠ではなく、アイデンティティである。 科学への現実離れした期待により、懐疑論が生まれやすくなっている。 新しい仮説が真実になる可能性は常に存在するが、だからといってその可能性によって既存の仮説の「保証」が損なわれるわけではない。 圧倒的な証拠を前にしながら、それ以外の仮説にも真実の可能性があるからという理由で、その証拠を信じないのは合理的ではない。
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そんなにフラットアースを信じてる人が世界にはいるのかと驚き。 怪しい疑似科学はとにかく「チェリーピッキング」と「陰謀論」に注意。 モルディブが温暖化でヤバいことになってること初めて知った。
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図書館本で前半だけ読んだ。買っておくか。ボゴジアンとリンゼイの『話が通じない相手と話をする方法』が高く評価されてる。
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ワクチンを頑なに忌避する人、陰謀論を信じる人、果ては荒唐無稽な論説を信じる人… 筆者はこのような人たちを断罪しない。共感し、寄り添い、より良い方向へ促す方策を探る。科学否定論を端的に示す5つの特徴は非常に納得感がある。長い本だが読んで良かった。巻末に付された訳者が書く要旨と科学否...
ワクチンを頑なに忌避する人、陰謀論を信じる人、果ては荒唐無稽な論説を信じる人… 筆者はこのような人たちを断罪しない。共感し、寄り添い、より良い方向へ促す方策を探る。科学否定論を端的に示す5つの特徴は非常に納得感がある。長い本だが読んで良かった。巻末に付された訳者が書く要旨と科学否定論への意見が冴え渡っています。まず巻末から読むのもありかも。
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科学的エビデンスを信じない人たちと対話し、社会への悪影響を減らすための方策を探る話。 本書で取り上げられるのは、以下の人々。 ・地球平面論者(フラットアーサー) ・地球温暖化を信じない人々 ・反ワクチン ・反遺伝子組み換え食品 話として面白いのは、圧倒的にフラットアーサーの章...
科学的エビデンスを信じない人たちと対話し、社会への悪影響を減らすための方策を探る話。 本書で取り上げられるのは、以下の人々。 ・地球平面論者(フラットアーサー) ・地球温暖化を信じない人々 ・反ワクチン ・反遺伝子組み換え食品 話として面白いのは、圧倒的にフラットアーサーの章。こんなトンデモをなぜ信じるのか理解し難いが、著者が対話したフラットアーサーのほぼ全員が、社会生活で何らかのトラウマを抱えていることが垣間見え、闇の深さを感じる。(ここはカルト宗教と同じ構造に見える) あと、日本ではそれほど感じないが、アメリカでは左派・右派で分断が大きく、右派は反科学が多いみたいな論調で話が進むのも、闇深いものを感じる。彼の国も大変なんですね。
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