すべての罪は血を流す の商品レビュー
一切容赦のないグロ描写、緊迫感のある展開、まるで海外ドラマを見ているかのような満足感‼︎ 近年、日本でも田舎での閉塞感や近所問題について話題に上がることが多いが、本作の舞台であるヴァージア州チャロン郡はその比ではない。 黒人差別が根深く残る地域で黒人初の保安官として暮らす主人公...
一切容赦のないグロ描写、緊迫感のある展開、まるで海外ドラマを見ているかのような満足感‼︎ 近年、日本でも田舎での閉塞感や近所問題について話題に上がることが多いが、本作の舞台であるヴァージア州チャロン郡はその比ではない。 黒人差別が根深く残る地域で黒人初の保安官として暮らす主人公タイタスは、様々な人々に囲まれながらも冷静沈着で良きリーダーとして働く一方で誰にも話していない秘密に対して罪悪感を抱えて生きており、今回の猟奇的な事件を追っていく中で少しずつ心が蝕まれていくことになる。 タイタスに救いはあるのか、次は誰が殺されてしまうのかとヒリつきながら読んでいたが、非常に満足のいく結末だった。
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どうやらS.A.コスビーは傑作しか書かないらしい すでにご存知のことかと思われるが、今年は2024年だ つまりイエス・キリストが生まれてから2024年(あるいは2028年)たっているということだ そろそろ神はこの世界に無関心だということに気付いてもいい頃合いではないだろうか ...
どうやらS.A.コスビーは傑作しか書かないらしい すでにご存知のことかと思われるが、今年は2024年だ つまりイエス・キリストが生まれてから2024年(あるいは2028年)たっているということだ そろそろ神はこの世界に無関心だということに気付いてもいい頃合いではないだろうか どんなに祈っても戦争は終わらないし、どんなに祈っても差別はなくならないし、どんなに祈っても大切な人は奪われていく そしてどんなに祈っても天使たちは助けに現れてくれそうにない それともまだそれも神の計画の一部だと信じろというのだろうか S.A.コスビーが描いた主人公タイタスを突き動かすのは神の教えではなく、公平な世界を実現しようとする人たちの意思だ 窮地に陥った彼を救うのは天使の囁きではなく、彼を愛する人たちの想いだ 人の心に巣食う悪魔と対峙するのは神ではなく、人なのだ
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ヴァージニア州の高校で教師が銃撃され、容疑者の黒人青年が白人保安官補に射殺された。人種対立の残る町に衝撃が走るなか、元FBI捜査官の黒人保安官タイタスは捜査を開始する。容疑者は銃を捨てるよう説得するタイタスに奇妙な言葉を残していたのだ。「先生の携帯を見て」と。被害者の携帯電話を探...
ヴァージニア州の高校で教師が銃撃され、容疑者の黒人青年が白人保安官補に射殺された。人種対立の残る町に衝撃が走るなか、元FBI捜査官の黒人保安官タイタスは捜査を開始する。容疑者は銃を捨てるよう説得するタイタスに奇妙な言葉を残していたのだ。「先生の携帯を見て」と。被害者の携帯電話を探ると、そこには彼と“狼”のマスクを被った男たちによる残忍な殺人が記録されていた――。 ややキツイ描写もあるが、抜群のリーダビリティ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
黒人保安官が主人公で、殺人事件を捜査する中でまだまだ人種差別が色濃く残る南部で苦悩する物語、渋くて良かった。 主人公は母親が死んでから神を信じなくなったにも関わらず、セリフや地の文でも聖書からの引用がそこら中に挟み込まれる。 このやり取りがカッコイイです。 否定しているのにほぼ暗記してるし、間違いを指摘してやり込める会話劇も新鮮で楽しい。 キリスト教圏の会話ってほんとにこんな感じなのかな、だとしたらかっこよすぎる。 犯人との聖書引用問答も印象に残った。 前作はアクション映画みたいだったけど、今回はサスペンス寄りかな。 面白いし、アクションの迫力、登場人物たちとのやり取りのスリリングさはあるのに爆発力はなかったかな、最後に南部連合の像を引き倒すような場面が2箇所くらいあれば最高だったかも。
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アメリカ南部で保安官として働く黒人のタイタス。町の学校で銃撃事件が起き、人気のあった教師が殺害される。犯人は射殺されるが首謀者が他にいるのではと捜査が始まっていく。これをきっかけに連続殺人へと発展していく。ひとつの町で起きた凄惨な事件とともに描かれていくのが黒人への差別。その根深...
アメリカ南部で保安官として働く黒人のタイタス。町の学校で銃撃事件が起き、人気のあった教師が殺害される。犯人は射殺されるが首謀者が他にいるのではと捜査が始まっていく。これをきっかけに連続殺人へと発展していく。ひとつの町で起きた凄惨な事件とともに描かれていくのが黒人への差別。その根深い問題が町の人々や事件の中に大きな影響を与えていく。常に緊張感があって犯罪小説としての面白さが存分に詰まった作品。
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超★5 黒人保安官が凶悪事件に挑む… 重厚な人種問題を描いた社会派警察小説 #すべての罪は血を流す ■あらすじ アメリカ南部ヴァージニア州チャロン郡、元FBIタイタスは黒人ながら選挙で選ばれた保安官であった。彼は日々街の治安を守っていたが、ある日学校で銃撃事件が発生してしまう。...
超★5 黒人保安官が凶悪事件に挑む… 重厚な人種問題を描いた社会派警察小説 #すべての罪は血を流す ■あらすじ アメリカ南部ヴァージニア州チャロン郡、元FBIタイタスは黒人ながら選挙で選ばれた保安官であった。彼は日々街の治安を守っていたが、ある日学校で銃撃事件が発生してしまう。殺害されたのは人気のあった先生で、犯人は先生の携帯電話を調べろと言い残して自害してしまう。先生の携帯電話からは、思いもよらなかった写真が保存されており… ■きっと読みたくなるレビュー 超★5 今回も鬼エグな傑作、人種差別の問題をリアルに切り取った警察小説です。 これまでS・Aコスビーは、街のギャングなど悪者目線での物語でしたが、今回は警察というヒーロー目線のお話。しかしながら中身はこれまで以上に悪逆な事件で、さらに人種差別もドギツク描ています。 学校での事件の背後関係を調べるうちに、街に潜む凶悪事件が明るみになってゆく。主人公のタイタス保安官が中心となって、この凶悪事件の犯人を追っていくのが本書の筋立て。 事件自体も一言では語れないくらい入り組んでいて、犯人の影がまるでつかめない。しかもあまりにも残忍な事件で、粘々しく読者の心を不快にしてくるんですよ。マジかよ、この事件… 捜査が進むうちに徐々に背景が見えてくるんですが、犯行に至った理由がまぁなんとも痛ましいし、それでも立ち向かうひた向きな保安官タイタスがもう激熱すぎて、体中がジンジンと痺れてきます。 南部の都市、チャロン郡の描き方が臨場感に溢れてて素晴らしい。正直日本人だと縁遠い問題、アメリカにおける人種差別の歴史や環境が綿密に把握できるんです。黒人が六割のこの街は、葬儀屋、教会は当然人種で区別され、街の中心地には南部の反逆者なる銅像がある。いつも住人達が気に障るシンボルになっており、いつ暴動がおきてもおかしくない。常にこの厳しい環境で物語が綴られ、捜査をさらに難解なものにしていくんです。 このハードな環境、つらい事件に挑む保安官タイタス。この人がヤバい。よく登場人物をカッコイイ!なんて表現したりするのですが、この人はマジ半端ねぇ。 頭がよく知識と経験があり、ロジカルで冷静。誰よりも法を遵守して正義感を持っている。家族と恋人を愛し、市民と部下を体を張って守る、街一番の責任感のある男。それでも過去には苦い経験のあるスーパーマンではないひとりの人間。そして彼は黒人なんです… 奴隷制度が始まったここヴァージニア州で、このアイデンティティを維持するなんて並大抵の神経ではありません。 しかもこんな条件のもと、凶悪事件に立ち向かっていく。私ならすぐに逃げ出しますね。是非この男の情熱を味わってほしいです! ちなみに表紙のカッコイイ写真、保安缶バッチをさわっている…読んでいただければわかりますが、クールすぎて漏らしました。 本作もやってくれたS・A・コスビー、悶絶必死の社会派警察小説。まぁ私的には控え目に言って今年の必読書ですね。素晴らしい一冊でした。 ■ぜっさん推しポイント 間違った信念ほど恐ろしいものはありません。一方向だけの結論を重視して、途中の議論や手段はどうでもよくなってしまう。 こうなると正義感は歪んでいき、さらに発展すると行き過ぎた道徳や価値観の押し付けになる。そして最終的には法律をも度外視する。 我が国日本においても、いまだ様々な差別があるし、格差社会は解消しない。ネットでの中傷程度であればまだましで、こんな大きな事件が発生しないことを願わずにはいられませんでした。
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