君の余命、買い占めました の商品レビュー
小説紹介のけんごさんが、TikTokでご紹介されていた短編集。 で、気になって読んでみたら、大正解でした! 短編集なんですけど、どれもちょっと変わった近未来?のお話で、そこがなんとも面白い! 一話10ページほどの短い物語なので、読書初心者さんにもおすすめです! ちなみに、私がいち...
小説紹介のけんごさんが、TikTokでご紹介されていた短編集。 で、気になって読んでみたら、大正解でした! 短編集なんですけど、どれもちょっと変わった近未来?のお話で、そこがなんとも面白い! 一話10ページほどの短い物語なので、読書初心者さんにもおすすめです! ちなみに、私がいちばん好きだったのは、『車椅子のナンパ師』です。 毎日のようにダル絡み(笑)してくる車椅子の老人にイライラしている主人公。 けれど、その老人がナンパする意味を知ると…。 全ての話が感涙です。
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風景や人物描写や緻密で、臨場感がありました。小説の冒頭から色鮮やかな映像が浮かぶような作品で、「アニメ化やドラマ化されたら、こんな描写になるのかな」と、想像をかき立てられました。 読み始める前に、タイトルからどんな内容だろうと想像してみましたが、想像を超えてきました。よく思いつく...
風景や人物描写や緻密で、臨場感がありました。小説の冒頭から色鮮やかな映像が浮かぶような作品で、「アニメ化やドラマ化されたら、こんな描写になるのかな」と、想像をかき立てられました。 読み始める前に、タイトルからどんな内容だろうと想像してみましたが、想像を超えてきました。よく思いつくなと、感心してしまう設定でした。設定がわかってからも予想外の展開が続き、最後まで飽きさせない内容でした。 最近は読書時間をなかなか設けることができず、小説を読む機会が減っておりましたが、こちらはちょうどいい文量の短編集でした。おかげさまで、1作品ごとに集中して楽しむことができました。12編全て読ませていただきましたが、1作目の衝撃が大きく、タイトルでもある『君の余命、買い占めました』が一番面白かったです。 私自身、趣味で文章を書く機会が多いのですが、作者の紡ぐ文章から学ばせていただくことが多かったです。感動と学びをいただき、ありがとうございました。次作も楽しみにしております。
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全て面白かったのですが、『三代目彼女』が特に刺さりました。 主人公の、ある種独りよがりとも言える片思いが長い年月をかけて成就するような少し不思議なラブストーリー。初めはアンドロイドを彼女にする主人公にあまり共感できなかったのですが、三人目のイオリ辺りから引き込まれて深く共感を覚えました。両親が不仲だったからこそ、喧嘩になることのないアンドロイドと結婚したいという彼の感情が自然に思えて少し涙が出ました。感情が読み取れなかった先代彼女たちの存在のおかげで、イオリが訳も分からず涙を流すラストシーンが一際際立って美しかったです。
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この作品は面白いです! エモく、心に刺さる物語が多い短編集です。 特に「三代目彼女」という物語が印象的でした。 アンドロイドの彼女が題材の話なのですが、読んでいて涙が止まりませんでした。読了後も泣いている自分に驚いています。この短編は「もっと早く気づいてほしかった」と思う反面、...
この作品は面白いです! エモく、心に刺さる物語が多い短編集です。 特に「三代目彼女」という物語が印象的でした。 アンドロイドの彼女が題材の話なのですが、読んでいて涙が止まりませんでした。読了後も泣いている自分に驚いています。この短編は「もっと早く気づいてほしかった」と思う反面、「それで良かった」とも思える、不思議な話でした。切なく、温かく、心を動かされる作品です。この本を手に取って良かったと思っています。
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本書のタイトルでもある、『君の余命、買い占めました』の感想です。 死は幻影であり、人の意識は死後に別次元へ移転する。さらに、人間の寿命を正確に割り出す『寿命時計』が開発され、余命を他の人間に移し替える技術によって寿命が売買される…という世界。 これがもしも現実になったら、生まれて間もない寿命たっぷりの新生児の誘拐が頻発しそうで空恐ろしいですね。別次元でのニューライフも気になります。その次元では、元のような人の姿をとどめているか分かりませんが。世の中の常識が一変するのだろうな。。 今、医療技術が発展し、人工臓器の移植のニュースも見聞きしますが、人生の価値について改めて考えました。 主人公の章吾の、どこか諦観まじりの生き方が変わる部分がよかったです。寿命を売って得た3億を全額母親の口座に入金するのは、あまりに無頓着では!?と思ったのですが、そういう人の良さにヒロインの楚良も惹かれたのかもしれません。 楚良は、自分に残された人生の時間をどう使うべきか、きっとたくさん悩んで葛藤したのだろうと思います。 どんな気持ちや表情で結論を出したのだろうかと彼女の様子を想像すると、胸にくるものがありました。 命が連綿と継がれていくように、楚良の語っていた夢を章吾が引き継いで再起していく心情を思うと、とても切なかったです。 人生の残り時間について思いを馳せる物語でした。
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12編の短い話からなる短編集です。 1話1話が短いためすぐに読めます。 また、読んだ人の境遇や今置かれている状況によって、人それぞれ感想が全く別物になるような予感がします。 題名で最も興味を惹かれたものは、 「耳の聞こえない風俗嬢」です。 先天性難聴者の女性が風俗嬢になるお話で...
12編の短い話からなる短編集です。 1話1話が短いためすぐに読めます。 また、読んだ人の境遇や今置かれている状況によって、人それぞれ感想が全く別物になるような予感がします。 題名で最も興味を惹かれたものは、 「耳の聞こえない風俗嬢」です。 先天性難聴者の女性が風俗嬢になるお話ですが、先天性のハンデがあっても周囲の理解やサポート、そして何より本人の想いがあれば出来る事が必ずあるのだと思いました。 私自身にもとある障害があるのですが、それを踏まえた上で自分自身にも出来る事を探したいと思いました。 他の話もタイトルからでは内容を想像出来ない物が多く、一読の価値ありです。
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この小説の最大の魅力は、主人公が直面する困難に対する彼の姿勢と、その中で見せる成長です。章吾は、自分の余命を売るという極限の選択肢に追い込まれながらも、人間としての尊厳を失わず、他人を助けようとする意志を持ち続けます。また、彼が周囲の人々とどのように関わり、支え合いながら生き抜くかを描いたシーンは、読者に深い感動を与えます。 物語全体に流れるエモーショナルな要素は、登場人物たちの人間関係の複雑さと、それぞれのキャラクターが抱える内面的な葛藤によって引き立てられています。章吾の親友である楚良との関係や、母との再会、そして彼の命をかけた選択など、全てが読者の感情を揺さぶります。特に、章吾と楚良の絆や、彼らが共有する苦労と希望が描かれるシーンは、エモーショナルな共感を呼び起こします。 この小説は、読む人の心に深く訴えかけ、涙を誘う感動的なストーリーです。現代社会の問題や家族の絆、そして個人の選択といったテーマを通じて、多くの人々に強い印象を与える作品となっています。
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【孤独死クライマー】が特に良かったです。ゴミ屋敷を掃除するクリーン会社の人たちが、孤独死をした人の部屋の清掃をしながら、故人のことを考えるストーリー。孤独死するというと、頑張ってなかった人、友達もいなくて寂しい人など、みすぼらしい感じがプンプンするけど、実際はそうでもなくて誰もの隣り合わせに存在しているんだな、と。ふとしたきっかけで自ら社会との間に壁を作り、孤独を選ぶ人もいる。決して可哀想、でまとめてはいけない社会現象。彼らにも歴史があって、誰かの記憶に残っている。人間みな死ぬ時は来るけど、果たして自分はどうなのだろう…と考えさせられました。
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一言でいうのなら「切なくも美しい12の人生を描いた本」。 短編小説12編が綴られたこの一冊。 読んでいくと、丁寧に描かれた繊細な描写に、その世界がありありと目に浮かぶようでした。 ひとは生きていれば、キラキラした輝かしい人生ばかりではなく。 時に見たくはない・・・裏切りや病・死...
一言でいうのなら「切なくも美しい12の人生を描いた本」。 短編小説12編が綴られたこの一冊。 読んでいくと、丁寧に描かれた繊細な描写に、その世界がありありと目に浮かぶようでした。 ひとは生きていれば、キラキラした輝かしい人生ばかりではなく。 時に見たくはない・・・裏切りや病・死・貧困等…といった暗闇もあります。 けれどそうした暗闇の中にも、最後に優しい月のような光をてらすこの12編は、読後じんわりとした優しさやあたたかさを感じさせてくれました。 そして物語の余韻が、しばらく胸に残るような…そんな内容でした。 今辛い。 苦しい。 悲しい。 何かモヤモヤとしている。 そんな時ほど、この物語に触れて欲しいと思います。 生きるって、辛いだけじゃない。 この世界にだって優しさが溢れている。 だから今を生きていこう。 そう思わせてくれる12の物語でした。
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主人公の章吾と楚良の純粋な心に、自己中心的な人間ばかりの現代で忘れていたものが見つかった気がしました。特に章吾の母は信じられないくらいのずる賢い母ですが、何も疑わずに自分の余命全てを母に捧げてしまうなんて心が優しすぎて切なくなりました。 技術が進歩して自分の寿命を売買できるように...
主人公の章吾と楚良の純粋な心に、自己中心的な人間ばかりの現代で忘れていたものが見つかった気がしました。特に章吾の母は信じられないくらいのずる賢い母ですが、何も疑わずに自分の余命全てを母に捧げてしまうなんて心が優しすぎて切なくなりました。 技術が進歩して自分の寿命を売買できるようになった世界。貧しさゆえに自分の寿命を3日間分だけ売ってしまった楚良も世界中で貧困の差が激しい現代の象徴のような気がしました。 そんな貧困な楚良ですが他人を思いやる気持ちに心打たれました。しかも自分の余命を省吾が知らぬ間に捧げてしまいその思いを手紙に託して亡くなってしまいます。 楚良から託された命をガムシャラに働き成功を納め、自分の寿命を買い戻した省吾は楚良との短いけれど、とても濃い思い出を大切にして生きていく姿に、切なくも人間は本来はこんなに優しく強いものなんだと久々に実感できました! コロナ禍で人との関わり方が苦手になってしまった若い方々にぜひ読んでいただきたいなと思います。
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