グリフィスの傷 の商品レビュー
傷について改めて考えてみると、見えるものもあれば、見えないものもある。生じた背景も事件、事故、自傷等、原因も様々だ。ここには、そうした色々な角度からの傷があり、テーマは同じなのに、十もの物語が紡がれており、レパートリーの多さに敬服した。 中には、刺青のお話があり、あおたんと表...
傷について改めて考えてみると、見えるものもあれば、見えないものもある。生じた背景も事件、事故、自傷等、原因も様々だ。ここには、そうした色々な角度からの傷があり、テーマは同じなのに、十もの物語が紡がれており、レパートリーの多さに敬服した。 中には、刺青のお話があり、あおたんと表する女の子がいた。どちらの発想もなかったので印象に残っている。
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傷をテーマにした短編集でした。淡々とややシニカルな内容と思います。 私個人はあまり思い入れるようなところがなく星2つとしましたが、綺麗な読みやすい内容だと思いました。
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- ネタバレ
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傷をめぐる物語 傷跡といえど様々、けが、事故、自傷行為、手術跡、見えなくなった傷、心に残り続ける傷、誰かにつけられた傷、忘れてしまっていた傷…、そこから物語られるストーリー。 千早さんの小説は今回が初めて読む作品でした。千早さんの描く中年男性はやけにリアルで文章から加齢臭が漂ってくるようでした。 傷というのは負の印象だけではない、時により救われる傷、生きているという勲章にもなる。死んでしまえば身体に刻まれた傷さえも消えてしまう…、傷が今存在しているということは生きているということ。 なぜ傷ができたのか…、他者へのアイデンティティとなり、自分への記憶でもある。 短編それぞれのどのタイミングで傷の話が出てくるのか気になり、どんどん読み進めてしまいました。 誰しも生きていれば大なり小なり傷というのは負ってしまう、たとえ消えてしまったとしても、見ることのできない心の傷でも。自分の負った傷や家族の傷、そのときの思い出や感情がよみがえってきました。
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「慈雨」と「まぶたの光」が良かった。 私も似た感情を持った事があるので… 慈雨では自分の子に自分の不注意で子の体に傷をつけてしまい、親も自分の心に傷を負ってしまったような感情を持ってしまった経験がある…親になるとそんな経験がある方も結構いるのでは?私もありました。今でも思い出しま...
「慈雨」と「まぶたの光」が良かった。 私も似た感情を持った事があるので… 慈雨では自分の子に自分の不注意で子の体に傷をつけてしまい、親も自分の心に傷を負ってしまったような感情を持ってしまった経験がある…親になるとそんな経験がある方も結構いるのでは?私もありました。今でも思い出します。 まぶたの光では中学生が年上の同性の人に好意や憧れの感情を持つ様子が描かれています。主人公の「あたし」が医師の「さやちゃん先生」に好意を抱いている様子が可愛らしくて心がほっこりしました。
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一番最初の「竜舌蘭」が良かった。 目に見える形になるまで、人の痛みに気づかない。 興味がないものは見えない。 説得力があり過ぎて困った。 命を懸けるくらいなら、前段階として血が滴るほどの傷を見せつけてみるのも一つの手段かなと思った。
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おもしろかったものと、あまり…のもの半々くらい。 「結露」「林檎のしるし」はよき。 本のタイトルになっている「グリフィスの傷」は全く読解できんかった。
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あらゆる「傷」に関する10の短篇集。 ひとつひとつが短く、だけど衝撃は強め。 「傷」にもさまざまある。身体の傷、心の傷、そしてそのふたつの傷が同時につく場合もある。 場合も、というか、連動することのほうが多いのかもしれない、と読んでいて思った。 クラス内でのいじめによる傷、過去...
あらゆる「傷」に関する10の短篇集。 ひとつひとつが短く、だけど衝撃は強め。 「傷」にもさまざまある。身体の傷、心の傷、そしてそのふたつの傷が同時につく場合もある。 場合も、というか、連動することのほうが多いのかもしれない、と読んでいて思った。 クラス内でのいじめによる傷、過去の背徳的な恋愛でついた傷、犯されることで負ってしまった傷、夫の愛人に刺し殺されかけたときについた傷…そういう傷に、またべつの(他者のものであったりとか)傷が重なる、言い方は変だけど、「傷のコラボレーション」のような物語群だった。 自分自身、からだの一部に消えない傷を負ったことがある。心のほうもあるだろうけど、目を逸らしたままのほうが楽でいられる傷もあるし、複合的な積み重ねにより生まれてしまう傷もある。 時間の経過によって徐々に薄れる場合と、強いトラウマによってなかなか薄まらない場合とがある。 向き合うことで克服できる傷もあれば、向き合ってしまうことでその人を殺してしまうかもしれない傷もある。 色んな種類の「傷」の物語を読みながら、自分の傷、そして人の傷について思った。 静かで、痛くて、美しい小説でした。
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手にとった時、随分薄い本だなと思った。 けれど、中身は充分厚かった。 傷をテーマに幾つもの短編。哀しみや切なさがたくさん含まれているけれど読後はなぜかすっきり。 自分自身の傷痕を久しぶりにみたけれどわたしはもうすっかり癒えていた。
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繊細でくっきりした、ジェットストリーム(0.38mm)のインクで描かれたような物語。 消えない傷は生者の勲章。なるほど。確かに。温かい思い出に繋がる傷も、人生を損なう取り返しのつかない傷も、人生を開いてくれる傷もある。様々な傷が、それぞれの形で描かれる。 描かれているのが傷だから...
繊細でくっきりした、ジェットストリーム(0.38mm)のインクで描かれたような物語。 消えない傷は生者の勲章。なるほど。確かに。温かい思い出に繋がる傷も、人生を損なう取り返しのつかない傷も、人生を開いてくれる傷もある。様々な傷が、それぞれの形で描かれる。 描かれているのが傷だからか、妙に生々しく感じられた。
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からだは痛みを忘れない_ たとえ肌がなめらかさを取り戻そうとも… この静謐な世界観にひたると 過去に得た傷が疼きだし どくどくと脈を打つような感じがした… 目に見える傷 見えない傷 自分を変えてくれた傷 後悔が残る優しい傷… 傷にも大切なヒストリーがある… ...
からだは痛みを忘れない_ たとえ肌がなめらかさを取り戻そうとも… この静謐な世界観にひたると 過去に得た傷が疼きだし どくどくと脈を打つような感じがした… 目に見える傷 見えない傷 自分を変えてくれた傷 後悔が残る優しい傷… 傷にも大切なヒストリーがある… 心がざわつき ヒリヒリとさせられる でも不思議と どの短編も 仄かな切なさや優しさを残してくれる… 千早茜さんの小説は 狂おしいほど面白く いつも夢中になって読んでしまいます♡
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