死の貝 の商品レビュー
断片的には知っていた地方病(日本住血吸虫症)。終息、撲滅するまでの先人達の大変な苦労を改めて知った。山梨で終息宣言が出たのが平成になってからと言うのも驚き。また山梨が全国一のぶどう、桃の産地になったのも地方病がきっかけだったとは。これは必読の一冊
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日本に古来より(少なくとも江戸時代から)存在し、農民を苦しめてきた謎の病。感染すると腹が妊婦のように膨れ上がり、やがて動けなくなり、死に至る。この恐ろしい病の原因は日本住血吸虫という寄生虫であった。 このような病が存在していたことに驚いた。恐ろしい症状、病原である日本住血吸虫とい...
日本に古来より(少なくとも江戸時代から)存在し、農民を苦しめてきた謎の病。感染すると腹が妊婦のように膨れ上がり、やがて動けなくなり、死に至る。この恐ろしい病の原因は日本住血吸虫という寄生虫であった。 このような病が存在していたことに驚いた。恐ろしい症状、病原である日本住血吸虫という寄生虫、感染経路など、不思議に思えることがたくさんあった。特に日本住血吸虫の生活史は大変奇妙に思えた。1センチにも満たない小さな貝を中間宿主として成虫になり、人間などの最終宿主に寄生する。雄の成虫には溝があり、その溝に雌が入り込み、ひたすら交尾して、産卵する。人工的と感じるくらい複雑な生態をしており、生物には本当にデザイナーがいるのでは、と思ってしまった。 また、1つの病の原因を特定し、その原因を取り除くことが如何に困難なことか、よくわかった。このような大仕事を先人たちが果たしてくれたおかげで、多くの人々が健康に生きていくことができるということを忘れないようにしたい。
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風土病である日本住血吸虫症の撲滅の話し 明治中期から平成まで何人、世代を引き継いだ 医師、また自ら検体を提供した患者 根絶に向けて地道な努力をした地元民の熱意に 心を打たれた あと、中間宿主であるミヤイリガイを撲滅するために 生態系や自然環境を変えないといけない その後の生態系の変化や数が減少したミヤイリガイの 事まで触れている点も評価する
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日本住血吸虫。耳にしたことはあったが概要は知らなかった。 100年以上にわたる住血吸虫との戦い。膨大な資料を当たったんでしょう。労作。 ミヤイリガイを駆除するのに自衛隊が火炎放射器を使ったそうな。画像探してみよう。
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帯の "Wikipedia 3大文学" との文言に釣られて手に取った一冊。本書は、日本住血吸虫症と呼ばれる病との闘いを記録したノンフィクション。 「水腫張満」、腹に水がたまって妊婦のように膨れ、死に至る者も多い、そんな病が日本の数か所の地域で発生していた。...
帯の "Wikipedia 3大文学" との文言に釣られて手に取った一冊。本書は、日本住血吸虫症と呼ばれる病との闘いを記録したノンフィクション。 「水腫張満」、腹に水がたまって妊婦のように膨れ、死に至る者も多い、そんな病が日本の数か所の地域で発生していた。山梨の甲府盆地、広島の福山市神辺、そして福岡・佐賀の筑後川流域。もちろん初めのうちは、それぞれの地域で奇病があることがその土地の住民や医師に分かっていただけだった。 その状況が動き出したのは、明治に入り西洋医学が導入され、さらに徴兵検査によって体格不良者が多いことが明らかになって、その原因を調べることが国家的課題となったことからだった。 多くの医師や研究者の努力により、ようやく原因が解明される。それは寄生虫によるものだった。次に求められるのは治療方法の確立と予防対策。そして長年にわたり多額の費用をかけた対策が講じられ、遂に日本では日本住血吸虫症の終息が宣言された。 本書はそこに至るまでの先人の苦労とドラマを描くことで、病気を根絶することの素晴らしさを謳い上げるとともに、終わった過去のこととして忘れてはいけないことを教えてくれる。 (トイレの水洗化や農作業の変化などにより、日常生活で寄生虫を意識するようなこともほとんどなくなってしまった。学校での検便検査をしたことが懐かしい。)
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Wikipedia三大文学があるという。 八甲田山雪中行軍遭難事件、三毛別羆事件と並んで日本住血吸虫症。 本書は題材からも内容からも「八甲田山死の彷徨」「羆嵐」と共に屈指のノンフィクション。 原因不明の地方病、山梨県、岡山県など一定の地域にだけ見られ、治療法もない不知の病。 現...
Wikipedia三大文学があるという。 八甲田山雪中行軍遭難事件、三毛別羆事件と並んで日本住血吸虫症。 本書は題材からも内容からも「八甲田山死の彷徨」「羆嵐」と共に屈指のノンフィクション。 原因不明の地方病、山梨県、岡山県など一定の地域にだけ見られ、治療法もない不知の病。 現代医学から病の原因を探り、また病を根絶していく医師たちの戦い。
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大部分が引用されていたWikipediaで読んだものの、当たり前だがこの本によってより詳細を知ることができた。文庫化にあたって筆者による解説が加わったが、そこにコロナの流行の件も書かれており、自分が体験したことと重ねて当時の苦しみや必死さを想像することができた。
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寄生虫とかグロテスクなものが好きな私にとってこれ以上魅力的なタイトルがあるだろうか。日本住血吸虫というおどろおどろしい寄生虫の名前、興味をそそられる。 明治、大正時代の農作業者が苦しめられた寄生虫に立ち向かう医師たちの執念があって今の衛生的な暮らしがある。感謝してもしきれない。 ...
寄生虫とかグロテスクなものが好きな私にとってこれ以上魅力的なタイトルがあるだろうか。日本住血吸虫というおどろおどろしい寄生虫の名前、興味をそそられる。 明治、大正時代の農作業者が苦しめられた寄生虫に立ち向かう医師たちの執念があって今の衛生的な暮らしがある。感謝してもしきれない。 それにしても雄と雌が常に抱き合い動物の臓器の中で血を吸い放題の彼らの暮らしぶりはなんて甘美なのか。殺伐とした社会でストレスを抱えながらなんとか子育てして食べるために毎日身を粉にして働く私たちのほうが本当に高等生物なのか?
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