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絶海 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2024/09/23

1740年にイギリス艦隊がホーン岬を回って座礁した事件。海の迫力、悲惨な病気、飢えと人間の生存競争などなど迫力満点の読み応え。そもそも他人のものを奪おうとする時点でジェントルマンじゃないでしょ。

Posted byブクログ

2024/08/26

 1740年に250人の乗組員でイギリス・ポーツマスを出航したウェイジャー号は、当時の覇権国家スペインのガレオン船を拿捕し、金品を奪うことが目的だった。後悔は熾烈を極め、当時まだ未知の病だった壊血病や伝染病に多くの乗組員が倒れ、そして壮絶な嵐の中で南アメリカ大陸最南端のホーン岬を...

 1740年に250人の乗組員でイギリス・ポーツマスを出航したウェイジャー号は、当時の覇権国家スペインのガレオン船を拿捕し、金品を奪うことが目的だった。後悔は熾烈を極め、当時まだ未知の病だった壊血病や伝染病に多くの乗組員が倒れ、そして壮絶な嵐の中で南アメリカ大陸最南端のホーン岬を回ったあたりついに難波してしまう。  後にウェイジャー島と呼ばれるようになる島に上陸した時には、乗員は145名になっていた。  無人の荒涼としたした島には何もなかった。飢えと裏切り、極限の状態の中で人肉食。極限の中で生き残るために軍紀を守ろうとする人、生き残るために上官に反旗を翻すもの。  極限の状況の中での判断、行動・・・・凄まじい記録。人間は強い、のかもしれない。過酷すぎる状況でも生き延びる人間がいる。どれだけ過酷だったのか、それは本書を読んでいただいたほうがいい。生還したのは33名。  上官に反旗を翻したグループと、軍紀を守ったグループのどちらもごく少数が生き延びた。ただ、ほんの少数の生き残りの多くは、どちらのグループも艦長や士官や士官候補や、つまり階級が上のものだった。  18世紀英国の現実。

Posted byブクログ

2024/08/14

この作家による(花殺し月の殺人)を読んでいて、失敗しないかなと、思って読み始めた。難破船とか、遭難物は、あまり読んでいなかったので、想像を超える状況には、絶句し、読むスピードも、どんどん早くなっていきました。 この時代の、世界情勢や、倫理観も、わかるし、何より、サバイバルな生存競...

この作家による(花殺し月の殺人)を読んでいて、失敗しないかなと、思って読み始めた。難破船とか、遭難物は、あまり読んでいなかったので、想像を超える状況には、絶句し、読むスピードも、どんどん早くなっていきました。 この時代の、世界情勢や、倫理観も、わかるし、何より、サバイバルな生存競争、そして最も深く考えさせられたのは、南極に近いあの地理的状況、海の凄まじさ、緯度経度、地図他不正確もしくは、全くわからない、現在では、考えられない危機的状況を、乗り越えて行った部分でした。 なんとか生きて戻ってからの、立場や、苦難も、それは大変だったとは、思うが、何より生還できて良かったな!

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2024/08/07

エンデュアランス号を先に読んだ。絶海は18世紀のロビンソンクルーソーに端を発する海洋冒険物語の帝国植民地政策と南米大陸の覇権をスペインと争っていた時代のイギリス海軍が対スペイン帆船拿捕のための作戦のために出港した船が難破して、不毛な無人島で漂流生活をおくる話である。著者は当時出版...

エンデュアランス号を先に読んだ。絶海は18世紀のロビンソンクルーソーに端を発する海洋冒険物語の帝国植民地政策と南米大陸の覇権をスペインと争っていた時代のイギリス海軍が対スペイン帆船拿捕のための作戦のために出港した船が難破して、不毛な無人島で漂流生活をおくる話である。著者は当時出版された航海日誌や未発表の日誌から取材をして書いている。 漂流生活はエンディアランス号よりもキツイ。壊血病などでとんでもない数が死ぬ。医療が未発達で病気の原因がわかっていない。無人島上陸後は集団の中で対立がおきて雰囲気が悪くなる。人間関係の話だ。蠅の王みたいな感じ。 凄まじいサバイバル生活のあとでも暮らしは豊かにならないし開放黒人奴隷に至っては途中で拉致され奴隷として売られてしまう。人生のとんでもない不条理さと過酷さがある。 著者は当時の帝国主義が原住民を虐殺する物語を勝者の立場から描いたと批判する。つまり自分たちに都合のいい物語を作り上げたのだ。艦長であるジョージ・アンソンは帰国後に自身の航海録を出版するがこれはゴーストライターが他者の航海日誌を混ぜ合わせアンソンを褒め称えるように執筆したものである。ベストセラーになり今でも読み応えのある本らしいが歴史は勝者が描くものだというのが如実に伝わる。

Posted byブクログ

2024/06/29

1740年9月18日にポーツマスを出港した元商船の軍艦「ウェイジャー号」、その壮絶な航海の記録から紐解かれた考察の一冊です。 国家事業としてのスペイン商船拿捕・鹵獲…つまり海賊のような略奪を任務にする本船は、志半ばで座礁し乗組員は無人島へ漂着することになります。 海の男が陸に上が...

1740年9月18日にポーツマスを出港した元商船の軍艦「ウェイジャー号」、その壮絶な航海の記録から紐解かれた考察の一冊です。 国家事業としてのスペイン商船拿捕・鹵獲…つまり海賊のような略奪を任務にする本船は、志半ばで座礁し乗組員は無人島へ漂着することになります。 海の男が陸に上がると船での階級意識が薄れてしまうのか、反乱が常に起こり得る日々が続くことになりました。 そして遂に島に残る船長チープ組と脱出する組とに分裂し、この軋轢は彼らの人生を通して響くことになるのです。 奪い合い、殺人、人肉食などの極限状態が資料を基に現実味を帯びた筆致で描かれます。

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2024/06/01

本書執筆のきっかけは、280年ほど前の古びた航海日誌のデジタルコピーを目にして、著者が内容の凄まじさに興味を引かれたからだという。そこで、英国の国立公文書館で一次資料を閲覧すると、乗務員リストの脇に「死亡除隊」とある人数の多さに驚き、その意味を解き明かすことにした。著者はアメリカ...

本書執筆のきっかけは、280年ほど前の古びた航海日誌のデジタルコピーを目にして、著者が内容の凄まじさに興味を引かれたからだという。そこで、英国の国立公文書館で一次資料を閲覧すると、乗務員リストの脇に「死亡除隊」とある人数の多さに驚き、その意味を解き明かすことにした。著者はアメリカのジャーナリスト。 1740年9月、英国軍艦ウェイジャー号は、財宝を積んだスペインのガレオン船(帆船の種類)の拿捕という密命を帯び、小艦隊の一隻としてポーツマス港を出港。南米大陸の南端・ホーン岬を回り太平洋へ向かう計画だった。季節は3月、秋から冬に向かう頃の南緯50度を超える海は過酷を極め、艦隊から離れてしまったウェイジャー号。何とか岬を回り、太平洋を北上するも、チリの南西に位置する島に座礁、そこはウェイジャー島と呼ばれることに。そして、発疹チフスや壊血病で命を落とす者もあり、250人いた乗組員は145人に減っていた。 パタゴニアの先住民に遭遇し、食料を提供されたが、ほどなく見棄てられてしまう。島でのサバイバルで、さらに人数が減り、3つのグループに分裂。それぞれから数名ずつが、数年後に英国に戻ることに成功。当時の軍規は絶対で、どうやって自分たちの行いを正当化し、規律を破ることなく行動したか、それぞれが主張することに。 日本では徳川吉宗が八大将軍を務めていた時代。生き延びた数名が残した日誌や手記を集め、一冊にまとめた著者の調査力が評価されている。歴史は、政治や記した人物の属する派閥などで、すべてが事実ではないことや、都合の悪いことが省かれていたりするのは常。中には脚色されたものも混じったという。

Posted byブクログ