何故エリーズは語らなかったのか? の商品レビュー
幸福とは何か?神の恵みという表現からは、人が志向して望むだけが幸福ではないとの説が成り立つ。 意識だけが、幸福を紡ぐのではない。 個を超えたところ、種の領域に根ざす幸福も、我々を縛っているのかもしれない。 気づかないところでそっと…。しかし強固に。 「人間っていうのは、とても...
幸福とは何か?神の恵みという表現からは、人が志向して望むだけが幸福ではないとの説が成り立つ。 意識だけが、幸福を紡ぐのではない。 個を超えたところ、種の領域に根ざす幸福も、我々を縛っているのかもしれない。 気づかないところでそっと…。しかし強固に。 「人間っていうのは、とても高い適応能力を持っているんだ。自分で信じてしまうものが真実になる。騙されているのに、騙されているのではない、自分から信じたと思い込めそうして自己防衛するからね。むしろ、外部から観測すると、騙さ れたいと思っているようなものだ。 幸せというものの大部分は、自分で自分を騙している。騙されたいことに近づき、騙されて嬉しくなる。そんなメカニズムかもしれない」p107 「理屈がないから恐ろしい。理屈から外れているから怖いんだね。でも、理屈の及ばないものが存在して、それが私たちを統べる存在なんだ。それがなかったら、人間はばらばらになって、力を合わせることもないし、お互いに話し合うこともない。愛した り憎んだりしながらも、人間が社会を作ってきたのは、怖いものの存在があったからだともいえる」p266
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毎回違うテーマで問いかけがある。それと別に主人公ペアぞれぞれの感情がゆっくり変化して、低温〜常温での思索の面白さから、ちょっとほっこりした物語になってきた感じがする。
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・Wシリーズからずっとクールで仕事人間だったロジ。しかし、ここに来て彼女に大きな変化が。銃を撃ちたくないと言った彼女に、変化は成長だと言ったグアト。そんなグアトが好き。 ・何故エリーズは語らなかったのか。今回はタイトル回収が分かりやすい。いや、何故語らなかったのか、根本的な理由は分かってないとも言えるが。 ・最初の、エリーズがグアトに会いたがっているという噂は結局何だったのか? ・彼は何故情報をくれたのか?個人解釈メモ 1.殺したのに思ったような事件にならず、どういうことなのか知りたかったから。 2.究極の恵みについては知っていたが、もしかしたらヴァーチャルでは生きている可能性もあると思い、居場所を探す手掛かりになればと思ったから。
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究極の恵み、とか、神が与えた最後の恵み、という、いかにも怪しい言葉が出てきて、これがどこかで覆るのかと思っていたら、ある意味で、そのまんまの意味だった、というのが驚きだった。 あと、前巻の最後での展開については、あんまり大きな影響がなく細やかに進んでいるという感じだった。 このシ...
究極の恵み、とか、神が与えた最後の恵み、という、いかにも怪しい言葉が出てきて、これがどこかで覆るのかと思っていたら、ある意味で、そのまんまの意味だった、というのが驚きだった。 あと、前巻の最後での展開については、あんまり大きな影響がなく細やかに進んでいるという感じだった。 このシリーズ、最初のあたりはウォーカロンとかの話になっていたはずだけど、最近は(ここ数年は)リアルとバーチャルで人間の意識はどう変わるのか、という視点に移ってきたように思う。人間の意識もどうなるのか、というのも気になるし、ウォーカロンがどうなるかも気になるので、できれば最新刊を毎月読みたいところ。
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エリーズ.ギャロア博士が失踪、リアルの世界でボディが消滅する。エリーズはヴァーチャルの世界で「究極の恵み」を有するプログラムを開発していた。「究極の恵み」とは?グアドたち情報局員はその謎を追う。死の存在があるリアルの世界、その死を回避するためにヴァーチャルの世界に移行した人間。神...
エリーズ.ギャロア博士が失踪、リアルの世界でボディが消滅する。エリーズはヴァーチャルの世界で「究極の恵み」を有するプログラムを開発していた。「究極の恵み」とは?グアドたち情報局員はその謎を追う。死の存在があるリアルの世界、その死を回避するためにヴァーチャルの世界に移行した人間。神が創った自然の営みと人間の作った歪みというところか?地球に人間が居なければきれいなままだったと、ヴァーチャルの世界に移行した人間の目的に矛盾を感じるが「究極の恵み」に納得できた。ロジのナイーブな一面が良かった。
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ロジがバチバチに可愛い巻。リアルでの死と同じように、ヴァーチャルでの死を実現させようとするプログラム=神の恵みを開発したエリーズという研究者のお話。もう何だか凄いところまできてる、このシリーズ。
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人間がヴァーチャルへシフトすることができる時代。 エリーズ博士はなぜ語らなかったのか?どこにいるのか? シリーズとして安定して楽しめるのもグアトとロジのやり取り、グアトと人工知能のやり取りが楽しいからかな。 読みながら毎度ニヤニヤしてしまう
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あぁそうか…(._.)ここまでバーチャルの世界が確立されていても、リアルで不老長寿が実現しても、結局行き着く先はそこなのか?(-_-;)ロジの不調はホルモンバランスの乱れか?母性本能のせいか?それとも他に理由が?(・・;)と気になるけれど、とても可愛い(*^^*)
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エリーズ・ギャロワ博士が行方不明に。彼女が作り上げた「究極の恵み」とは何なのか。 人間にとっての死とはどういうことを指すのか、バーチャルが広がった世界で死とはどういう意味を持つのか、がテーマ。 森博嗣さんの本を読んでいると本当にこういう問題が起こっているような気になる。ここま...
エリーズ・ギャロワ博士が行方不明に。彼女が作り上げた「究極の恵み」とは何なのか。 人間にとっての死とはどういうことを指すのか、バーチャルが広がった世界で死とはどういう意味を持つのか、がテーマ。 森博嗣さんの本を読んでいると本当にこういう問題が起こっているような気になる。ここまで想像が先を行く事がすごい。 でもWシリーズから(もっと遡ると四季シリーズあたりから)リアルからバーチャルに行く、つまりリアルの体は殺してバーチャルの世界に移るというのがどうしても感覚として理解が及ばない。 リアルの意識が途絶える事はやはり死ではないのかな?
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240616*読了 いつも森博嗣さんの新刊が出るのを待ち遠しく思っている。 WWシリーズの中でも本筋と別の話。おやつのような巻と言えばいいだろうか。 エリーズ・ギャロワ博士がリアルからもバーチャルからも姿を消し、その行方と謎を追うストーリー。 こうかな?と予想していたものがまっ...
240616*読了 いつも森博嗣さんの新刊が出るのを待ち遠しく思っている。 WWシリーズの中でも本筋と別の話。おやつのような巻と言えばいいだろうか。 エリーズ・ギャロワ博士がリアルからもバーチャルからも姿を消し、その行方と謎を追うストーリー。 こうかな?と予想していたものがまったく違う角度で種明かしされる。それが森博嗣ワールドのおもしろさ。 ギャロワ博士がつくりだした究極の恵みが、まさかそんなものだったとは。確かにそれはバーチャルが発達した世界においては恵みとなりうるのかもしれない。 そして、ロジの気持ちの変化がよかった。 人は変わる。次第に変わっていく。 変わらないその人の本質的な部分が、生まれたときから少しずつ周囲に合わせて変わっていって、また何かをきっかけとして本来の自分へと戻っていく。その変化。 もう続きが読みたい。そして、いつまでも続いてほしい。
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