刑の重さは何で決まるのか の商品レビュー
刑法入門としてわかりやすくてよかった。あと第5章が興味深かった。 過去の関連読了本 『刑法的思考のすすめ』仲道祐樹(大和書房)
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第5章に出てきた考え方は新しい視点で参考になった。概説書を読んでもあまり出てこない話なので、少し視野が広がった気がする。 法学を学んでいるものにとっては、犯罪論、処遇論、量刑論は講義の復習になるかなという印象。
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メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1838091137481117925?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw
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■「廊下に立たされる罰」から刑罰を考える 第1は、因果応報。宿題をやってこなかったから、その反作用として、廊下に立たせる罰を科すというだけのことで、他に目的はない。 第2は、他の生徒達への「見せしめ」。宿題をやってこないと、廊下に立たされることになるので、皆に宿題をやらせるた...
■「廊下に立たされる罰」から刑罰を考える 第1は、因果応報。宿題をやってこなかったから、その反作用として、廊下に立たせる罰を科すというだけのことで、他に目的はない。 第2は、他の生徒達への「見せしめ」。宿題をやってこないと、廊下に立たされることになるので、皆に宿題をやらせるために他の生徒達を威嚇して従わせることを目的とするもの。 第3は、宿題をやってこなかったその生徒を改善・教育するということで、その生徒を立ち直らせて、今度から宿題をやってくるようにさせることを目的とするもの。 第4は、宿題はやってこなければいけないというルールが破られたことを確認し、そのルールを改めてクラスに周知徹底することによって、そのルールを回復させ、遵守させることを目的とするもの。 ■「刑罰とは何か」を巡る考え方 第1の考え方は「応報論」であり、犯罪に対する反作用として刑罰を科すことそれ自体に意味があるという考え方。 第2の考え方は「一般予防論」であり、刑罰は一般人に対する威嚇のためにあるという考え方。 第3の考え方は「特別予防論」であり、刑罰は行為者の改善・教育のためにあるという考え方。 第4の考え方は、「積極的一般予防論」であり、刑罰は国民に規範意識を覚醒させるため、或いは法的平和の回復のためにあるという考え方。 ■未必の故意 故意が認められうためには、犯罪事実の「認識」だけでなく、犯罪事実の「認容」が必要であるというのが一般的にな見解で、「認容」とは犯罪の結果が発生しても「仕方ない」「構わない」などの心理状態をいう。 この「仕方ない」「構わない」と思っていた場合、犯罪事実の認識と認容がある心理状態として「未必の故意」という。 ■量刑は具体的にどのように判断するのか 被告人側の事情 ①行為態様・方法 行為に残忍性、執拗性、危険性などが認められれば、その悪質性が肯定され、刑は重くなる。 ②犯罪結果の大小・程度・数量 犯罪が既遂となった場合と未遂にとどまった場合の量刑の比較が問題となる。 ③動機・犯行に至る経緯 動機は、非難の強弱に影響を及ぼす。動機の悪質性はその反社会性、私利私欲性、情欲性、無目的性などから明らかになる。 ④計画性 犯罪の計画性が強ければ強いほど、法益侵害の危険性は高まり、法益軽視の度合いが大きいため、強く非難されることになる。 ⑤被告人の性格 被告人の反社会性、常習性、犯罪傾向性、粗暴性、精神的未熟性などの性格は、特別予防の観点からは重要な量刑事情となる。 ⑥被告人の一身上の事情 被告人の年齢、国籍、職業、社会的地位、経済状態などの一身上の事情も刑の個別化という特別予防の観点からは考慮されることになる。 ⑦前科・前歴 満期で刑務所から出所した後や仮釈放中に、再度同様の犯罪を起こしたような場合、非難の程度は大きくなる。 ⑧余罪 余罪そのものを処罰する趣旨で量刑事情にすることは許されない。しかし、犯罪の動機・目的・方法、被告人の悪性格、再犯可能性などを推認するための資料とすることは許される。 ⑨被告人の犯罪後の態度 証拠隠滅をしたり、逃亡を図ったりするなど、被告人の犯罪後の態度は、量刑を重くする方向で考慮される。 ⑩共犯の事件 コミュニティ・社会側の事情 ⑪社会の処罰感情(処罰要求) 社会や世間が「犯人を許せない」という状況にあるときには、重い量刑になる傾向がある。しかし、社会の処罰感情(処罰要求)は極めて曖昧なものなので考慮するかどうかを含め新著湯な判断が必要。 ⑫犯罪の社会的影響 犯罪の社会的影響も量刑事情となり得ることは一般に認められており、社会的影響が強い場合は非難の程度が大きくなる。 ⑬社会的制裁 社会的制裁がすでになされている場合には非難の程度が弱まることも考えられる。 被害者側の事情 ⑭被害者の落ち度 被害者の落ち度が量刑で考慮されることはあり得るが、その具体的な事情が当該事件で量刑事情としてどのような位置づけを与えられるべきかを慎重に判断する必要がある。 ⑮被害者(遺族)の被害感情・処罰感情 被害者感情が沈静化し「赦し」があった場合、一般に刑を軽減する方向で考慮される。
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懲役10年は妥当ですか? 何か事件の判決が出ると「思ったより軽かった/重かった」と思う一般人でも、裁判員制度で量刑の決定に関わる可能性がある。どのように罪の重さは決まるのか、を説明した本。 法律の話だからか、プリマー新書にしてはかなり読むのが大変だった。抽象的な表現が多くて、...
懲役10年は妥当ですか? 何か事件の判決が出ると「思ったより軽かった/重かった」と思う一般人でも、裁判員制度で量刑の決定に関わる可能性がある。どのように罪の重さは決まるのか、を説明した本。 法律の話だからか、プリマー新書にしてはかなり読むのが大変だった。抽象的な表現が多くて、整理しながら読むのに時間がかかった。しかし、判決が出るまでにこれだけの考えるべきことがあると知ることができたのはよかった。
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高橋則夫著『刑の重さは何で決まるのか (ちくまプリマー新書 ; 454)』(筑摩書房) 2024.4発行 2024.8.7読了 タイトルから刑法学を哲学面から考察する本なのかなと思い、手に取ってみたのだが、読んでみると刑法学の入門書のような位置付けの内容であった。難易度的には...
高橋則夫著『刑の重さは何で決まるのか (ちくまプリマー新書 ; 454)』(筑摩書房) 2024.4発行 2024.8.7読了 タイトルから刑法学を哲学面から考察する本なのかなと思い、手に取ってみたのだが、読んでみると刑法学の入門書のような位置付けの内容であった。難易度的には、法学部一年生レベルよりも下位といったところで、本書からまず入って次にやや厚めの入門書に移る、というのがおすすめの順番であろうか。 第1章から第4章までは、他の入門書と比べて特筆すべき内容もないのだが、第5章は筆者独特の視点を感じられる内容であった。 国家権力が安定していた昭和時代までは、刑事司法は、犯罪の公共的側面に力点を置いておけばよかった。しかし、国家権力が弱体化し、一人一人の個性が重視されるようになった現在においては、刑事司法の分野においてさえ、個別化の潮流があることを本書で初めて知った。 しかし、違法性判断の場面で、法益ではなく、特定の被害者の害に着目するという考え方はいただけない。法のもとで平等であるはずの個人が、被害者の個別的な差異で違法になったり合法になったりするのは、かえって法的安定性を損ねる結果になると思われる。非難可能性の判断において、過去に対する責任だけでなく、将来に対する責任までも考慮するというのは、被害者の胸先3寸で加害者の有罪無罪を判断すると言っているのに等しい暴論だと思う。こういうものは量刑判断で情状の一要素として考慮すればいいのであり、それはすでに行われている。筆者の考え方はあまりに楽観的で人間を美化しすぎていると思う。 ただし、國分功一郎の中動態理論を責任論に応用するなど、筆者独特の考え方が光る面白い内容ではあった。今後の展開を期待したい。 https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I033402984
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刑法の理念を分かりやすく説明する一冊。 刑法が守っているのは、法益であって人ではないってことに「なるほどね」と思う。刑事事件で人を守る(被害者に償う)のは民法の役目なんだ。明確に制度設計されていたのですね。
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わかりやすい刑法学入門。ただし最後の方の責任の話は不慣れな読者にはわからんだろう。光市のやつの判決は重大なものだったのねえ。
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