1,800円以上の注文で送料無料

DJヒロヒト の商品レビュー

4.5

12件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2025/09/06

装丁がすばらしい。サンプリングからストーリーを作っていくという高橋源一郎さんの手法はこの作品でもとても有効。とても長い小説ですが、読み続けることが苦痛になったりする部分はない。そして、読み終わりたくなくなる。ストーリーというよりは、その世界の中にいることを楽しむ。ナウシカに会えた...

装丁がすばらしい。サンプリングからストーリーを作っていくという高橋源一郎さんの手法はこの作品でもとても有効。とても長い小説ですが、読み続けることが苦痛になったりする部分はない。そして、読み終わりたくなくなる。ストーリーというよりは、その世界の中にいることを楽しむ。ナウシカに会えた気がした。

Posted byブクログ

2025/07/29

初高橋源一郎だったが、とても面白かった。 昭和という時代を書きたかったということで、昔の膨大な資料を現代の感覚で楽しめるようにリミックスするという試みは成功していると思う。特に武田泰淳のような知識階級、文化人が、中国の田舎の農民を銃殺する場面などはその惨たらしさわリアルに追体験で...

初高橋源一郎だったが、とても面白かった。 昭和という時代を書きたかったということで、昔の膨大な資料を現代の感覚で楽しめるようにリミックスするという試みは成功していると思う。特に武田泰淳のような知識階級、文化人が、中国の田舎の農民を銃殺する場面などはその惨たらしさわリアルに追体験できた。 ただし、「じゃん」という妙な語尾やらTwitter、Spotify、スマホなどの現代の事物やモスラ、ナウシカなどのサブカルチャーを散りばめるやり方は少し気恥ずかしく、むしろ文章の賞味期限を短くしていないか心配もある。 全体的に作家や文学者、科学者のエピソードが多くて、昭和を描くにあたってシーンの選択はこれでいいのかという疑問もある。 ヒロヒトを植物を愛する無垢な知性として設定しながら、次々と起こるのは外国人や社会主義者の虐殺、戦争などの血生臭い出来事ばかりなのが示唆的である。

Posted byブクログ

2025/05/02

話がいったりきたりするが、不思議と読みやすかった。虚構の混ざり方がわかりやすかったからかな。 DJのリミックスって言ってたけど、そんな感じ。 熊楠が好きなので、導入部分は痺れた。(後半の創作部分は、和歌山弁がただの関西弁になってて、詰めが甘いと感じたけど。) 井上靖に対する作者の...

話がいったりきたりするが、不思議と読みやすかった。虚構の混ざり方がわかりやすかったからかな。 DJのリミックスって言ってたけど、そんな感じ。 熊楠が好きなので、導入部分は痺れた。(後半の創作部分は、和歌山弁がただの関西弁になってて、詰めが甘いと感じたけど。) 井上靖に対する作者の思いも混じり気のないものと感じて、胸熱だった。 金子ふみこのパートとナウシカのパートはイマイチ。南洋科学研究所については全く知らなかったので、今度、荒俣宏の「大東亜科学奇譚」を読みたいと思う。 明治から戦中にかけての日本の動きを人物を1人1人掘り下げて浮かび上がらせていて、その手法は面白いと思った。日本の方向を決定していったのは誰なのか。誰がこうしたのか。誰かの思いの積み重ねで歴史ができるということを思い出させた。(ヒロヒトの人となりの解釈も面白い。)今現在だって、誰かの思いで国が動いてる。その「人」を見ることはとても大事なことだと思う。

Posted byブクログ

2025/04/23

青年期の「ヒロヒト」から第二次大戦後まで、さまざまな人のエピソードを時間軸を前後させながら語る。史実と著者の縦横無尽な想像力が交差しているところが魅力。文学、科学、政治家、軍人、そして時代に流されていった市井の人々。善悪ではなく、抗うことの難しさ、一つの時代を生き抜かねばならない...

青年期の「ヒロヒト」から第二次大戦後まで、さまざまな人のエピソードを時間軸を前後させながら語る。史実と著者の縦横無尽な想像力が交差しているところが魅力。文学、科学、政治家、軍人、そして時代に流されていった市井の人々。善悪ではなく、抗うことの難しさ、一つの時代を生き抜かねばならない人々の哀しさがひしひしと伝わってくる。

Posted byブクログ

2025/04/22

「ヒロヒト」に関する明治から昭和にかけて起こった様々な出来事。ラジオのDJのように饒舌に、時に音楽を流したりしながらたっぷり語られていく。戦時中や関東大震災などの非常事態に人々はどう変貌するか。それまでは「普通」の人だった日本人が朝鮮人や従軍慰安婦、占領下の南の人たちに対して取っ...

「ヒロヒト」に関する明治から昭和にかけて起こった様々な出来事。ラジオのDJのように饒舌に、時に音楽を流したりしながらたっぷり語られていく。戦時中や関東大震災などの非常事態に人々はどう変貌するか。それまでは「普通」の人だった日本人が朝鮮人や従軍慰安婦、占領下の南の人たちに対して取った態度、言動に胸が痛む。殺伐とした世の中でも自然の生き物に興味を持ち夢中になっている「変な」人々の生き方、考え方に強く魅力を感じた。 思わぬ混信は昔のラジオにつきもの!? 時空や次元を軽やかに超え、んん?となることしばしば。思わずニヤついたり胸がいっぱいになって天を仰いだり。DJがお送りしてくれる音楽をYouTubeで聴きながら読むとノスタルジック。特にカルア・カマアイナスの『南の風』が気に入り、読み終わった後も口ずさんで余韻に浸っている。

Posted byブクログ

2024/10/06

第二章まで(とエピローグ)で完結してもいいのかなと思うところもあるのですが、昭和、特にその時の戦争の甚大な雑多な理性もなければ判断もできない時代を描くには第三章も第四章も必要だったかもしれません。わたしたち人間には管理することも制御することもできないコトがある。では、どうすればい...

第二章まで(とエピローグ)で完結してもいいのかなと思うところもあるのですが、昭和、特にその時の戦争の甚大な雑多な理性もなければ判断もできない時代を描くには第三章も第四章も必要だったかもしれません。わたしたち人間には管理することも制御することもできないコトがある。では、どうすればいいのか?答えは意外と簡単なのかもしれません。

Posted byブクログ

2024/09/30

642ページの大部。が、意外と読みやすい。 このタイトルは若干ミスリーディングな印象で、昭和天皇がDJとして活躍するかのようだが、「ヒロヒト」の出番はさほど多くない。いや、このお話全体がDJヒロヒトの番組だったのだ、と取ることも可能なのだが、それよりはやはり何だか作者の影がちら...

642ページの大部。が、意外と読みやすい。 このタイトルは若干ミスリーディングな印象で、昭和天皇がDJとして活躍するかのようだが、「ヒロヒト」の出番はさほど多くない。いや、このお話全体がDJヒロヒトの番組だったのだ、と取ることも可能なのだが、それよりはやはり何だか作者の影がちらつく作りに感じる。 すなわち、ディスクジョッキー、高橋源一郎が、縦横無尽に時空を超えてあちらこちらをつなぎ、リミックスし、曲を挟みながらオールナイトで語り尽そうとしているような。 語られる時代は昭和である。「ヒロヒト」の時代だ。 帯には、「この小説に登場するのは・・・」「井上毅、井上靖、大岡昇平、小笠原長生、小田実、折口信夫、金子文子、狩野亨吉、北杜夫、古関裕而、小林勇、志賀直哉・・・」等々、延々40人ほどの名前が挙げられており、もちろん、他の人々も出てくる。 群像劇なのだが、ただ単に史実をなぞるだけではない。いや、時には史実というか、原典にほぼ忠実なのではないかと思われる箇所もある。作家の戦争体験や、壮絶な半生記などだ。一方で、例えば南方熊楠が現代アニメの架空の人物と語り合ったり、昭和のはずなのにAIが絡む会話があったり、アクロバティックなシーンが随所に挟まれる。 それが全体で独特なグルーヴ感を呼び、物語を牽引していく。もちろん、ところどころについて行けなくなったり、原典があるのだろうが何なのか不明のものがあったりもするのだが、それすらも1つの味となる。 だいたい、深夜のラジオ番組って、そうそう一言一句漏らさずに聞くようなものではないわけだし。 一見、離れ技のように見えるのだが、著者が狙っているのは、現代人がその時代に放り込まれたとしたらどう感じるのか、という視点のように思う。 人の感じ方に対して時代の「空気」がもたらす影響というのは存外大きくて、誰もそこから自由にはなれない。けれど、そうは言ってもある程度俯瞰することは可能だよね、みんな、自分のアタマで考えてみようよ、という呼びかけのようにも思えてくる。 昭和史・昭和文学史を語れば、いくらでも重厚にしかつめらしく語ることは可能なのだろうが、エンタメ色を失わずに大部を成立させたところが本作の持ち味だろう。 膨大な量の資料にあたっているのだろうが、参考文献は一切記されていない。「煩雑となるため、そのリストは掲載しないことにした」とさらっと書いてあるが、理由はおそらくそれだけではないだろう。 読者としては、「いや、そこはやっぱり挙げてほしかったな」という思いもあるのだが。 ラジオから流れる曲にふと耳を留めるように、ああ、そんな作家がいたのか、こんな作品があったのか、という読み方もできる、エンタメ昭和文学史。

Posted byブクログ

2024/09/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ヒロヒトが、本編で語られていることの読者や受け手として想定されている(後半はほとんど登場しないけど)? で、この作品自体がリミックスの手法(出来事の再編集と語り直し)をとっていることを踏まえれば、ヒロヒトに与えられた役割がDJなのは重要そう。読者でもあり、作者でもある、そんな風にこの作品では位置付けられているのかも。 フィクションを通過させることによって、かえって現実を生き生きと伝えることができる、というのは日本文学盛衰史から一貫しているように思う。そういった現実の虚構化を、現実の虚構性を明らかにするために使っているのではないような気がした。 あと、ナウシカが重要性とともに描かれるあたりは、恋する原発を思い出しながら読んだ。

Posted byブクログ

2024/09/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大正から戦後にかけての時代を象徴する様々な人々が登場して思い思いに語るのだが、時にナウシカだのTwitterだの現在の事物がMIXされてくる。 それはラジオの混線のようでもあり、読み進めやすくするためのサービスのようでもある。分厚く饒舌な本だけどすらすらと読んでしまった。 一方ヒロヒトがあくまで素朴な善意の人として描かれて、人々の苦悩には全くコミットしないように見えるのはなぜなのだろう。 「ヒロヒト」をタイトルにしているが主人公である意味、彼がDJでなくてはならない意味が私には分からなかった。

Posted byブクログ

2024/05/23

「なにも感じることなく、ただ通りすぎるだけの人間はなにも学ばない。この世界ぜんぶが、大きな一冊の本なんだ。読むがいい。好きなだけ」 「ところで、シニョーレ、シニョーラ、シニョリーナ、つまり、ラジオをお聴きのあらゆる人類の皆さま、聴くということは、なんと素晴らしいことでしょうか。...

「なにも感じることなく、ただ通りすぎるだけの人間はなにも学ばない。この世界ぜんぶが、大きな一冊の本なんだ。読むがいい。好きなだけ」 「ところで、シニョーレ、シニョーラ、シニョリーナ、つまり、ラジオをお聴きのあらゆる人類の皆さま、聴くということは、なんと素晴らしいことでしょうか。確かに時空間が若干歪んで、過去・現在・未来の放送が入り交じり、そればかりか現実と虚構も入り交じり、混乱しているとしても、なにより、音楽と声さえあれば、われわれは生きていける、きっとずっともっと。」 本書単行本化に際し「新潮」連載時のタイトル「ヒロヒト」を改題、大幅に加筆修正をほどこし、構成し直したとのこと。最初の方こそ本の厚さや独特の古めかしい言葉づかい、目を背けたくなるような情景に怯んだけれど、時折り浮かぶ救命浮き輪のような言葉たちに伴走されてなんとか完走。キツかったけれど、私の(だけでは無いけれど)人生はまだまだ続く。

Posted byブクログ