ベーシックサービス の商品レビュー
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日本は現役世代への暮らしの保障がとても弱く、「自分だけの力」で生きていくことをとりわけ大切にしてきた国である。 生活保護は「救われる人間の心には屈辱が刻み込まれる」もので、日本では「他人様の厄介になるくらいなら」と不況時には自殺者が急増する。また「救済してくれる人たちの気分一つで未来が左右されるため、他者への服従が強いられる」性質をもつものである。 お金はサービスと異なり、誰もが欲しがってしまい、「もらえる人=受給者」と「もらえない人=負担者」の間に分断が生まれてしまう。よって、だれもが受給者になるしかない。そこで、不正受給できず、必要な人しかサービスを使わないからコストを大幅に減らせるベーシック・サービスが有効である。 みんなが受給者の社会では、自分もサービスをもらえるから貧しい人の苦労に思いをはせ、彼らの立場に立って応戦するようになる。これにより、他者への信頼度が高くなる。 日本国憲法27条の「勤労の権利と義務」の「勤労」は、ただの「労働」ではなく、勤勉に働くという働き方まで憲法が指図しており、「働かざる者は食うべからず」式の考えである。
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現金を支給するベーシック・インカムとは違って、教育や医療、介護などの社会保障へのサービスを分厚くするベーシック・サービス。読んでいて確かにこれが実現するのなら、現在の日本が持つ問題が大部分が解決されそうに思える。 財源は消費税から。現在の10%から16%まで上げる。そう聞くと怯ん...
現金を支給するベーシック・インカムとは違って、教育や医療、介護などの社会保障へのサービスを分厚くするベーシック・サービス。読んでいて確かにこれが実現するのなら、現在の日本が持つ問題が大部分が解決されそうに思える。 財源は消費税から。現在の10%から16%まで上げる。そう聞くと怯んでしまうが、それでここまで社会保障が充実されるのならばやっても良いと思えた。 刺激的なアイデアだし、これが機能するならば多くの人が助けられるだろう。 ただ、どうしても現在の日本でこのベーシックサービスが機能するとは思えなかった。 現状の消費税の10%から6%引き上げただけでここまでの社会保障が行き渡るだろうか? それは現在の10%が正しく機能しているならそう思えるかもしれない。だが実際は格差は広がる一方で、学費も上がり、年金も受給年齢は引き上げられ、受給額も減っている。 オリンピックと万博、そして軍事費だけが膨らみ、政治家たちの裏金問題も解決されない。 そんな日本で更に税率を上げてベーシックサービスが正しく機能するとは到底思えなかった。 読み物としては刺激的で面白いが、夢物語のように思えてならなかった。
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教育・医療・介護・障害者福祉をベーシックサービスとして無償化する。加えて、品位ある最低保障を実現して「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会を実現する。その理論と、実際の方法論を提供する。財源は消費税。16〜20%にすれば、ベーシックサービスを無償で提供できる社会が実現する。そうすると、...
教育・医療・介護・障害者福祉をベーシックサービスとして無償化する。加えて、品位ある最低保障を実現して「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会を実現する。その理論と、実際の方法論を提供する。財源は消費税。16〜20%にすれば、ベーシックサービスを無償で提供できる社会が実現する。そうすると、将来の不安から解放され、将来のために貯蓄に回っていたお金が今を生きる、楽しむために使うことができるようになり、経済も活性化する。 実際、北欧社会はそれを実現している。将来の不安、長生きするのがリスクの社会、チャレンジするのがリスクでしかない社会、息が詰まりそうな社会を変える処方箋。 具体的な行動に移そう、というのが著者の提言。具体的な行動は簡単。政治を監視し、投票に行こう、ということ。
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これでうまくいくのかは丁寧に考えてみないと何か言うのは難しそう。さらっと流すとまずそうな感じがする。暑苦しいのは別に構わないのだが。
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井手先生が仰る通りの社会が実現するならば、消費税が20%になっても誰もが安心して暮らせる社会が実現できるのではないかと思わされた。 ベーシックインカムを実現させるために年180兆円の予算が必要。 ライフセキュリティの視点。 真のライフセキュリティに必要なもの。 ・ベーシックサービス ・品位ある最低保障 ・ソーシャルワーク 日本国内でも静かに分断か起こってきていることを示唆している。 人任せにせず、自分事として社会について考えなきゃいけないと気づかされた。
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ベーシックサービスという言葉を知らなかったので、読んでみました。 本の構成としてベーシックサービスの説明は2割程度しか説明されず、残りは今の日本という国の社会の閉塞感だったり、考え方だったり、抽象的なことを述べていて、ベーシックサービスの詳しいことをもっと、知りたかった。 今の社会のままでは、みんなが幸福になれないから、その改善策として、消費増税の財源を当てにした、ベーシックサービスの導入は共感できたし、今後も進めていくべきだと思った。 ただ、くり返しになるが、ベーシックサービスをどのくらいの範囲まで許容するのか、著者はみんなで話し合って決めていくと、記していたが、著者自身はどう考えているのか、もっと具体的に書いてほしかった。
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アベノミクスのおかげで円安になり株価のほうは調子がいいみたいです。ドル資産を持っていた人は円安で円換算の資産はきっと増えたことでしょう。一方フツーの人にとっては実質賃金は下がり続け将来への不安は増えるばかりです。不安があるので結婚できない、教育費も心配で子どもも作れない(そもそも...
アベノミクスのおかげで円安になり株価のほうは調子がいいみたいです。ドル資産を持っていた人は円安で円換算の資産はきっと増えたことでしょう。一方フツーの人にとっては実質賃金は下がり続け将来への不安は増えるばかりです。不安があるので結婚できない、教育費も心配で子どもも作れない(そもそも子育て中の収入減が不安)、小金を貯め込んだ団塊世代も老後が心配でお金を使わない・・ デフレマインドはそう簡単には消えそうもありません。 確かに基本的なサービスが低価格・無償になれば人生のオプションは増えるでしょうし、経済も回り始めるように思います。実感できるメリットがあれば消費税も我慢の範囲でしょうか。実際にはメリットと負担とのバランスを取ることが難しそうですが・・ 個人的には地方に住めば相対的にベーシックサービスが低価格で受けられるようにすれば一極集中も改善すると思うんですけどね。もちろん、GDPを上げるには一極集中の方がいいんでしょうけど、借金抱えて経済を回すのに馬車馬のように働かされるのは勘弁してほしいです。
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