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大平正芳の中国・東アジア外交 の商品レビュー

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2024/03/01
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 『大平正芳とその政治 再論』は政治中心でしたが、こちらは外交編で、13名の先生方の論文集となっています。編纂はその中のお二人で、一人はいまや中国と言えばこの方、東京大学大学院・川島真教授。もう一人は外交がご専門の慶應義塾大学・井上正也教授です。  『すべては1979年から始まった』(クリスチャン・カリル著)という本があります。1979年には、ソ連のアフガン侵攻、中東でホメイニがイラン・イスラム共和国を樹立、第二次オイルショック、鄧小平が改革開放政策を開始、英サッチャー首相就任で新自由主義が台頭、とその後に影響を及ぼした事象が相次いで発生したとあります。大平正芳の総理としての在任期間は、1978年12月から急逝する1980年6月までの554日と短いものでしたが、こうした「歴史の転換点」の渦中にありました。 国内では政治不信の渦中にありますが、ロシアによるウクライナ侵略、イスラエル・ガザ戦争、緊迫する東アジア情勢など、内容は異なれど緊迫した外交環境は続いています。このようななか、大平時代の「中国・東アジア外交」を振り返ることで、後世から見れば「歴史の転換点」となる現在に、何らかの示唆になればと先生方入魂の出来に仕上がっています(特に井上先生の「日中航空協定と大平正芳」は圧巻)。  総ページ数500頁超でお値段もそこそこなのですが、多くの人に手に取ってもらいたい一冊です。

Posted byブクログ