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カレー移民の謎 の商品レビュー

4.6

34件のお客様レビュー

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2024/07/26

子供の頃母に連れられて行ったインド料理店。異国情緒たっぷりの特別な雰囲気。メニューも最近あるお店とは違ってたなぁと思ったら、それはムグライ料理(インドの高級外食料理)でした。現在日本中にあるのはインネパ、ネパール人経営のインド料理店。日本人好みにアレンジされたインド風カレー、巨大...

子供の頃母に連れられて行ったインド料理店。異国情緒たっぷりの特別な雰囲気。メニューも最近あるお店とは違ってたなぁと思ったら、それはムグライ料理(インドの高級外食料理)でした。現在日本中にあるのはインネパ、ネパール人経営のインド料理店。日本人好みにアレンジされたインド風カレー、巨大でふわっふわの甘いナン。近所にも低価格で美味しいお店があり、お気に入りです。なんと4000〜5000店舗もあるそうです。 「インド料理の歴史」 1、幕末〜明治初頭 鎖国を終わらせ、開港した横浜にイギリス人がカレーを持ち込む 2、明治〜大正時代 ライスカレーが定着 3、昭和 本場インドスタイルのカレーが上陸 4、戦後 1949年、日本初のインド料理専門店開業 5、1980年代〜 インド人によるムグライ料理をベースとする豪華なレストランが人気 6、1990年代 コックのビザ緩和でネパール人シェフが増加 インド人はカースト制度のためワンオペ出来ないが、ネパール人なら可能 7、2000年前半 小泉内閣による規制緩和で、外国人が会社を作りやすくなる(500万以上の出資で可能) インネパが増加していく ※既存店の模倣がビジネスポリシー 現在は、日本に見切りをつけ、他国(カナダが人気)へ移るインネパ経営者が増加中だそうです。円安だし、日本の国力の弱体化が寂しいです。 カレー移民の背景、社会生活や日本での問題点、ネパールの現状等描かれていて、奥深い。とても面白かったです。おすすめの一冊

Posted byブクログ

2024/07/14

文庫本だけど、多角的な視点から日本の『インド料理屋さん』で働くネパール人たち、その家族たちのことについて書いてあり、本当に深い内容だった。 なるほど、どこでも同じメニューがあるのは、成功者に倣えば失敗しないだろうという移民ならではの必死さであったり、 本国から呼び寄せられた息子や...

文庫本だけど、多角的な視点から日本の『インド料理屋さん』で働くネパール人たち、その家族たちのことについて書いてあり、本当に深い内容だった。 なるほど、どこでも同じメニューがあるのは、成功者に倣えば失敗しないだろうという移民ならではの必死さであったり、 本国から呼び寄せられた息子や娘たちの教育について問題があったり、 はたまた彼らの故郷では出稼ぎによる過疎が進んでいたり… 私たちが安くて満腹できるナンとカレーのランチを作っている彼らはこんなに大変だったのだ。 せめて、次にインド料理ランチに行くときは、少し値段の高いものを注文しようかしら。

Posted byブクログ

2024/07/14

うちの近くにもネパール人経営のインド料理屋があるし、ちょっとした町ならどこでも見かけると言ってもいいくらいだ。阿蘇山の草千里のレストランの中にもあったのには驚いた。メニューも似てるし、どうしてここまで多いのか疑問に思っていた。 その疑問に答えてくれるのが本書。 なぜインド人ではな...

うちの近くにもネパール人経営のインド料理屋があるし、ちょっとした町ならどこでも見かけると言ってもいいくらいだ。阿蘇山の草千里のレストランの中にもあったのには驚いた。メニューも似てるし、どうしてここまで多いのか疑問に思っていた。 その疑問に答えてくれるのが本書。 なぜインド人ではなくネパール人かというのが最大の疑問だったのだが、カーストと関係しているとは知らなかった。また、ネパールに観光と農業以外の産業がなく、国を挙げて出稼ぎを奨励しているというのも納得だった。 しかし、家族として来日した子どもたち(特に10代で来日した子ども)が、日本語もネパール語も覚束なくなり、将来に希望が見出せない、ビザが更新されるかはわからないので、将来の計画も立てられないというのは深刻な問題だと思う。 実際に日本社会に馴染めない子どものエピソードは胸に刺さる。子どもにはちゃんと居場所を作ってあげるべきではないか。 ネパール人のインドレストランは安くて(ナンがおかわりできたりして)ボリュームもある。しかし、この頃はより安定して働け(永住権が取りやすい)、子どもの将来にもプラスになる英語圏の国に移住する人も増えているとある。そりゃもっともな話で、日本の排他的な社会や円安も考えたら、英語のできるネパール人なら英語圏の方がいいに決まってると思う。インネパレストランもこれからは減ってしまうかもしれないとも思った。 著者が日本に多く出稼ぎを輩出しているバグルンに行って、実際に家族が日本にいる人たちを取材した第九章が出色。 家畜を飼い、田畑を耕して、ほとんどお金を使わず自給自足をしている、絵本のような昔話のような美しい村。しかし美しいと感じるのは、短期滞在だから。大金を持って帰国し、豪邸を建ててリッチに暮らす人を見ると、若者は外国で働くことを諦められない。国も後押しする。村は年寄りと子どもだけになる。 日本にもかつてあったようなことがここで起きている。 欧米人以外の外国人を歓迎しない日本で、たくましく生きるネパール人の姿にも心撃たれ、インネパレストランに行きたくなった。

Posted byブクログ

2024/07/14

「インネパ」とも呼ばれ、日本で大量に展開されているインド・ネパール料理店。その実態は、出稼ぎ国家であるネパールの「期限付き」移民達によって、日本でビジネスを成功させるという夢を追いながら、提供される「ムグライ料理(16世紀から19世紀にかけて、北インドで栄えたイスラム帝国で形成さ...

「インネパ」とも呼ばれ、日本で大量に展開されているインド・ネパール料理店。その実態は、出稼ぎ国家であるネパールの「期限付き」移民達によって、日本でビジネスを成功させるという夢を追いながら、提供される「ムグライ料理(16世紀から19世紀にかけて、北インドで栄えたイスラム帝国で形成された、脂ギッシュなカレーと、ベイキングパウダーやバターで形成されるナンを代表とする料理文化の総称)」の店である。慣れない異国での生活の中でカレー屋を経営し、子供を育て、観光と農業しか産業を育てなかった自国の家族を思いながら、日本人好みの「インド料理なるもの」を提供しながら、したたかにたくましく、彼らは日本社会での生活を営んでいるのである。

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2024/07/10

街かどで何となく本格的なカレー料理を出す店 を見かけたことがあると思います。 店員もインド人っぽく、カレーをナンで食べさ せるスタイルはきっとインド本国の味をそのま ま日本に持ってきたのだろうと、想像してしま います。 でもその割には店構えは何となく安っぽかった り、「ナン食...

街かどで何となく本格的なカレー料理を出す店 を見かけたことがあると思います。 店員もインド人っぽく、カレーをナンで食べさ せるスタイルはきっとインド本国の味をそのま ま日本に持ってきたのだろうと、想像してしま います。 でもその割には店構えは何となく安っぽかった り、「ナン食べ放題」とか出ていて上品さに欠 けるような気もします。 実はこれらの店はほとんどネパール人が営むカ レー屋なのです。 歴史を辿れば、ある一人のネパール人が成功し たことにより、その暖簾分けや模倣が続々と生 まれてきて今に至るとか。 「なぜネパール人が?」 そもそもネパール料理とは全く関連性もないカ レーを日本人好みにアレンジしているのはなぜ なのでしょうか。 いわゆるカレーライスが日本以外の国のどこに も存在していないのと同様に、ネパール人のカ レーは日本だけのものであるらしいです。 この驚きの事実の謎に迫るのが本書です。 ネパールという国の事情も背景にあり、こうし た「カレー移民」が生まれている訳を知ってし まいますと、何となく今まで入りづらかった近 所のカレー店にも足を運んでみようかな、と思 わせる一冊です。

Posted byブクログ

2024/06/30

昔、都会にしかなかったインド料理屋は高級な店でした。今、街を歩くとどこでも見かけるインド料理屋はネパール人が経営していることが多いらしい。国内産業が育たないネパールの国情を反映した出稼ぎで、著者はヒマラヤの奥地の村を訪れると、“私も日本に行ったことがある…”、“今は休暇で日本から...

昔、都会にしかなかったインド料理屋は高級な店でした。今、街を歩くとどこでも見かけるインド料理屋はネパール人が経営していることが多いらしい。国内産業が育たないネパールの国情を反映した出稼ぎで、著者はヒマラヤの奥地の村を訪れると、“私も日本に行ったことがある…”、“今は休暇で日本から帰ってきてるところ、また行く…”と多くの村人から声をかけられたらしい。何故、インド人ではなくネパール人なのかの理由の1つにカースト制があるらしい。インド人ではオンオペが成立しない。 私は高級感のあるインド料理も、あまり辛くないバターチキンカレーとナンがおおきなインネパ料理も、どちらも好きです。南インドのミールスも大好き。

Posted byブクログ

2024/06/24

最近やたらと増殖したカレー店。メニューや看板など金太郎飴の的に似通っている。その多くはインド人ではなく隣国ネパール人が経営。日本国内に4千店以上があるという。 そんな身近な存在の業態、通称インネパの舞台裏を探るのが本書。 日本のカレーの歴史から始まりムガール帝国の宮廷料理、やがて...

最近やたらと増殖したカレー店。メニューや看板など金太郎飴の的に似通っている。その多くはインド人ではなく隣国ネパール人が経営。日本国内に4千店以上があるという。 そんな身近な存在の業態、通称インネパの舞台裏を探るのが本書。 日本のカレーの歴史から始まりムガール帝国の宮廷料理、やがて日本人向けにアレンジされていく歴史。 また店の増加には日本の移民受け入れ政策も大きく影響している。 本書は非常に丹念にインネパの歴史、光と闇そして働くネパール人のリアルな現実を探究していく。 そして移民の多いネパールの山里バグルンにまで取材に行っている。 インネパを経営しはたらく人々の背景に丹念にかつ大きな愛情を持って描かれたノンフィクションの傑作。 筆者の「北関東の異界エスニック国道国道354線」に続き、日本社会だの移民の現状に触れた良作でした。

Posted byブクログ

2024/06/24

【概略】  インドを想起させるような雰囲気だけれども、よくよく観察するとネパール人が経営しているカレー店。どこに行っても同じようなメニューや店のレイアウト、一時期から乱立するこういったカレー店、そこに関わる光と影の「なぜ?」を、本書が解決してくれる。 2024年06月21日 読...

【概略】  インドを想起させるような雰囲気だけれども、よくよく観察するとネパール人が経営しているカレー店。どこに行っても同じようなメニューや店のレイアウト、一時期から乱立するこういったカレー店、そこに関わる光と影の「なぜ?」を、本書が解決してくれる。 2024年06月21日 読了 【書評】  「これは、なんですか?」「はい、ナンです」は、現在、日本全国で最も使われているダジャレなんじゃない?もう「布団が吹っ飛んだ」の位置にいると思う。それぐらいナンカレー(この言い方、通じるかな?)を扱うお店、多いと思う。個人的には CoCo 壱番屋さんにお邪魔する頻度の方が高いけれど、定期的に食べたくなる。駅と顧問先の間に一軒あってね。たまに立ち寄ってた。その顧問先とは契約を切ってしまったから今はご縁がなくなったなぁ。  まずね、筆者の「なぜだろう?」という疑問の着眼点、この感覚が素晴らしいと思った。多くの人にとっては「いや、別にどうでもよくね?美味しいかどうかじゃない?」みたいに重きを置かれない、見過ごされるような事象について立ち止まって「なぜだろう?」って思うこと、まずこの第一歩があるかどうか?これってどの分野でもめちゃくちゃ大事なことじゃない?つい最近読んだ「疑う思考」という本にも通じるものがあるよね。当たり前と思っているとこに「なぜ?」というスパイスを入れて新しい発想や逆転の発想を生み出すというね。どうやったこういった感覚を育てることができるのだろう。  2つ、本書からもらったお土産が。一つは「インネパ」(ネパール人が経営するインドカレー店並びにそこで提供されるカレーのジャンル)のルーツを探る冒険の中で紹介された東京や名古屋の老舗について。これはもう・・・一度は訪れないと!と思ってしまった。今まで自分が味わってきたインネパのカレーと何が違うのか?日本人の好みにどのように合わせたのか?または合わせなかったのか?という点、自らの味覚で体験したくなったよ。そういう意味では本書は紹介されたお店から感謝状をもらってもいいくらいじゃないかな(笑)※本書がそういったお店に忖度してるとか、そんな意味じゃないよ。誤解しないでね。  そしてもう一つが、これからナンカレーを楽しむ時に、笑顔で働く皆さんの背景や笑顔の後ろ側に想いを馳せてしまうこと。ただひたすら純粋に、目の前に提供される食べ物に集中するのではなく、「このお店の方達はどうなのだろう?故郷に残されたご家族など、いらっしゃるのだろうか?」といったことを考えてしまいそう。それは決して哀れみとか同情とか憐憫とかそういったことではなく、ただただ純粋にストーリーに対しての好奇心ね。自分が一段上にいるから憐れむといったことじゃないよ。だってこういった裏側の感情や状況って、誰にだってあるじゃない?当然、自分にも。「あぁ、喜餅は高座の上であんな笑顔を見せてるけど、実は・・・」って思わせてしまうことも、あるかもしれないじゃない?おそらくは噺家としてはダメなのじゃないかなと思う。でも、パブリックスピーカー、とりわけトーストマスターズのコンテストスピーチとしては、アリだとは思うけど。(あぁ・・・ここでの反発、自身の影を外側に晒すべきではないという噺家としてのプライドがコンテストスピーチへのブレーキになってるのかもなぁ)  許認可の仕事をしているけれど、苦手レベルで「やりたくないなぁ」と思ってる入管への申請、本書を読んでやっぱりそう思った。政府の意向か方針かがね、入管手続きの壁の厚さに影響してて、それを把握するのが本当に大変なのよね。どの申請手続きも、地域(たとえば東京管区と中部管区とかね)によって手続きへの解釈違いとか、あるにはある。愛知県内にしたって、たとえば名古屋市よりも北や西側の市町村における農地転用は手続き窓口が複数あったりとかね。そういった「違い」が、時期や場所や人種によって(もちろん法律の範囲内だけど)難化易化するのだよね。もちろんそれがありがたい局面もある。特別上陸許可とか特別在留許可といった伝家の宝刀を抜いてもらうことで日本に滞在できることが可能になる方達もいるから。最近(2024年6月)あたりは、靖国神社へのイタズラの影響で中国の中にある旅行会社が持つビザ発給権を停止したりとかね。全方位に情報アンテナを張っておかないといけない。大変なのだよね。自分は英語の法律書類の翻訳といったレベルでのお手伝いでいいかなと感じてしまってる。ちょっと脱線しちゃったな、ここの話題。

Posted byブクログ

2024/06/17

インド、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ料理を食べ歩いてますけど、この本で、日頃感じていた疑問が解けました。

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2024/06/11

いろいろ参考になりました。カレー屋さんが増えている理由がわかりました。ネパール人の逞しさ。国情の厳しさが、どんどん海外に向かわせるのか。ただこれからは、富イコールしあわせには、ならない気がする。エベレストの頂きを眺めながらの自給自足はそれはそれでかなりの幸福度だと思うけど。

Posted byブクログ