読めない人が「読む」世界 の商品レビュー
また新たな世界が知れた。 やはり翻訳本は苦手だけど、ディスレクシアや過読症などさまざまな理由で「読む行為が難しい人」についての質的研究のかたまりで、寝落ちしつつ読み終わりました。 まさに無知の知。 認知症の章で読むことが好きな人が読めなくなった例示で自分と重なり、涙がほろほろと...
また新たな世界が知れた。 やはり翻訳本は苦手だけど、ディスレクシアや過読症などさまざまな理由で「読む行為が難しい人」についての質的研究のかたまりで、寝落ちしつつ読み終わりました。 まさに無知の知。 認知症の章で読むことが好きな人が読めなくなった例示で自分と重なり、涙がほろほろと。 識字障害の子を受け持った経験から興味を持ったけれど、人の悩みは千差万別だなぁと… 読める人生も読みたい人生も当たり前じゃないから大切にしようと思った読了記録でした。
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中でも面白かったのが文字に味を感じる共感覚の話。suggestiveはイタリアンドレッシングをかけたアイスバーグ・レタスの味、attendantは甘酸っぱいソースをかけたチキンナゲットの味がするらしい。
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本書では、難読症、過読症、失読症、共感覚、幻覚、認知症といった読字を阻む六種類のリーダーズ・ブロックが扱われている。文字を読むプロセスがスムーズに機能しているときには気づかれにくい「読むことに困難を抱える人」に光を当てることで、読書という行為の新たな側面を浮き彫りとすることを目的...
本書では、難読症、過読症、失読症、共感覚、幻覚、認知症といった読字を阻む六種類のリーダーズ・ブロックが扱われている。文字を読むプロセスがスムーズに機能しているときには気づかれにくい「読むことに困難を抱える人」に光を当てることで、読書という行為の新たな側面を浮き彫りとすることを目的としているのだ。それはつまり、型にはまらない読み方をするときの感覚を現象学的経験として第三者に伝えるということでもあり、作者は苦労も多かっただろうと想像する。読みながら、私が知っている読書という行為は、脳と身体がうまく調和して読み進めることができる人々を対象としたものであって、脳と身体が緊張した状態、あるいは対立した状態のことを指してはいなかったのだと、認識を改める機会となった。
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脳内の情報処理の問題で、「文章」が認識できない人たち。 生まれつきだったり、怪我や病気に基づくものだったりするし、症状もさまざま。共感覚から幻視まで幅広く取り扱う。 文字を読む、認識することと、意味を読み取ることは、違う行為なのである。 また、その文字を読むことすら、人によって...
脳内の情報処理の問題で、「文章」が認識できない人たち。 生まれつきだったり、怪我や病気に基づくものだったりするし、症状もさまざま。共感覚から幻視まで幅広く取り扱う。 文字を読む、認識することと、意味を読み取ることは、違う行為なのである。 また、その文字を読むことすら、人によって、状況によって、踊ったり光ったり、文字そのものが「人格」を持つことすらあるらしい。 聞く、話すと違って、読むことは人間に自然に備わったものではない。そこには訓練が必要な技術なのだ。 そう考えると寧ろ、人間の大半が、文化に応じてだが、読むことができるってのは実はすごいことなんじゃないかと考えた。 いつかこれを手放す日が来るかもしれないと思うと、確かにちょっと怖いものがある。 こういうことに光を当てるのが「多様性」じゃないのか。
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