デューン 砂丘の子供たち 新訳版(下) の商品レビュー
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ポール・アトレイデスの一代記は、前作「砂漠の救世主」で完結した、と思っていました。 この「デューン」シリーズ3作目である本作を読んで最も驚いたのは、ポールが生きていたこと。 そして、最も心に沁みたのは、敗残者として描かれていること。 ポールとチェイニーの遺児・双子のレトとガニーマは姿はまだ子供ながら大人を遥かに凌駕する知性と、クイサッツ・ハデラッハたるポールの子として、過去の祖先全ての記憶を胎内にいた頃から有していました。 それが故に、周囲から畏怖されると同時に恐怖され、自我を支配しようとする過去の祖先たちの”声”とも闘い続け、その闘いに勝った二人が得たものは、正直言って誰がどう見ても恐ろしいビジョンにしか見えない計画の始動でした。 同様の能力を持つ叔母にして摂政のアリアは、祖先の”声”に自我を支配されてしまい、「忌み子」と化して暴政の限りを尽くしますが、夫ダンカン・アイダホの死を知って泣きじゃくることで自我を取り戻し、これ以上の暴走を止めるべく、宮殿の窓から飛び降りて自害。ベネ・ゲセリットの祖母ジェシカは、政治的意図を持って各勢力に近づき権謀術数を弄しますが、最終的に双子の意図を読み解くことはできず、双子の計画に飲み込まれていくことになります。 そして、ポールは自分の息子であるレトから、「未来の責任を背負う覚悟がなく、計画を実施する前に逃げ出した敗残者」と指摘され、かつて自らが君臨していた宮殿の前で、無惨な死を遂げます。 ポールは英雄でも名君でもなく、ただの中途半端な覚醒者に過ぎなかった、という残酷な結末。 どこにでもある英雄物語にはしたくなかった、という原作者の意思を強く感じます。 物語のラストシーン、皇帝に即位して自己の長期政権を維持することを猛々しく宣言するレト。その背後には、暗澹たる未来しか見えてきません。 「デューン」シリーズはこの後も続きますが、どんどん重たくなっていくんだろうなぁ・・・ということが明らかな幕切れです。ガニーマの方の未来が気になります。この後の作品が新訳版で出るかどうかわかりませんが、この先も読み続けるか、うーん悩むところだなぁ。
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デューン三部作完結編。レトは未来視の能力を駆使し、行き着くべき未来へと向かって行動を続ける。 これって、攻略本でこの先の展開とストーリーがすべてわかった状態でゲームするのと同じだ。要所要所でプレイヤーが努力する必要はあるものの、その先の展開はわかっている状態。レトもチートキャラ化するし、なんか、攻略本持って、キャラの性能書き換えてゲームやっている気分になる。 最終的には大団円を迎えるのだが、フランク・ハーバートが神権政治、というより神政治を解として示したのはちょっと意外。第二部では英雄を崇拝することの危険性が描かれていたのに。
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「砂の惑星」の第三部。話はやはり複雑なままで、物語で誰が悪役で誰が善玉なのかはなんとなくわかってきた気もするが、でもそれぞれの勢力の思惑も分からないし、展開もなかなか理解できなかった。まだシリーズには続きがあるが、この先はもう読まなくても良いかと思った。
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今出ているデューンシリーズの中で新訳の日本語翻訳版はこれが最後。読み切ってしまうことに切なさを覚えながらも展開が早くて面白いので一気に読めた。 伝道者の大衆に訴える力や、レトが”黄金の道”に進んでいく勇気には少し怖さをも覚えるけれど、その分魅力的に思えて、支配するもの、統治する...
今出ているデューンシリーズの中で新訳の日本語翻訳版はこれが最後。読み切ってしまうことに切なさを覚えながらも展開が早くて面白いので一気に読めた。 伝道者の大衆に訴える力や、レトが”黄金の道”に進んでいく勇気には少し怖さをも覚えるけれど、その分魅力的に思えて、支配するもの、統治する者のそういった側面で大衆は惹かれがち、信じてしまいがちなのでは?と思ったり、物語自体は面白いが、一国の統治といった現実問題に照らしてみるとすこし恐怖を感じたりと、考えさせられたりもする。 あとはダンカンやガーニーなどお馴染みのアトレイデス家の臣下たちが活躍するのもとっても感動するし、ファラッディーンや双子(レトとガニーマ)のような今作から出てきた主要キャラクターたちも本当に個性的で魅力的。 世界観とともに、それぞれの個性がデューンという作品に色をつけているし、読者も誰かしらに愛着を持てるから楽しめるのでは? また、色々なSF作品の元にもなる金字塔と言われるデューンの魅力を感じられる。特に本作”砂丘の子供たち”については、スターウォーズが後からこれを参考にしたのではないかと思うほど。 旧訳版は1984年出版なので、読みづらいかもと思うと手を出しにくい。新訳版が出されるのを首を長くして待っていたいと思う。
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人類補完計画でした(笑) ファースト(ポール)、セカンド(アリア)が失敗し、サードチルドレンのレトが成し遂げるみたいな。ゼーレはもちろんベネ・ゲセリット。 それにしてもこの一連の作品群、女性の扱いがなんだかなあ。ジェシカ、アリア、イルーラン、ガニーマ。主役悪役に関わらず、役割が...
人類補完計画でした(笑) ファースト(ポール)、セカンド(アリア)が失敗し、サードチルドレンのレトが成し遂げるみたいな。ゼーレはもちろんベネ・ゲセリット。 それにしてもこの一連の作品群、女性の扱いがなんだかなあ。ジェシカ、アリア、イルーラン、ガニーマ。主役悪役に関わらず、役割が中途半端。作者って女性不信だったのかしら。 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画では21世紀のポリティカルコレクトを踏まえて、ジェシカとチェイニーを活躍させていた。DUNE3でアリアをどう描くのか興味津々。
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上巻は星5つ付けたけど、下巻はレト(主人公の双子の男の子のほう)が“あんなふう”になった場面から一気にドン引きしてしまった。それを差し引いたらおもしろかったんだけど、それだけがどうしても受け入れられず、あぁ、そうですか、なるほど、はい、って感じで終わってしまった。このあとも続編が...
上巻は星5つ付けたけど、下巻はレト(主人公の双子の男の子のほう)が“あんなふう”になった場面から一気にドン引きしてしまった。それを差し引いたらおもしろかったんだけど、それだけがどうしても受け入れられず、あぁ、そうですか、なるほど、はい、って感じで終わってしまった。このあとも続編があるけど、しばらく読まないでおこうかなと。
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「デューン 砂丘の子供たち〔新訳版〕 上・下」( フランク・ハーバート : 酒井昭伸 訳)を読んだ。 (何度目かわからない)再読。 初期三部作の中では一番奥深い難しさを隠し持つものの、読んでいて一番面白いのもこれかな。 スティルガー、ダンカン・アイダホ、ガーニー・ハレックのそ...
「デューン 砂丘の子供たち〔新訳版〕 上・下」( フランク・ハーバート : 酒井昭伸 訳)を読んだ。 (何度目かわからない)再読。 初期三部作の中では一番奥深い難しさを隠し持つものの、読んでいて一番面白いのもこれかな。 スティルガー、ダンカン・アイダホ、ガーニー・ハレックのそれぞれが渋くて痺れる。 アラキスにおけるフレメンと水との関係を端的に表す印象深い文章を引く。 『ここのフレメンはいまも"天国とは流れる水の音にほかならず"と信じているが、』(本文より) とりあえず新訳版はここまでなのだが、次の「デューン砂漠の神皇帝」とか出るのかな?
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