同性婚と司法 の商品レビュー
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現状確認としての日本の判例の紹介、米国の(同性婚に限らず)参考になりそうな判例の紹介、今後に向けた提言(あとがきも含め)。 憲法改正のハードルはたしかに高いので、社会の現状に合わせて解釈で対応→24条2項でパートナーシップ制度を全国に拡大、という考え方は、なるほど、と思う。一方で、もう少し世代交代が進まないと厳しそうな気もする。
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( オンラインコミュニティ「Book Bar for Leaders」内で紹介 https://www.bizmentor.jp/bookbar )
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2015年アメリカのオバーゲフェル判決=同性婚を禁止する州法を違憲とした。賛成意見は「結婚ほど深遠な結びつきは存在しない。文明の最も古い制度から閉め出されるべきではない。」。反対意見は「同性婚は長年、価値観就航的信念などの大きな対立がある。民主主義的基盤がない司法が憲法に明文の規定がない権利を認めて、一方の価値観に軍配を上げるのは控えるべきである」 日本国憲法24条の「婚姻は両性の・・・」異性婚を表している、という解釈が成り立つ。 日本のLGBTQの割合は10%をやや下回るくらいといわれている。 同性婚は、ヨーローパ、台湾など数多い。 共同親権、相続、遺族年金、など実質的な権利だけでなく個人の尊厳が失われている。婚姻によるかけがえのない尊厳が達成できない。=14条違反。13条違反。 具体的には国家損害賠償請求によって訴えられている。地裁の判断はバラバラ。 憲法制定当時は、同性愛は精神的疾患とされたから。 24条を乗り越えられるか。 パートナーシップ制度で解決できるか。 一票の格差問題、嫡出子でない法定相続分訴訟、などがヒントになる。 法定婚へのきっかけとしての第一子誕生。嫡出でない子の誕生を避けようとしていた。しかし区別される側からの視点で違憲となった。 13条14条が一般規定、24条が特別規定と考えると24条が優先される。文理解釈として、両性の合意を当事者の合意、夫婦が同等の権利、を双方が同等の権利、と読み替える。 憲法の変遷=社会情勢饒辺かで憲法の解釈が変わっていくことを容認する論理。硬性憲法を現代的に読み直す方法。24条は婚姻を定義することを意図したわけではない。 登録パートナーシップ制度は新しい差別を生み出さないか。 ドイツでは、先にパートナーシップ制度が設けられてのちに民法改正に繋がった。ドイツには憲法裁判所がある。何回か、改正があって格上げされていたのちの民法改正だった。基本法6条1項に反しないという憲法裁判所の判断が出た。 日本では、同性婚問題の解決を避けるための登録パーターナーシップ制度ではないか。
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2024年5月2日図書館から借り出し。 その日の夕食後、寝るまでの間に読了。 最高裁主席調査官まで務めたゴリゴリのエリート判事上がりの元最高裁判事が新書を出すのは珍しい。しかも同性婚推進派のための、いわば訴訟指南書とも言うべき内容に驚いた。ただし、新書ではあるが法律の知識がないと...
2024年5月2日図書館から借り出し。 その日の夕食後、寝るまでの間に読了。 最高裁主席調査官まで務めたゴリゴリのエリート判事上がりの元最高裁判事が新書を出すのは珍しい。しかも同性婚推進派のための、いわば訴訟指南書とも言うべき内容に驚いた。ただし、新書ではあるが法律の知識がないと理解はかなり難しいかもしれない。 著者は同性婚を是認するには憲法24条を突破するしかない、それには憲法の変遷やら読み替えの文理解釈を持ち出す。直ちに違憲が難しいときの次善の策が登録パートナーシップ制度とする。 諸外国の事情も豊富に紹介されており、コンパクトな中にぎっしり情報が詰まっている。 しかし裁判所が判決後の世界に、どこまで踏み込んで書き切れるかは難しいようにも思える。 いずれにせよ、美しい日本とやらで家父長制による「家」制度に固執するお歴々やら、口では多様性とか言いながら外国人排斥で騒いでいる輩には厄介な本であることは間違いない。
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元最高裁判事である著者が、執筆時点で判決が出ていた5つの地裁の憲法判断を検証し、また、米国の同性婚認容判決や過去の日本の最高裁大法廷判決の積極的司法の先例をヒントとして参照しつつ、同性婚を認める方法が憲法の解釈・適用として可能なのかどうかを検討。 憲法訴訟に最高裁判事として実際に...
元最高裁判事である著者が、執筆時点で判決が出ていた5つの地裁の憲法判断を検証し、また、米国の同性婚認容判決や過去の日本の最高裁大法廷判決の積極的司法の先例をヒントとして参照しつつ、同性婚を認める方法が憲法の解釈・適用として可能なのかどうかを検討。 憲法訴訟に最高裁判事として実際に携わってきた著者が安全圏から一歩踏み出して私見を世に問う意欲作であり、とても刺激的な内容だった。同性婚訴訟の5つの地裁判決についてもよく整理されていて、同性婚についての憲法問題を考える上で非常に勉強になった。 著者の結論の一つである「同性婚も憲法24条の婚姻に含まれる」という憲法解釈は、率直な文理解釈では確かに無理があるが、憲法変遷という考え方や本条の立法趣旨を踏まえると、そのような憲法解釈も十分成り立ちうると考える(実際、本書刊行後に出された札幌高裁判決は、これと同じような憲法解釈により同性婚を認めていない諸規定について違憲判断を下している)。 他方、憲法13条や14条の関係で、婚姻とは違う形にしても同様の法的利益を享受し得る登録パートナーシップ制度の導入は憲法上の要請であり、その際は憲法24条2項を「類推適用」すべきであるというもう一つの解釈のほうが憲法解釈としては理解しやすいと考えるが、著者も検討しているとおり、登録パートナーシップ制度の導入がゴールとなってしまうことは、実質が婚姻に近いものになったとしても当事者にとっていかがなものだろうかとは思う。 国民の間に政治的対立があるような問題について、政治的基盤を持たない司法が違憲判断をして制度変更への道筋をつけることは適切ではないという意見はよく聞かれるところで、一理あるとも思っていたが、本書を読んで、政治的対立のある問題について政治的・社会的閉塞状況が生じている場合に、政治的対立から離れた法原理機関である司法が、社会全体の機運も汲み取った上で、憲法の理念を踏まえて解決に乗り出すということもあってしかるべきではないかと感じた。
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元最高裁判事の千葉さんが、札幌地裁判決等の一連の同性婚訴訟のロジックを検討し、憲法24条1項と正面から格闘する必要があるとの判断のもと、米国最高裁の同性婚認容判決、ウォーレンコート、そして、我が国の定数訴訟、非嫡出子法定相続分訴訟の最高裁判決をヒントに、「両性」「夫婦」との文言に...
元最高裁判事の千葉さんが、札幌地裁判決等の一連の同性婚訴訟のロジックを検討し、憲法24条1項と正面から格闘する必要があるとの判断のもと、米国最高裁の同性婚認容判決、ウォーレンコート、そして、我が国の定数訴訟、非嫡出子法定相続分訴訟の最高裁判決をヒントに、「両性」「夫婦」との文言に憲法の変遷が生じたとして、同性婚も、憲法24条の保護の対象であると力強く論じる、個人の尊厳、人間愛に満ち溢れた一冊です。広く読まれて欲しい、そして、最高裁に一歩踏み出して欲しいと切に感じます。
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配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01427046
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