帝国妖人伝 の商品レビュー
作家那珂川二坊の人生を軸に時系列に関わった事件について綴る趣向 短編5本でそれぞれに後に著名になる人物が関わるミステリー。 一冊の構成がサービス精神旺盛だなぁって思いました。ストーリーテラーとなる那珂川氏はそれほど有名ではない作家でイマイチ売れてない上に病気がちの細君もいるため、...
作家那珂川二坊の人生を軸に時系列に関わった事件について綴る趣向 短編5本でそれぞれに後に著名になる人物が関わるミステリー。 一冊の構成がサービス精神旺盛だなぁって思いました。ストーリーテラーとなる那珂川氏はそれほど有名ではない作家でイマイチ売れてない上に病気がちの細君もいるため、新聞記事かいたりルポを書いたり探偵物を書いてみたりと志と違うもので糊口をしのいでいる。職業作家ならではの苦悩も抱いている。第二次大戦前後の多くの日本人はこうだったかもしれないという暮らしぶりや情緒もあらわされていて、ミステリー仕立てでいながら当時の風俗が浮かぶ 多角的に興味深い作品群でした。 多角であるがゆえに純粋に謎解きを楽しむという視点を忘れてました。 一番面白かったのは4話目の春帆飯店事件。いわゆるクローズドサークル物なので「謎解き」に集中できました。
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那珂川二坊は尾崎紅葉に師事するが、執筆がかなうのは三文記事ばかり。そんな彼が巻き込まれる事件。 徳川公爵邸に入った盗人の死の真相。「長くながらくな坂」。 海軍の機密を盗んだと思われる男の死。「法螺吹峠の殺人」。 ドイツ・ポツダムに住む日本の元中将の自殺。元中将の宝の謎。「攻撃!」。 昭和20年、上海で憲兵隊に捕まった中国人の死。「春帆飯店事件」。 各話で探偵役が違い、最後に探偵役の正体が。 ミステリも面白くて良かった。
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『米澤屋書店』で山田風太郎についての記述が多くあったことを思い出させました。そちらを読もうと思います
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明治から昭和初期までのとある小説家視点のミステリ。彼はどちらかというとワトソン役で、ホームズというか謎を解く探偵役はその都度登場していくタイプ。しかもその探偵は歴史に名を残すような偉人たち。主人公はそんな輝かしき偉人たちの側で、様々な役回りを果たしていく。尾崎紅葉に認められた最後の門下生という、言ってしまえばちっぽけなプライドだけで主人公は生きてきた。その矜持も悪くはないものの、総合的に彼は誰かしら、何かしらに流されてしまっている。だからこそ文壇で輝けなかったのかなあとちょっと思ってしまった。話の内容は面白かったんだけど、昔の表現方法が多いので読みづらさも少し感じた。
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犯人は誰? 探偵こそ誰? 時は明治、那珂川二坊は文学で名をなさんとす。尾崎紅葉に師事すれど執筆がかなうのは小説どころか三文記事ばかり。この日も簡易食堂に足を運び、ネタを探して与太話に耳を傾けた。 どうやら昨晩、かの徳川公爵邸に盗人が入ったらしい。蓋を開ければ徳川公にも家人にもこれと云った被害はなく、盗人は逃走途中に塀から落ちて死んだという不思議な顛末。酔客らは推論を重ねるが、「そりゃ違いますやろ」という声の主、福田房次郎が語り始めたのは、あっと驚く”真相”だった(「長くなだらかな坂」)。 京都・奈良をつなぐ法螺吹峠、ナチス勃興前夜のポツダム、魔都・上海ほか、那珂川の赴く地に事件あり、妖人あり! “歴史・時代ミステリの星”伊吹亜門が放つ全5話の連作短編集―― 絢爛たる謎解き秘話を通して、 〈あの人〉たちの妖人ぶりにあらためて瞠目した ――有栖川有栖(作家) 著者の本領発揮作と呼ぶに相応しい完成度 ――千街晶之(ミステリ評論家) 【編集担当からのおすすめ情報】 伊吹亜門氏といえば、『刀と傘』にて第19回本格ミステリ大賞を受賞した、歴史・時代ミステリのトップランナーです。そんな伊吹氏にしても、本作は、明治、大正、昭和ともっとも広い時代を扱う意欲作です。謎解きにも、革新的な仕掛けを施してますが、それはご覧になってからのお楽しみに!
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語り手が同じで、探偵役が毎回変わるという一風変わった連作短編集。 どの作品もクオリティーが高い上に、各編の探偵役の正体が実は……というお楽しみまでついてくるので、2度楽しめる。 歴史ミステリだけど、歴史音痴でも本書を楽しむのに問題はない。
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明治から昭和初期にかけて、小説家・那珂川二坊が出会った奇妙な事件の数々。そしてそれを解き明かして去っていく不思議な人たちは、実は有名なあの人だった……。レトロな雰囲気も楽しめる連作ミステリです。 ミステリとしての面白さはもちろん、時代背景の雰囲気が魅力的です。そして一話で趣向がわ...
明治から昭和初期にかけて、小説家・那珂川二坊が出会った奇妙な事件の数々。そしてそれを解き明かして去っていく不思議な人たちは、実は有名なあの人だった……。レトロな雰囲気も楽しめる連作ミステリです。 ミステリとしての面白さはもちろん、時代背景の雰囲気が魅力的です。そして一話で趣向がわかったところで、どの人がどんな有名人なのか、を推測するのもまた楽しいです。とはいえ、有名とはいってもやや微妙なラインでもあるのかも。「攻撃!」で登場するあの人のことは、私知りませんでした。あとも最後に明示されていなかったら、大方わかりませんし。「法螺吹峠の殺人」のあの人に関しても、バックグラウンドは知らなかったのでちょっとびっくり。 お気に入りは「春帆飯店事件」。事件として一番派手なのもあり、犯人の巧緻な企みやラストに突きつけられた真相の衝撃も一番。そしてなんといってもあの人がまさか……! という驚きもまた一番でした。そこから最終話「列外へ」へ繋がる那珂川の心情もまた印象的で。最後に登場する彼があの人だったのか、というのもまた感慨深いです。
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明治から昭和にかけて、作家那珂川二坊が遭遇した事件について記す連作短編集。 一つ一つの話はそんなに込み入った話でもなく軽めのミステリ読み物くらいで、そこにあの有名人がかかわっていた、みたいなつくり。自分はその有名人たちにあんまり造詣が深くないもので、そのあたりを楽しめなければ単に...
明治から昭和にかけて、作家那珂川二坊が遭遇した事件について記す連作短編集。 一つ一つの話はそんなに込み入った話でもなく軽めのミステリ読み物くらいで、そこにあの有名人がかかわっていた、みたいなつくり。自分はその有名人たちにあんまり造詣が深くないもので、そのあたりを楽しめなければ単に軽い読み物でしかないんだけど、その時代時代を書いているなんともいえない舞台設定の魅力はあるような。
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最近読み始めた作者の最新刊だが、今回は特に文章がめんどくさくて何度寝落ちしたことやら。明治から大戦終結までに那珂川二坊なる作家が東京、奈良、ドイツのポツダム、上海、そして京都で出くわす事件を、歴史的に知られてる有名人(?)が真相を暴くと云う構成だが、なんかイマイチ魅力がないんだよ...
最近読み始めた作者の最新刊だが、今回は特に文章がめんどくさくて何度寝落ちしたことやら。明治から大戦終結までに那珂川二坊なる作家が東京、奈良、ドイツのポツダム、上海、そして京都で出くわす事件を、歴史的に知られてる有名人(?)が真相を暴くと云う構成だが、なんかイマイチ魅力がないんだよなあ・・・
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最近お気に入りの伊吹さんの作品。 明治から昭和(第二次世界大戦終結)までに那珂川二坊なる売れない作家が遭遇した様々な事件を描く。 といっても探偵役は那珂川ではなく、それぞれの事件で出会う人たち。その探偵役たちが後の有名人であったというのが最後に明かされる趣向。 事件そのものも楽...
最近お気に入りの伊吹さんの作品。 明治から昭和(第二次世界大戦終結)までに那珂川二坊なる売れない作家が遭遇した様々な事件を描く。 といっても探偵役は那珂川ではなく、それぞれの事件で出会う人たち。その探偵役たちが後の有名人であったというのが最後に明かされる趣向。 事件そのものも楽しいが、むしろこの探偵役が誰なのかというのが途中から気になって読んでいた。 あの人かな?と思いながら読んだものの、結局分かった人はほとんどなし。自分の無知を改めて知ることになってしまった。 徳川公爵邸に忍び込んだ賊を捕まえた活躍譚の綻び。 豪雨の中で起きたクローズドサークル的殺人。 雪の山荘的密室殺人。 これまた同じフロア内の人物にしか起こせない密室的殺人。 密室となればワクワクするところではあるのだが、この作品ではちょっと肩透かしな感じがあった。 同時に那珂川二坊が公私ともに追い込まれていく様子が描かれていて少し辛かった。 主人公が売れない作家であるというところが肝であり、当時の多くの日本人がそうであったろう彼の視点もこの物語の結末がどうなるのかという興味を抱かせた。 この戦争の結末を知っている現代の私にとっては彼やその他の登場人物たちのその後を思うと切なく苦くなるのだが、『歴史に名を刻むであろう者も』『結局は私たち市井の人間と変わらなかった』という、その物語を那珂川二坊先生が描けた(それがこの本作という設定なのだろう)のは良かったと思う。
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