中野のお父さんと五つの謎 の商品レビュー
中野のお父さんシリーズ、今回はコロナ禍がようやく収まりつつある頃の設定。お父さんの蘊蓄にひたすら感動する。編集者の娘・美希と担当作家や同僚などなど、毎回安心のシリーズだ。
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老舗出版社「文宝出版(ぶんぽうしゅっぱん)」で編集者を務める、田川美希(たがわ みき)と、中野の実家に住む、高校教師のお父さんのシリーズ、第4弾。 前作あたりから、軽やかな謎解きではなく、本の名前や作者の名前、落語の話や落語家の名前が芋蔓式に出てくるうんちく語りが長くなって、頭...
老舗出版社「文宝出版(ぶんぽうしゅっぱん)」で編集者を務める、田川美希(たがわ みき)と、中野の実家に住む、高校教師のお父さんのシリーズ、第4弾。 前作あたりから、軽やかな謎解きではなく、本の名前や作者の名前、落語の話や落語家の名前が芋蔓式に出てくるうんちく語りが長くなって、頭が追いつかない。 美希もだいぶベテラン編集者の部類に入ってきたようで、後輩の新人・柴田李花(しばた りか)が新しく登場。 今回、うんちくの語り手は増えて、大作家の村山富美男(むらやま ふみお)先生と、『小説文宝』に登場する作家中最年長の原島博(はらしま ひろし)先生も加わり、お父さんと三つ巴のうんちく合戦となった。 美希や李花たち編集者は、先生たちの「講義」に真剣に耳を傾け、落語の会や文学館にお付き合いし、と毎日が勉強の日々。大変だなあ・・・でも、本人たちは意欲に燃えているのであろう。 今回は、世代の違いによる、常識や認識のズレが全体のテーマになっている気がする。 消えていく文化を惜しむ気持ちは自分にもあるが、次々と新しいものが出てくるから、世の中の情報は溢れっぱなしである。 残念ではあるが、断捨離・・・いや、自然淘汰されていくのだろう。 面白いと思ったのが、正岡容(まさおか いるる)という人が書いた『江戸再来記(黄表紙)』という作品。 大正12年の発表だが、世の中全てが江戸趣味になり、現代的な物が「古くさい」と言われてしまう、SFみたいな設定。原島先生の例え話は、今で言えば、スマホを使う人がいなくなって、巻き紙の手紙でやり取りすることが流行するようなもの、という。この作品は、芥川龍之介も面白がったようだ。 読んでみたいけれど、青空文庫に正岡容の作品はたくさん収録されているものの『江戸再来記』は載っていない。 『漱石と月』 I love youを「月が綺麗ですね」と訳したのは漱石なのか? 『清張と手おくれ』 「点と線」、マニアに叩かれる 『「白波看板」と語り』 その時代になかった単語を使うこと 『煙草入れと万葉集』 名前が載っているが実態が分からない故の誤解 『芥川と最初の本』 夏目先生をリスペクトした芥川龍之介が、最初の本であやかったこととは・・・
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【収録作品】漱石と月/清張と手おくれ/「白浪看板」と語り/煙草入れと万葉集/芥川と最初の本 文芸ミステリ。シリーズ第4作。 「漱石と月」 夏目漱石が、英語の〈アイ・ラブ・ユー〉を〈月が綺麗ですね〉と訳したという、根拠のない伝説を検証する。 「清張と手おくれ」 松本清張『点と線』のネタバレありとの注意書きがある。時刻表トリックの不自然さを面と向かって指摘したのは誰か。 「『白浪看板』と語り」 三遊亭圓生の語る池波正太郎原作の「白浪看板」にある原作との違いにまつわる話。 ここに出てくる語り手の北原久仁香さんとの対談がこちら →https://books.bunshun.jp/articles/-/8409 「煙草入れと万葉集」 落語の『居残佐平次』の噺に出てくる「十二煙草入れ」とは何か。また、「万葉集」の読み方が変わった経緯についての話。 「芥川と最初の本」 芥川龍之介と夏目漱石、そして芥川龍之介と正岡容の話。『羅生門』の、漱石本にあやかって作られたところのうち、一目瞭然の箇所はどこか。 作者が「お父さん」として、大好きなことをうれしそうに語っている姿が目に浮かび、読んでいて楽しくなる。そして、読みたい本、聞きたい噺などがまた増える……
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大好きな北村薫さんの「中野のお父さん」第4段。 今回も大変興味深く、愉しく読ませていただきました。 名だたる文豪にまつわる謎を当時の近しい方々の記述や落語などから読み解いていく過程も愉しく、くすりと楽しいやりとりもあったりで、何度も読み返しながらまた古書の深みにハマりたいです。 ...
大好きな北村薫さんの「中野のお父さん」第4段。 今回も大変興味深く、愉しく読ませていただきました。 名だたる文豪にまつわる謎を当時の近しい方々の記述や落語などから読み解いていく過程も愉しく、くすりと楽しいやりとりもあったりで、何度も読み返しながらまた古書の深みにハマりたいです。 文中の耳納連山の天然玉露茶もいただいてみたいですね〜
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【〈本の達人〉が贈る名探偵シリーズ第4弾!】〈アイ・ラブ・ユー〉を〈月が綺麗ですね〉と漱石が訳したとされる伝説はいかに生まれたのか? 国語教師のお父さんの推理が冴える!
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