〈寝た子〉なんているの? の商品レビュー
学んだ。認識を新たにした。 部落解放運動をする両親に育てられた著者。 子供のころから部落を離れて暮らしていたので、 黙っていれば部落のひと、とはわからない。 しかし親から日常的に差別についての会話をし、集会にも連れていかれ、 さらに君が代の持つ「差別」の意味を教えられて育つ。 そ...
学んだ。認識を新たにした。 部落解放運動をする両親に育てられた著者。 子供のころから部落を離れて暮らしていたので、 黙っていれば部落のひと、とはわからない。 しかし親から日常的に差別についての会話をし、集会にも連れていかれ、 さらに君が代の持つ「差別」の意味を教えられて育つ。 それでも自分には差別は関係ないと思っていたが、 入学式、卒業式の国歌斉唱の場ではじめて「差別」に直面する。 歌えない。立てない。 ここまで読んで、親が吹き込まなければ、何も知らなければ、苦しむことはないのに そう思ってしまった。 実際著者もその時はそう思ったらしい。親の価値観の押し付けだと。 しかしそうではないことに直面する。 ネットだ。部落の場所、部落出身者のリストがアップされていた。 悪意のある人々が、彼女らを差別するのだ。さらすのだ。生活を脅かすのだ。 しかもたちが悪いことにこの悪意、無知からくる。 もとは何も知らなかった人が、偏った情報を得て、彼ら彼女らに敵意を持つ。 その連鎖。誤った情報が誤った行動を呼び、それがまた誤った情報を増幅させる。 そして平穏に暮らす家族を恐怖に陥れる。 彼女も二人の子を持つ親。自分はさらされても戦えるが、子にはその必要はない。 でも悪意を持つ人達は子供も容赦しない。 いくら親がガードしようとしても、いずれ子供に直接刃が向かう。 だから知らないままではまずいのだ。突然やられたら被害は大きい。 備えなくてはいけないのだ。 弱者、マイノリティを攻撃する、弱い者いじめ。 それをマジョリティ、と自分のことを思っている人が実行する。 ほんとうは誰もが何かしらのマイノリティなのに。 自分は安全な場所にいる、と思い込んでいる人が、マイノリティを責める。 どこかで自分がその立場になることもあるのに。 マジョリティ特権、私の意識にもあった。 満員電車にベビーカーや車いすが載ってくると、 「時間帯をずらしてよ」といらだっていた。 それでなくても混んでるのに!と。 それはあくまでマジョリティ都合であることに気づいていなかった。 反省。 質が悪いのは今は政府自民党がそれに加担していること。 LGBTQ、夫婦別姓、反中反韓、反共?もっとあるだろう。反アイヌ、か。 あ、一番大きいのは女性差別、か。 何より国会で多数決で押し通す、これこそマイノリティに対する差別の 最たるものだ。 民主主義は単純多数決ではないのだ。落としどころを見つけるもの。 すべては無知からくるのだろうか。反知性主義。 正解がある、と思いこませてきた日本の教育の弊害かもしれない。 世襲議員は家の教えが絶対、偏差値エリートはテストの正解が絶対。 自分で考えない。実体験で考えない。 そういうことを想起させてくれたこの本。素晴らしい。
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ショックだった。 寝た子とは部落差別を指している。 「ある」を「ない」とはしていなかったが、あまり知らなかった、知ろうとしていなかった。 LGBTQ+、肌の色、宗教、貧富、男女、障害者、そして部落。 世の中は不平等であり、その問題を知り、差別をしてしまう側にいることを自覚すること...
ショックだった。 寝た子とは部落差別を指している。 「ある」を「ない」とはしていなかったが、あまり知らなかった、知ろうとしていなかった。 LGBTQ+、肌の色、宗教、貧富、男女、障害者、そして部落。 世の中は不平等であり、その問題を知り、差別をしてしまう側にいることを自覚すること。 偏見を持たず比較しないようにすること。 部落解放運動、総鑑、三国人、マジョリティ特権、マイクロアグレッション、知らないできたことが多々。 差別どうこうに関わらず、知らずに傷つけてしまうこともあるだろうし、気をつけねば。 そして気をつけるためには知らねば。 81冊目読了。
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読んでいる間、ザワザワと落ち着かない。 部落差別は知っているつもりだった。 私が住むとなりの学区に、部落と呼ばれる地区がある。 「怖いから通ってはダメ」ということも聞く。 (なにが怖いの?)と思ったけれど 住んでいる人たちが受ける差別について 深く知ることも、知ろうとも思わなかっ...
読んでいる間、ザワザワと落ち着かない。 部落差別は知っているつもりだった。 私が住むとなりの学区に、部落と呼ばれる地区がある。 「怖いから通ってはダメ」ということも聞く。 (なにが怖いの?)と思ったけれど 住んでいる人たちが受ける差別について 深く知ることも、知ろうとも思わなかった。 上川多実さんの著書を読み 差別について知る入り口に立った。 扉を開けない限り、また閉じてしまうだろう。 この先も気にかけていきたい。
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