虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督 の商品レビュー
ノンフィクション物なのに小説の様な読み心地。面白かった。 野球は全く明るくなく、登場人物も検索しながら読み進めた為少し時間がかかりましたが、ぐいぐい読んだと思う。 岸一郎というおじいちゃん監督に焦点を当てた時、見えてきた謎と闇。 腹の探り合い、策略、ずる賢さ。さらに余計な火種を...
ノンフィクション物なのに小説の様な読み心地。面白かった。 野球は全く明るくなく、登場人物も検索しながら読み進めた為少し時間がかかりましたが、ぐいぐい読んだと思う。 岸一郎というおじいちゃん監督に焦点を当てた時、見えてきた謎と闇。 腹の探り合い、策略、ずる賢さ。さらに余計な火種をつけるマスコミ。野球が好きで野球をやりたいだけの選手にもレギュラー争いという攻防がある訳で。 最終章で明かされる諸々にそれまでの登場人物への印象がひっくり返され、これもまた面白かった。見事な起承転結。 人は多面的ではあるが、根っこを知ると案外シンプルな答えにたどり着いたりするという事か。 それにしても最後、彼で締めるとはね。 知ってたのかね。
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読売ジャイアンツのライバルと位置付けられ、熱狂的なファンを多く擁する阪神タイガース。その長い歴史の中で、僅か2ヶ月だけ監督を務め、今やすっかり忘れ去られた岸一郎という人物がいた。彼の正体に迫る評伝。 自分は野球のことはろくに知らないが、なんとなく立ち寄ったスポーツ本コーナーで目に...
読売ジャイアンツのライバルと位置付けられ、熱狂的なファンを多く擁する阪神タイガース。その長い歴史の中で、僅か2ヶ月だけ監督を務め、今やすっかり忘れ去られた岸一郎という人物がいた。彼の正体に迫る評伝。 自分は野球のことはろくに知らないが、なんとなく立ち寄ったスポーツ本コーナーで目にして、題材や帯コメントに興味を持ち読んでみた。 当時ですらほぼ知られていない謎の老人扱いだった岸が実は戦前野球界でスターだったこと、結果を出せず引退に追い込まれたもののそのことは後々まで尾を引く球団の悪しき体質に繋がったこと、引退後の足取りを追う中で明らかになった新事実など、予想以上に壮大な物語が展開されており、読み応えのあるノンフィクションとなっていた。関係者の死去や貴重な資料の散逸もあり、もっと早い時代に取材が行われていればと惜しまれる気持ちもあるが、そもそもこの本が書かれるまでほとんど誰も岸という人物を省みなかったらしいことを考えれば十分以上のものだと思う。
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関西で絶対的な人気を誇るプロ野球の阪神タイガース、しかし勝てない。戦力があるのに勝てない、というシーズンも多く、そして年中、監督とコーチ、監督と選手、フロントと現場、フロント内部など、ゴタゴタが報じられる。そのルーツが、1955年シーズン開幕から33試合だけ監督を務めた、第8代監...
関西で絶対的な人気を誇るプロ野球の阪神タイガース、しかし勝てない。戦力があるのに勝てない、というシーズンも多く、そして年中、監督とコーチ、監督と選手、フロントと現場、フロント内部など、ゴタゴタが報じられる。そのルーツが、1955年シーズン開幕から33試合だけ監督を務めた、第8代監督・岸一郎にあるという。 ほとんど記録もない謎の老人、大学野球、社会人野球を経験するも、プロ野球選手の経験なし、しかも野球から離れて30年、年は還暦間近。スター選手の藤村富美男に、スムーズに引退してもらい、監督に就任してもらうための「つなぎ」だったようだが、岸監督と藤村富美男を始め選手との距離は開くばかり、そして選手の間でもゴタゴタが発生する。この時から、選手の力が強くなり、同じような出来事が、今に至るまで何度も繰り返される。そして、フロント内部での争い、それによる監督人事のゴタゴタも頻発。 振り返ると、2023年の優勝は、岡田監督と選手の一体感、フロントと監督の信頼関係、全てが奇跡的にハマッた一年だったのかもしれない。 しかし、関西のスポーツ新聞が、ゴタゴタが売れるからと言って、騒いだり、時には火を起こしたり、これも岸監督の時代に始まったのではという。これが無ければ、もっと勝てるのでは、という気もする。
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リアルサラかん。まさかプロ野球未経験の監督が実在したとは。それも阪神タイガース。 昭和30年、藤村富美男、金田正泰など生え抜きスター選手のつなぎで就任した岸一郎監督。選手に排斥され33試合で休養。 元祖、お家騒動を遺された記録の少ない監督の知己を追い辿っていくノンフィクション。 ...
リアルサラかん。まさかプロ野球未経験の監督が実在したとは。それも阪神タイガース。 昭和30年、藤村富美男、金田正泰など生え抜きスター選手のつなぎで就任した岸一郎監督。選手に排斥され33試合で休養。 元祖、お家騒動を遺された記録の少ない監督の知己を追い辿っていくノンフィクション。 最終的にお家騒動と阪神タイガースの独自の伝統とに結びつくが、結局謎の監督は謎のまま、関係した生存者も少ないので、やや尻切れトンボ。 阪神ファンでは描けないだろうお家騒動をテーマとした点は評価したい。
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阪神ファンではないが、興味あって読んでみた。ただ面白くない。最後まで謎の老人とは?で引っ張りたかったのかもしれないが、筆者の力量なのかもしれないが、ストーリー性がなくバラバラした書き方で読む気が失せて100ページで脱落。 60過ぎの生粋の阪神ファンなら楽しく読めるのかも?
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1955年、あの阪神タイガースの監督に就任した 一人の人物がいました。 岸一郎という当時としては老人の域に入る年齢 は60歳過ぎです。 年齢もさることながら驚くのはその経歴です。 なんとプロ野球の経験が無い、アマチュア出身 です。ホントか? 今では、いや当時でも考えられない...
1955年、あの阪神タイガースの監督に就任した 一人の人物がいました。 岸一郎という当時としては老人の域に入る年齢 は60歳過ぎです。 年齢もさることながら驚くのはその経歴です。 なんとプロ野球の経験が無い、アマチュア出身 です。ホントか? 今では、いや当時でも考えられない人事です。 何でも当時のオーナーに「チームの改善案」の 手紙を送ったのが目に留まり、オーナーの「鶴 の一声」で決まったとか。そんなアホな。 シーズンが始まると案の定、選手との軋轢が生 じ、ベテラン選手などはマスコミを使って追い 落とそうとします。 そうです。たびたび世の中を賑わす阪神の「お 家騒動」は、これがルーツと言っていいのです。 フロントの強引さ、選手のマスコミを使うした たかさ、それを評論家となって煽るファン達。 現在の岡田阪神は勝っているから周りはおとな しいですが、負けが込むと始まるでしょう。 お得意の「お家騒動」が。 阪神ファンでなくてもプロ野球を愛する人なら ば、きっと「ああそうだよね。阪神って」と 納得できる一冊です。
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1955年33試合だけ阪神の監督だった岸一郎。プロ野球経験のない60歳。なぜ彼が監督になったのか、謎に迫るドキュメント。 面白かった。岸前後の阪神の歴史や当時の混乱ぶりがよく分かる。
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なるほどなあと、この人物を掘りおこしてきたことには感心した。 ただ、一冊の本にするには、ちょっと材料が足りない思いもあった。 梅本さんが登場したのは、とても嬉しかったが。
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阪神-巨人戦には『伝統の一戦』という冠がつくが、対戦戦績を見れば 阪神の791勝1031敗73分、巨人へ240もの勝利を献上。歴代監督数を見ると、岡田彰布は35代目、巨人は阿部慎之助が20代目。創設年数は88年の阪神に対し、巨人は89年とほぼ同じ歩みながら、生え抜き主義の巨人に対...
阪神-巨人戦には『伝統の一戦』という冠がつくが、対戦戦績を見れば 阪神の791勝1031敗73分、巨人へ240もの勝利を献上。歴代監督数を見ると、岡田彰布は35代目、巨人は阿部慎之助が20代目。創設年数は88年の阪神に対し、巨人は89年とほぼ同じ歩みながら、生え抜き主義の巨人に対し、阪神は監督の首のすげ替えはなはだしく、『歴史はあっても伝統はない』と言われても仕方ないほど、監督数と同等の『内紛』を引き起こしてきたのが阪神。 ■本書は… 阪神のお家芸と言われる監督交代時のゴタゴタ。お家騒動が常態化するキッカケになったのでは?と言われる第8代監督『岸一郎』をめぐる不可解人事。その奇怪な真相に迫るノンフィクション。 ■内容は… 今から70年前の1955年、阪神球団は岸一郎というアマチュア野球界では実績を残すも、プロ野球の選手経験はなく、また30年もの間ボールに触ることもなく、故郷の敦賀で百姓をやっていたという得体の知れぬ老人を監督に据えるという仰天人事を行う。 招聘の経緯は、岸一郎が自発的に球団オーナーに向け、『チーム改革案』を献上。そこには〈投手を中心にした守りの野球〉の必要性が説かれ、内容に感心した野田オーナーは独断で監督に据える。 この人事に納得のいかないのが初代 Mr.タイガース藤村富美男。選手の前で『年寄り!』『こら、オイボレ!』と悪しざまに罵るなど、主力選手たちからも総スカンを喰らい、わずか1ヶ月半で解任。 かくして、その藤村は翌年第9代監督に就任。プレイングマネージャーとしてチームを牽引するも優勝目前にして失速し2位。戦績を見れば及第点も、問題は藤村の性格。手柄は全て自分にあり、自分に代わるスター誕生を望まぬ性格は人心を遠ざけ、やがて藤村排斥事件へと発展。 その背景には球団のシブチンにあり、主力選手たちはあまりの低評価に対し不満を爆発させ、今風に言えば『労働争議』が起こり、その矛先が球団には従順な藤村へと向かい排斥事件へと雪崩打つ。 また、この一件には副産物を生んだ。『阪神のお家騒動は売れる!』とスポーツ紙の知るところになり、毎シーズン終了後に季節の便りよろしく醜聞が生まれ、阪神は球界のスキャンダルメーカーとしての地位を確実なものにし、その悪しき伝統だけは忠実に受け継がれていく。 著者は招聘〜監督辞任までの流れを辿りながら、本社・球団・選手の誰しも阪神への愛があるがゆえに疑心暗鬼となり、同床異夢の現実を知り、失望と自滅の様子を炙り出していく。 それを押さえた上で、著者の筆は岸一郎の『得体探し』へと向かう。殆ど記録も残っていない謎の老人の郷里の敦賀に赴き、丹念に洗い出していく。やがて若きの日の岸一郎が早大・満鉄でプレイヤーとして無双な存在であったことを知る。 ■改めて阪神の悪しき伝統とは… 火の気のない場所でも火を起こし、火があるところは大火に至る。昨年2月のキャンプの初日、岡田監督は報道陣から『球団への愛はあるか?』と問われ、『球団には愛はない。阪神という名前には愛はあるけどな…』と発言。 虎の申し子である岡田は、仰天監督人事から70年経過し、阪神阪急グループになろうが『阪神という球団は伏魔殿である』と見ているのではないか。 僕の目下の関心はアレンパより、本社-球団-選手が三位一体になろうとしているところに、また変な病気が宿らないか…そっちの不安の方が募るばかり。 はたして『虎の血』って、拭っても拭っても付着し続ける清濁の『濁の高濃度』を肯定することなのか…
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阪神ファンではないが、阪神への強い愛を感じさせてくれる1冊。ただ、やや表現が大げさなところがあり、読んでいて疲れを感じたことは確か。
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