生き物の「居場所」はどう決まるか の商品レビュー
自然界において、さまざまな生き物がそれぞれの「居場所」を見つけて生存している。その「ニッチ」が何によって決まるかという考察。 ダーウィンの進化論、適者生存の法則により、餌をどう確保するかという観点から説明されて来たが、だってこんな緑いっぱいあるやん、食い尽くすなんかないやん、と...
自然界において、さまざまな生き物がそれぞれの「居場所」を見つけて生存している。その「ニッチ」が何によって決まるかという考察。 ダーウィンの進化論、適者生存の法則により、餌をどう確保するかという観点から説明されて来たが、だってこんな緑いっぱいあるやん、食い尽くすなんかないやん、という競争不在論から、天敵不在空間、繁殖干渉に至るまで。 まあ生き延びたやつは生き延びて、繁殖できたやつは増えていく。 のみ。滅ぶものは滅ぶ。その結果調和がたまたまあるだけで、それも脆い平衡状態にあり、あっという間に平衡は崩れ、また新しい平衡を生む。 そこになんか意味を見出して、なんかしようとするのは人間くらいか。 人間社会に当てはめて考えると、むっちゃ怖いわあ、と考えた。 世の中の束の間の平衡は今急速に崩れている。 なんてこの本には一言も書かれてないけど。
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生き物の居場所はどう決まるか、タイトルそのまま生物の占めるニッチはどのように決まっていくかを生態学の歴史を追いながらまとめた本。何となく聞き知っていたことも多かったが、改めて気付く新しい視点も多く─「緑の世界仮説」「中規模攪乱仮説」「天敵不在空間」「繁殖干渉」などなど─刺激的な読...
生き物の居場所はどう決まるか、タイトルそのまま生物の占めるニッチはどのように決まっていくかを生態学の歴史を追いながらまとめた本。何となく聞き知っていたことも多かったが、改めて気付く新しい視点も多く─「緑の世界仮説」「中規模攪乱仮説」「天敵不在空間」「繁殖干渉」などなど─刺激的な読書であった。著者の専門分野の話になると極端に学術的になり、読みにくくなってしまうのが少し残念。
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タイトルから動物や植物の生き残るための面白い知恵を紹介する本だと勝手に想像したが、全然違った。やたら、学者の名前が出てきて、研究論文や専門用語の入った研究実例を主体とした学術書だった。一般向けではなく、かなりマニアックな人向けだ。残念ながら途中挫折。最後まで読み通せなかった。 生...
タイトルから動物や植物の生き残るための面白い知恵を紹介する本だと勝手に想像したが、全然違った。やたら、学者の名前が出てきて、研究論文や専門用語の入った研究実例を主体とした学術書だった。一般向けではなく、かなりマニアックな人向けだ。残念ながら途中挫折。最後まで読み通せなかった。 生き物の居場所は「ニッチ」と呼ばれ、現在は天敵からの被害を最小限に抑えられる「天敵不在空間」であると考えられている。 また、ニッチが受け入れられる生き物の数には限度があり、これを「環境収容力」という。同じ種の生き物が増殖して、環境収容力に達すると競争が起こり、より環境に適した個体が勝ち残り、その子孫が繁栄する。 専門的でピンとこない話が多い中で、ミツバチのニッチに関する記述は身近な感じがして興味が湧いた。 日本ミツバチの天敵はオオスズメバチとキイロスズメバチ。日本ミツバチはこれら天敵の偵察役を巣内におびき寄せ400~500匹の数で襲いかかり、体温を上げ、蒸し殺してしまう。(「熱殺蜂球」という)これによって日本ミツバチはニッチを作った。 また、西洋ミツバチはスズメバチに集団で襲いかかるという術を持たないが、スズメバチが生息しない小笠原諸島をニッチとした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
<目次> 第1章 「種」とは何か 第2章 生き物の居場所ニッチ 第3章 ニッチと種間競争 第4章 競争は存在しない 第5章 天敵不在空間というニッチ 第6章 繁殖干渉という競争 終章 たどり来し道 <内容> タイトルの通り、生き物はどのように「居場所」を決め、生き延びてきたのかを学問史を丁寧に書き起こしながら、自分の論文(モンシロチョウの繁殖干渉)が学術誌に論文掲載されるまでの苦労を含めて、書いたもの。丁寧すぎて、専門外の私には理解がしにくかった。
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生物学における競争の歴史的な流れを学べた。俗物の私は動物の動きに、どうしても人間的な思考がそこにあるのではないかと考えてしまう。それもあながち間違いではないのかもしれない。逆もまた然り。
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生き物の居場所=ニッチは繁殖干渉で決まるのか、天敵不在空間を見つけたことで決まるのか。さまざまな角度から検証する。
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生物の棲み分け、それぞれ固有の居場所ニッチについて考察する。ダーウィンの進化論から実は生き物は他種と生存競争はしていないということまで。天敵不在空間にクラス生物を追った一冊。筆者は蝶類が専門。
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生き物は、天敵から逃げたり、隠れたり、立ち向かったりして、自らの「居場所」=ニッチを確保している。その巧妙な仕組みを解説。
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ダーウィンやメンデルの他、近年までの著名な研究者が築いた生態学の歴史を辿る。様々な生物が生き残りをかけて居場所を求め続けてきた。その結果起きた進化や変化は一見すると奇異にうつる。しかし研究を進めると合理的で隙のない策略が見えてくる。
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研究室の指導教官だった大崎先生の著書。 もう退官されて久しいのだと思うけど、知的な好奇心はすごいなと素朴に感じた。 生態学のリサーチャーの道とはまったく違うものを選択した自分だけど、やはりこの分野が好きなんだな、というのをあらためて認識させてもらった。 自分も存じ上げている当...
研究室の指導教官だった大崎先生の著書。 もう退官されて久しいのだと思うけど、知的な好奇心はすごいなと素朴に感じた。 生態学のリサーチャーの道とはまったく違うものを選択した自分だけど、やはりこの分野が好きなんだな、というのをあらためて認識させてもらった。 自分も存じ上げている当時の諸先輩・先生の方々の名前もちらほら出てきて少しノスタルジックな心持ちになりながら読み進めた。 生態学的ニッチを軸にこの分野がどう積み上がってきたかがわかりやすく描かれていてすごく勉強になった。でも、最後に大崎先生が実は自分としては逆の順番で把握が進んでいった、とあり、なるほどと思った。 緑の世界仮説、天敵不在空間、繁殖干渉、ひとつひとつのキーワードがうまく掘り下げれれていて読み進めるのが楽しかった。紹介されていた西田先生と高倉さんの『繁殖干渉』も近く手に取りたい。
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