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テラ・アルタの憎悪 の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2024/08/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ストーリー自体は好き。ただ最後の黒幕の話は、黒幕自体にそうするメリットがなく、話の説明のためにそうした感がある。

Posted byブクログ

2024/06/17

スペインの作家ハビエル・セルカスの作品。初めて知った作家であり、予備知識なく読み始める。 主人公のメルチョールは娼婦の母に育てられ、犯罪に手を染めることで刑務所に入るが、そこでユゴー作の'レ・ミゼラブル'を知り、母が殺されたことを契機として警察官として生きる道...

スペインの作家ハビエル・セルカスの作品。初めて知った作家であり、予備知識なく読み始める。 主人公のメルチョールは娼婦の母に育てられ、犯罪に手を染めることで刑務所に入るが、そこでユゴー作の'レ・ミゼラブル'を知り、母が殺されたことを契機として警察官として生きる道を模索する。風変わりな弁護士の助けもあり、希望が叶い、警察官として働き始めるが、テロリストの犯罪に直面し、全員射殺で未然に防ぐが、復讐から保護されるため、田舎町テラ・アルト勤務へと移される。犯罪とは無縁と思われたこの町で、資産家夫婦が惨殺死されるという事件が発生、母殺害の犯人を見つけ出すこともできず、資産家殺人の犯人探しも行き詰まっていく。主人公の過去の出来事と、現在進行中の捜査と交互にストーリーが展開していくが、'レ・ミゼラブル'から受けた正義に対する思いと、次々と判明していく意外な事実との葛藤が本書のテーマとなって結実していく。 謎解きと直接関係なさそうな話が現れてくるので、まだるっこしく感じるが、ストーリーに深みを与えている。最後まで何が起きるか予断できない内容であり、読み応えがあった。

Posted byブクログ

2024/04/28

日本、USA、イングランド、スウェーデン、フランス、インド、そしてこのスペインと各国の推理小説を読みました、どの国の警察官もブラックな職場です。

Posted byブクログ

2024/04/20

売春をしていた母。父親は誰だか分からない。貧困のなかでグレていく自分。とうとう捕まり刑務所に入れられてしまったある日、フランス人の受刑者と会う。その人に勧められた『レ・ミゼラブル』そこから彼の人生は変わった。 警察官となってある田舎町で勤務中、田舎では起こり得ないほどの大きな事件...

売春をしていた母。父親は誰だか分からない。貧困のなかでグレていく自分。とうとう捕まり刑務所に入れられてしまったある日、フランス人の受刑者と会う。その人に勧められた『レ・ミゼラブル』そこから彼の人生は変わった。 警察官となってある田舎町で勤務中、田舎では起こり得ないほどの大きな事件が勃発する。それはこの町のなかでかなりの富豪である夫妻と家政婦が惨殺されるというもの。ただの物取りにしてはかなり惨く、一種の儀式にも感じるような有り様。彼のこれまでの人生と殺人事件が交互に進行し、全貌が見えたときに譲れないもの、善悪を突きつけられる。 ものすごくチープな物言いになってしまうけれど、復讐というものの持つ恐ろしい力と、巡り巡って自身に降りかかるということを田舎の閉塞的な空気のなかでじわじわと感じさせる。捜査のき行き詰まり感、人生の行き詰まり感、完全に分けられない善悪という概念。最後まである意味ではすっきりとはしないけれど、様々なものを失ってきた主人公がその人生も含めて決断してきたことに幸あれと願わずにはいられない。

Posted byブクログ

2024/03/31

獄中でユゴーの『レ・ミゼラブル』と出会い、犯罪をやめ警察官となったメルチョールは、カタルーニャ州郊外の町テラ・アルタで、富豪夫妻殺人事件の捜査に当たる。夫妻は拷問の末に惨殺されていた。メルチョールは夫妻の事業には裏があることを直感するが……。 極めて猟奇的な場面で幕を開けるこの...

獄中でユゴーの『レ・ミゼラブル』と出会い、犯罪をやめ警察官となったメルチョールは、カタルーニャ州郊外の町テラ・アルタで、富豪夫妻殺人事件の捜査に当たる。夫妻は拷問の末に惨殺されていた。メルチョールは夫妻の事業には裏があることを直感するが……。 極めて猟奇的な場面で幕を開けるこの作品、単なる警察小説ではありませんでした。読書が人生を変える力のある営みであることを改めて実感しました。残りの二作も期待しています。

Posted byブクログ

2024/03/15

初めて読んだスペインのミステリー。 ミステリーというよりは主人公の生き様がメインで、事件も捜査していく様子も特に斬新さがあるわけではないが、読みやすく主人公も魅力的だった。続編も読んでみたい。

Posted byブクログ

2024/02/26

スペインの中央とも揉めている曰く付きの街が舞台。レミゼラブルを読む事で更生した刑事が主人公。その地の富豪夫婦の惨殺死の謎を解明すると言うミステリだが、その要素は低い。むしろ主人公の過去や思いを描いてる。濃いイメージの作品だった。

Posted byブクログ

2024/02/16

スペインの田舎町、レ・ミゼラブルを愛する刑事が富豪夫婦の殺害事件に挑むが… #テラ・アルタの憎悪 ■あらすじ スペインのテラアルタで発生した事件、村一番の富豪夫婦が拷問して殺害された。かつての投獄され、書籍『レ・ミゼラブル』と出会いによって刑事になった経緯があるメルチョールが捜...

スペインの田舎町、レ・ミゼラブルを愛する刑事が富豪夫婦の殺害事件に挑むが… #テラ・アルタの憎悪 ■あらすじ スペインのテラアルタで発生した事件、村一番の富豪夫婦が拷問して殺害された。かつての投獄され、書籍『レ・ミゼラブル』と出会いによって刑事になった経緯があるメルチョールが捜査にあたる。 しかし決め手となる証拠がでず、捜査が打ち切られようとしてた。彼は独断で捜査を進めようとするも、政治力によって試みが困難となっていき… ■きっと読みたくなるレビュー 不思議な魅力がある主人公と、スペインにある田舎町の暗部が見え隠れするミステリーです。 物語の筋としては大きく二つで、富豪夫婦の殺害事件の捜査と刑事メルチョールの過去を巡る回想。もちろん本筋は前者ではあるんですが、作品としての重心はむしろ後者にある感じですね。 過去犯罪に手を染めるも、『レ・ミゼラブル』と出会いから今まで持っていなかった価値観が芽生え、人生を切り開いていく。ただ人間としての気質は変わることはないのが魅力のポイント。心情描写もセリフも荒ぶることなく淡々と書かれているのがまた良くて、静かだけど強い存在感を残していくんです。 また警察の同僚たちや、友人や家族たちの描写もいかにも居そうな人たちばかりだし、じっくりと物語に浸ることができました。 事件の謎解き自体は想像したほど展開はしませんでしたが、終盤に語られる事件の真相や背景にはなかなかの戦慄が走る。昔にどこかの映画で見たようなシーンが目に浮かんできて、人間の「憎悪」が伝わってきました。 ■ぜっさん推しポイント 人間がいかに自分中心の価値観で生きており、他人の都合を考えていないかを示唆してくれる。絶対の正義は存在せず、正義と悪には相対性があることを理解しないといけないですね。汲汲として疲弊している人ばかりの現代、色んな人に伝わってほしいと思いました。

Posted byブクログ

2024/02/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2024年の3冊目は、スペイン産ミステリーです。 スペインのミステリーを読むのは、もしかしたら初めてだったかもしれません。かなり良いです。 主人公は、「レ・ミゼラブル」によって、人生が変わった男メルチョール。獄中で「レ・ミゼラブル」を読んだ事で、ジャベールに心酔し、母親を殺した犯人を捕まえる為に警察官になります。4人のテロリストを射殺した事で一躍、ヒーローとなりますが、テロリストからの報復を恐れた警察上層部が、カタルーニャのテラ・アルタへの移動を決めます。メルチョールは、テラ・アルタで最愛の人にめぐり逢い、娘も生まれます。 そのテラ・アルタで、美術印刷会社の社長夫妻が、拷問され殺されているのが発見されます。この事件の犯人は、想定の範囲内ですが、真相部分にスペインの歴史の暗部を加えている点が、重厚感を加えています。 そして何よりも、メルチョールと「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャンの人生が重なっている所が、素晴らしいと思います。メルチョールが、ジャベール的生き方から、ジャン・バルジャン的な生き方に変わるラストが、心に染みわたります。 ☆4.7

Posted byブクログ