め生える の商品レビュー
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中高生以上はみんなハゲてしまう世界の話。 最初は原因もわからずパニックになったが5年もすると死ぬわけでもないし、ただハゲるだけ。と世界は落ち着きを取り戻す… 美容室は少なくなり、ウィッグ専門店やハゲ用のシールタトゥーや坊主に見える本物のタトゥー…元々ハゲてた人は安心するし、クラスで最後までハゲないことでイジメられ自殺した子…髪の毛が生える薬があると金儲けをする人… そんな中、ハゲたはずなのにある日いきなり髪が生えてきた真智加…今度は髪の毛を隠す生活… おもしろかったのに、最後の終わり方… 不完全燃焼…
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ある日、禿げている方が普通の世界になる。マジョリティとマイノリティが逆転する世界になったら、コンプレックスを抱える心や、関係性はどう変化するのか。禿げの世界という独特な切り口ですが、高瀬さんの作品らしく今作も、人間の危うく繊細な心理描写が描かれていて読みやすかった。
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コロナに翻弄されたあの頃をパロディーにしたような作品だ。 この世界ではある日突然髪が抜ける。老若男女を問わない。若い人は大丈夫だが、年齢が上がれば抜けてしまう。原因は不明だ。感染するかどうかもよくわかっていない。主人公は薄毛に悩んでいた女性で、そんな状況に内心でほくそ笑む。 髪が...
コロナに翻弄されたあの頃をパロディーにしたような作品だ。 この世界ではある日突然髪が抜ける。老若男女を問わない。若い人は大丈夫だが、年齢が上がれば抜けてしまう。原因は不明だ。感染するかどうかもよくわかっていない。主人公は薄毛に悩んでいた女性で、そんな状況に内心でほくそ笑む。 髪がなくなれば不要になる製品やサービスは多い。あっという間に業態が変わり生き残りを図る。人は見た目がすべて。ウィッグやタトゥーで差別化しようとする。 高瀬さんにしては毒気が少ないなと思ったが、よく考えればとんでもなく怖ろしい内容だった。
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100分没頭の中編小説「ハンドレッド ミニッツ ノヴェラ」シリーズ。 同シリーズの津村喜久子さんの「うどん陣営の受難」が104ページなのに比べ、こちらは164ページと1.5倍以上のボリュームだけど、同じく100分で読み終えるのだろうか? さて、以上のようにお手軽な小説ではあるの...
100分没頭の中編小説「ハンドレッド ミニッツ ノヴェラ」シリーズ。 同シリーズの津村喜久子さんの「うどん陣営の受難」が104ページなのに比べ、こちらは164ページと1.5倍以上のボリュームだけど、同じく100分で読み終えるのだろうか? さて、以上のようにお手軽な小説ではあるのだが、取り扱うテーマは極めてスケールが大きい。 髪の毛が根こそぎ抜ける感染症が全世界的に流行る。そしてほとんど全ての人が罹患する事態に陥るといった話なのだ。 こどもはハゲない。はやい人は16歳からハゲる。ひととおりハゲきった今は20歳以上のほとんどの人がハゲている… もともと薄毛を気にしていた真智香は、感染症の流行をむしろ歓迎する。みんなではげれば怖くない。 やっと多数派だ。 しかし、そんなにうまくことは運ばない。 なんせ、それはいじわるな高瀬さんが書いた小説ですもの…笑 真智香を戸惑わす新たな展開が。 真智香の運命やいかに… さて、僕も最近床屋さんで頭頂部が薄くなりつつあることを指摘された。 「たけさん、そろそろ薬飲んどいた方がいいですよ。この程度なら1月8000円くらいで進行をくいとめることができます」って言われた。 いやー悩みますけどねー まだ頭頂部を上から見る床屋さんくらいしか気づかないほど目立たないからいいけど、もう少ししたら、みんながはげる感染症流行ってくれないかなー笑 ♫HEY MAN!/ユニコーン(1988)
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⚫︎受け取ったメッセージ 結局どうなろうと少数派は奇異の目にさらされる ⚫︎あらすじ(本概要より転載) せっかくみんなハゲたのに―― 突然起こった原因不明の感染症は、いつしか中高生以下を除く全ての人がはげる平等な世界に変えた。 元々薄毛を気にしていた真智加は開放感を抱いて...
⚫︎受け取ったメッセージ 結局どうなろうと少数派は奇異の目にさらされる ⚫︎あらすじ(本概要より転載) せっかくみんなハゲたのに―― 突然起こった原因不明の感染症は、いつしか中高生以下を除く全ての人がはげる平等な世界に変えた。 元々薄毛を気にしていた真智加は開放感を抱いていたのだが、ある日、思いがけない新たな悩みに直面し、そのことが長年友情を培ってきたテラとの関係にも影響が及ぼしそうで…。 同じく、予想外の悩みは、幼少期に髪を切られる被害にあった高校生の琢磨にもある。それは恋人の希春と行った占い師のお告げがきっかけだった…。 価値観は刷新したはずなのに、また別の分断の萌芽がそこに。 ⚫︎感想 高瀬さんが「め生える」についてお話しされているインタビュー記事も合わせて読んだ。同僚の方がはげいじりされていて違和感を持ったそう。見た目のことを他人が言うのはとにかくいけないと思う。本人はどんな気持ちでいるかわからないし、実際そういう場面に遭遇したこともある。結局多数派が少数派を押し込める。
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奇病により皆がハゲる世界。奇病が流行る前から薄毛がコンプレックスだった人間、奇病により一斉にハゲた人間、それぞれの心理描写が面白い。
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大好きな高瀬隼子さんの作品待ってました! 高瀬さんはいつも多様性、普通とは何か?世の中の視線、のようなことを描かれているように感じる。 今回も面白かった。
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すごい斬新な設定ですよねぇ。 毛があってもなくても、色々言われるのめんどくさいですねぇ。マチカとテラの親友といいつつ微妙な関係、しんどいですね。テラは地味にマチカを下に見てて、だからこそテラは一緒にいて楽なんでしょうね。あの感じ、読んでてしんどかったぁ。 てか、なんで1度毛が全部抜けたあと毛が生えることが悪みたいになってるんですかね?
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誰もが「はげ」や「ちび」といった、人の外見を貶める言葉を聞かずに育つことはないのではないか。本人にはどうしようもないことで、コンプレックスにもなっているはずのそれを、周りがそんな風に言うのは嫌だなと思う。 では実際にみんなそうなってしまったら?という想像を広げていくと、この作品...
誰もが「はげ」や「ちび」といった、人の外見を貶める言葉を聞かずに育つことはないのではないか。本人にはどうしようもないことで、コンプレックスにもなっているはずのそれを、周りがそんな風に言うのは嫌だなと思う。 では実際にみんなそうなってしまったら?という想像を広げていくと、この作品のようになるのではないか。設定はありえないけれど、内容や心の動きはとてもリアルで、面白いけれどこわくもあった。 ・毛が元々薄かったりなかったりする人と、みんなと同様に一気にはげた人との価値観は違う ・みんながはげていると、自分だけに毛が生えることを恐れてしまう ・恐ろしいと感じる一方で、毛が生えてきていることへの優越感を感じもする コンプレックスと人間関係の視点も興味深かった。 なんでもずけずけとものを言うテラと、薄毛をずっと気にして生きてきた真智加の関係は、真智加のコンプレックスがあってこそ成り立つもの。コンプレックスを持たない人と持つ人の関係が逆転した時、いったいどんな人間関係が構築されるのだろう。 いろいろと考えさせられる作品だった。「おいしいごはんが〜」を読んだときも感じたけれど、この作家さんの作品は独特だけれど共感できる。
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純文学とは相性が悪いと思っていたのに、なぜか高瀬隼子さんの作品はことごとく好き。今回は原因不明の感染症で「みんなハゲになる」というものだ。こんなに「ハゲ」という単語をたくさんみたの初めて。 高瀬さんの作品は突拍子もない設定なようでいて、とてもリアルだ。流行初期のちょっとしたパニ...
純文学とは相性が悪いと思っていたのに、なぜか高瀬隼子さんの作品はことごとく好き。今回は原因不明の感染症で「みんなハゲになる」というものだ。こんなに「ハゲ」という単語をたくさんみたの初めて。 高瀬さんの作品は突拍子もない設定なようでいて、とてもリアルだ。流行初期のちょっとしたパニックはコロナ禍を思い出す。 そしてきっと誰にでも多少はあるであろうコンプレックス。「ハゲ」という単語は「デブ」にも「チビ」にも「バカ」にも、その他なんにでも置き換えられるだろう。皆がそうなってしまえば平等なのか?妬んだり僻んだり、そうされることを恐れたり優越感に浸ったり、はたまた受け入れて楽しんだり。 登場人物になんとなく既視感を覚える。もちろんそこには自分もいるのだけど。
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