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謎の平安前期 の商品レビュー

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17件のお客様レビュー

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2024/03/19

一般的になよっとしたイメージを持たれがちな平安時代であるが、有名な紫式部や藤原道長などが活躍したのは平安時代の後半であり、平安遷都からの約200年間=「平安前期」は、時代の転換期で面白く変化に富んだ時代だったという問題意識から、桓武天皇の事績とその後の皇位継承、貴族と文人の関係、...

一般的になよっとしたイメージを持たれがちな平安時代であるが、有名な紫式部や藤原道長などが活躍したのは平安時代の後半であり、平安遷都からの約200年間=「平安前期」は、時代の転換期で面白く変化に富んだ時代だったという問題意識から、桓武天皇の事績とその後の皇位継承、貴族と文人の関係、宮廷女官、斎宮・斎院、紀貫之を通して見る平安文学など、平安前期の様々なエピソードを解説。 確かに著者がいうように、平安時代としてイメージするのは平安時代の後半期のことが多く、平安前期については、高校の日本史で習った通り一遍のことは知っていても、その具体的なイメージはあまり持っていなかったので、本書の内容はとても興味深かった。「平安前期200年は、奈良時代に作られた律令国家を基盤として、律令国家という外枠を残しながら、古代から中世に向けてのいろいろな試行錯誤が行われた時代」だということがよくわかった。 特に、平安前期には地方出身のインテリが文人として出世する道があったが後期には閉ざされていったこと、また、平安前期までは宮廷女官も政治の中心にいたが、その後女性が宮中で活躍できる場が少なくなり、女房のサロンに能力のある女性が集約されたことで、女性による王朝文学が華開いたということ、あるいは、和歌の名手は出世とは無縁の人が多かったことなどは、目から鱗だった。 また、天皇・皇室に関心が強い自分としては、平安前期の天皇や皇室についての知識を深めることができたのも有意義であった。 著者は、斎宮歴史博物館の学芸員として長年斎宮の研究や普及に取り組んでおり、本書もその研究成果がふんだんに盛り込まれている(斎宮についての記述が異様に充実している)。また、一般向けの展示解説などの経験が豊富なこともあって、ポケモンやコミケなどの卑近なたとえ話が多いなど、文章もとてもわかりやすかった。

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2024/03/02

大河ドラマの考証担当の歴史学者のインタビューか何かでおすすめされていたので、興味を持って手にとった。平安遷都から鎌倉の武士政権の誕生まで400年というのは江戸時代より長いわけで、たしかにその割に知識は薄く、内乱のような特筆できる史実が少ないのは安定していた時代だからとも考えられる...

大河ドラマの考証担当の歴史学者のインタビューか何かでおすすめされていたので、興味を持って手にとった。平安遷都から鎌倉の武士政権の誕生まで400年というのは江戸時代より長いわけで、たしかにその割に知識は薄く、内乱のような特筆できる史実が少ないのは安定していた時代だからとも考えられるけど、貴族の国風文化とか藤原氏の興隆といったざっくりした印象でしかとらえていない。

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2024/02/12

イメージが湧きにくい平安時代の前期200年を天皇、文人官僚、貴族、宮廷女性など多様な視角から描き出そうとする試み。人名などに馴染みがないので読み進めるのが難儀な箇所も多いが、時折平たく噛み砕いて説明してあるので、何とか読み通すことが出来た。 最後の第10章に全体のまとめがあり、...

イメージが湧きにくい平安時代の前期200年を天皇、文人官僚、貴族、宮廷女性など多様な視角から描き出そうとする試み。人名などに馴染みがないので読み進めるのが難儀な箇所も多いが、時折平たく噛み砕いて説明してあるので、何とか読み通すことが出来た。 最後の第10章に全体のまとめがあり、これはわかりやすい。序章の年表もわかりやすい。ただ中身はそう簡単に理解できない。とくに第5章、第6章は読み返さないとついていけない気がした。 やや強引にまとめると、中国の律令制を模倣しようとして完コピに失敗した日本があらためて国家目標としたのは、「天皇を中心とした官僚制度」の確立であり、それは桓武天皇から始まりようやく醍醐天皇の時代に完成する。しかし、醍醐天皇の親政時代は同時に藤原支配体制の始まりでもあった。菅原道真排除に成功した時平・忠平以降の「護送船団方式」内の権力争いに最終的に勝利したのが、花山天皇の退位事件であり、新たな摂関政治が始まる。以後の200年近くが平安後期ということになる。

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2024/01/28

斎宮歴史博物館の榎村寛之氏による平安前期の概説。「謎」とあるのは、一般にわかりにくい、誤ったイメージを持ちがちな平安前期の認知状況を表現したものだ。他の通史と比べて、女官や斎宮の記述が多く、目を引く。また、現代で言えば〜といった例えが軽妙、ユニークで、読んでいてわかりやすく飽きさ...

斎宮歴史博物館の榎村寛之氏による平安前期の概説。「謎」とあるのは、一般にわかりにくい、誤ったイメージを持ちがちな平安前期の認知状況を表現したものだ。他の通史と比べて、女官や斎宮の記述が多く、目を引く。また、現代で言えば〜といった例えが軽妙、ユニークで、読んでいてわかりやすく飽きさせない。下級官人である歌人をポケモンに例え、憐んでいたのは思わず笑ってしまった。9〜10世紀への興味がますますわいてきた。

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2024/01/18

<目次> はじめに  平安時代は一つの時代なのか? 序章    平安時代前期200年に何が起こったのか 第1章   すべては桓武天皇の行き当たりばったりから始まった 第2章   貴族と文人はライバルだった 第3章   宮廷女性は政治の中心にいた 第4章   男性天皇の継承の始まり...

<目次> はじめに  平安時代は一つの時代なのか? 序章    平安時代前期200年に何が起こったのか 第1章   すべては桓武天皇の行き当たりばったりから始まった 第2章   貴族と文人はライバルだった 第3章   宮廷女性は政治の中心にいた 第4章   男性天皇の継承の始まりと「護送船団」の誕生 第5章   内親王が結婚できなくなった 第6章   斎宮・斎院・斎女は政治と切り離せない 第7章   文徳天皇という「時代」を考えた 第8章   紀貫之という男から平安文学が面白い理由を考えた 第9章   『源氏物語』の時代がやってきた 第10章   平安前期200年の行きついたところ <内容> 平安時代。今年の大河ドラマがこの時代だ。そしてそのテーマは『源氏物語』。我々もイメージするのは貴族たちの恋多き時代。しかしこれは11世紀以降のいわゆる「摂関政治」の時代で、平安時代の後半200年の始まりの頃の話だ。784年から1185年まで400年続く平安時代全体が、そうではあるまい。この本はそうしたことを教えてくれる。著者がわかりやすい表現、たとえをしてくれるのでわかりやすいこともあり、日本史教員として少し教えにくいこの時代を楽しく学ぶことができた。これを授業にどう取り入れるかだ…。  

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2024/01/04

歴史書をはじめ記録を残す文化だった活動的な奈良時代から、有職故実を内輪で継承するための日記文化へ変わり、よくイメージする退廃的で内向きの平安時代にどう移ってきたか、文献をもとに解説していて引き込まれた。小説やテレビドラマなどになりにくい中世以前を知る助けになる。中公新著らしい重厚...

歴史書をはじめ記録を残す文化だった活動的な奈良時代から、有職故実を内輪で継承するための日記文化へ変わり、よくイメージする退廃的で内向きの平安時代にどう移ってきたか、文献をもとに解説していて引き込まれた。小説やテレビドラマなどになりにくい中世以前を知る助けになる。中公新著らしい重厚な内容。要再読^^

Posted byブクログ

2023/12/27

闇に包まれた激変の時代が今明らかに。在原業平、菅原道真、斎宮女御、紫式部らが織り成す「この国のかたち」を決定づけたドラマ

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