ブラック・チェンバー 米国はいかにして外交暗号を盗んだか の商品レビュー
著者H・Oヤードレーは、「ブラック・チェンバー」と呼ばれる組織に所属し、そこで外国の暗号解読に携わっていた。この組織は、ワシントン軍縮会議で、日本の暗号文書を解読して、日本側がどの程度まで譲歩するのかを事前に把握していたことで有名である。ところが国務長官スティムソンの命令によっ...
著者H・Oヤードレーは、「ブラック・チェンバー」と呼ばれる組織に所属し、そこで外国の暗号解読に携わっていた。この組織は、ワシントン軍縮会議で、日本の暗号文書を解読して、日本側がどの程度まで譲歩するのかを事前に把握していたことで有名である。ところが国務長官スティムソンの命令によって、1929年に閉鎖されてしまった。そこで著者は、それまで秘密裡であったブラック・チェンバーの実態を暴露してまとめたのが本書である。著者が繰り返し言及するように、暗号解読とは心身ともに消耗する作業であり、外国政府の新しい暗号を解読できるためにも、これらの作業を継続的に行わなければならない。その為、暗号に対する情熱と指導者側の激励がなければ、このような仕事は継続できなかったという。このように、本書は他国の意図を読み取るために、どれほど神経質に、心血を注いで取り組んでいたのか、その心情が理解できる。
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