40歳がくる! の商品レビュー
まさに今40歳を目前に控えて人生に迷っている女が、「こじらせ女子」の雨宮さんの新刊じゃん♪などと安易に手を出すと痛い目を見る。そう、私のことだ。 前半の雨宮さん本人によるエッセイ部分は、内容だけ読むと同世代の女性たちに向けたともに40代を生き抜くためのエンパワメントとも取れる内...
まさに今40歳を目前に控えて人生に迷っている女が、「こじらせ女子」の雨宮さんの新刊じゃん♪などと安易に手を出すと痛い目を見る。そう、私のことだ。 前半の雨宮さん本人によるエッセイ部分は、内容だけ読むと同世代の女性たちに向けたともに40代を生き抜くためのエンパワメントとも取れる内容だし、実際にそういった意図で連載されていたものだろう。しかし知っての通り、彼女は本書の冒頭に引用された一文の通りに40歳でこの世を去ってしまった。それを踏まえて読むと、これは希死念慮の症状を抱えた患者の自死直前の心境を綴ったドキュメンタリーであり、なまじっか彼女の文章力が凄まじいだけに、その言葉はより生々しく鋭利にこちらの生身の部分に触れてくる。精神が不安定な人間がこんなものを読んだらどうなるか?本の冒頭に注意喚起の一文があってもいいくらいだ。 彼女が死にたがっていることを一部の友人たちは知っていて、あの手この手で彼女が死なないようにこの世に繋ぎ止めようとしてくれていたエピソードが登場する。それでもああなってしまったことを思うと、周りがどんなに手を尽くしたとて、死にたがる人間を引き留めることは容易ではないのだとわかる。もちろん手を尽くすことが無駄だと言いたいわけではない。ただ、最悪の結果が出てしまった場合でも、あのときああしていればとか、もっとこうしていたら死なないでいてくれたんじゃないかとか、そういう事を考え始めたらキリがないし、ましてや自分のせいかもしれないなんて、考えても仕方がないんだなと思った。養老孟司の言うところの「二人称の死」に対して、何も思わないなんてことは人間にはできなくて、それが自死であればなおさら、後悔は絶えないものだけれど、こんなにもどうしようもないものなんだと、逆に諦めがついた感覚があった。 彼女が知人から、「ネタに命かけちゃダメだよ」と忠告されるエピソードが出てくる。「いくら面白いものが作れるかもしれなくても、命取られるとこまで追っちゃ、だめだよ」と言われ、彼女も「自分の人生を食いつぶされるほど、何かを深追いしちゃダメってことだよね」と応えている。応えているのに… 「連続殺人犯」を書いた小野一光さんが、あとがきに、死刑囚を取材するのは精神的な負担がものすごく、爪がぐにゃぐにゃになると書いていた。命を削りながら物を書いている人はいて、削りすぎてしまう人も中にはいるんだなと思った。 実は雨宮さんの著書は「女子をこじらせて」ぐらいしか読んだことがなくて、それも亡くなった後に読んだから、私はリアルタイムで彼女にエンパワメントされた当事者ではないのだけれど、そういうたくさんの読者にとって彼女の死がもたらしたショックは計り知れなかったのだと思う。ただ命を削るような書き方をしていなかったらあそこまでのものは書けていないかもしれなくて。でもそれでも、生きていてほしかったと思う。
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とても真剣に、自分と向き合って生きていたからこそのことばだなぁと思いました。 そのままの自分を受け止めるのは苦しい。でも、だからこそ、じゃあどうすればいいのか考えることができる。 美しいひとだったんだろうなぁと思いました。 ありがとうございます。
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お酒と恋が好きだった人!人が好きな人と言った方がいいのかもしれない。「傷口に酒を塗れ!」でお酒で酔ってぐるぐるになってわけがわからないのに頭はとても冷静で、静かに狂ってしまっている時の文章がうますぎて私も酔ってしまった。「私は次の嵐が見たい。」痺れる… 何に傷ついているのかわから...
お酒と恋が好きだった人!人が好きな人と言った方がいいのかもしれない。「傷口に酒を塗れ!」でお酒で酔ってぐるぐるになってわけがわからないのに頭はとても冷静で、静かに狂ってしまっている時の文章がうますぎて私も酔ってしまった。「私は次の嵐が見たい。」痺れる… 何に傷ついているのかわからないのに苦しくて仕方なくて死にたいという感情は少しだけど覚えがあって、壊れることに喜びを覚えてしまえば、正気に戻ったときにもっと嫌になる。こんなに全力で人生のできごとに一喜一憂してたくさんいろんな体験をした人だから、まわりから見たらとてもギラギラして眩しい人だっただろうなと思う、
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・久々に雨宮さんの本を読んだ。 ・感想は正直難しい。 ・著者の最後まで含めてこの本の「感想」をポンと出せる勇気が無い。情け無い事に。 ・何の勝負をしているか分からないし(始めたつもりもない)、何で?って感じだけど、負けた、と思った。 ・つまらない事(でもないけど)、文章が本当素晴...
・久々に雨宮さんの本を読んだ。 ・感想は正直難しい。 ・著者の最後まで含めてこの本の「感想」をポンと出せる勇気が無い。情け無い事に。 ・何の勝負をしているか分からないし(始めたつもりもない)、何で?って感じだけど、負けた、と思った。 ・つまらない事(でもないけど)、文章が本当素晴らしいと思った(思っている)し、好き。
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雨宮まみさんにはいつも心をゆさぶられる。 こんなに自分の感情を文章にできるなんて、苦しい とも思う。 そういうことだ。 いや、そういうことでもないのかもしれない。 そんなあやふやな心の動きにも共感できる。 自分の中にあるけど表に出ないようにごまかしてきたものを掘り起こされたような...
雨宮まみさんにはいつも心をゆさぶられる。 こんなに自分の感情を文章にできるなんて、苦しい とも思う。 そういうことだ。 いや、そういうことでもないのかもしれない。 そんなあやふやな心の動きにも共感できる。 自分の中にあるけど表に出ないようにごまかしてきたものを掘り起こされたような気持ちになる。 同世代の雨宮さんの書く文章をもっともっと読んで一緒に歳を重ねていきたかった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この著者を私は認識していなかった。自分自身40歳を過ぎてあれこれと思うことがあり、他の人がどう思ってどう生きているのかを知りたいという興味で手に取った。亡くなっていることも、読んでいて初めて知った。かすかに記憶がある。私は「〇〇女子」という言葉が嫌いで、だから「女子をこじらせて」が話題になったとき、おそらく意識的に避けて読まなかった。読めばよかった。そして、生きていてほしかった。50になる私に、また何かを授けてくれる人だったかもしれないと思った。50がくる、を、読みたかった。
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いつもなら手に取らない雰囲気の本でした。 書店に行く度に目にした赤い本は随分長い間フタをしてきた感情が引き出されることになりました。 生々しく強く孤独で情念の塊ともいえる著者の生と欲望に対する闘いの軌跡です。 著者は40歳で亡くなられています。 『こじらせ女子』の言葉も流行しまし...
いつもなら手に取らない雰囲気の本でした。 書店に行く度に目にした赤い本は随分長い間フタをしてきた感情が引き出されることになりました。 生々しく強く孤独で情念の塊ともいえる著者の生と欲望に対する闘いの軌跡です。 著者は40歳で亡くなられています。 『こじらせ女子』の言葉も流行しましたが、 とうていその言葉では彼女を形容するには軽すぎると感じた強烈な内容でした。傷ついたり嫉妬したり憎んだりする処理しきれないた気持ちを代弁してくれる、あまりにも繊細で切ないくらい優しい。 強い味方と知り合えたと思えました。
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こんなにもどストレートに自分の気持ちを文章にしてしまう、命を削ってる感のあるエッセイに、ちょっと圧倒されてしまった。そして、自死に対する思いなども書かれており、最終的に40で亡くなられてこの本を読んでいることを考えると、なんだかザワザワする思いで読み終えた。
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読んでて心がヒリヒリした。自分が抱えているこの得体の知れないモヤモヤした気持ちを、著者は包み隠さず、率直な文章で表現してくれていた。そこにいたのは、自分だった。 女性特有であろう葛藤を抱えながらも、著者は仕事にも自分自身にもしっかり向き合い、多くの友達に支えられながら、楽しみを見...
読んでて心がヒリヒリした。自分が抱えているこの得体の知れないモヤモヤした気持ちを、著者は包み隠さず、率直な文章で表現してくれていた。そこにいたのは、自分だった。 女性特有であろう葛藤を抱えながらも、著者は仕事にも自分自身にもしっかり向き合い、多くの友達に支えられながら、楽しみを見つけて、これからもより良い人生を歩んでいく、そんな意気込みが伝わってきた。なのに、40歳で亡くなってしまったことを思うと、なぜ、と自然に涙がこぼれた。 著者と比べたら、私の人生はもっと地味で平坦だし、友達も楽しみも少ないように思う。それでも、こんな華やかな世界にいる人でも、自分と同じような気持ちや悩みを抱えてるんだと思うと、辛いのは自分だけでないんだと少し孤独感が和らぐ。みんな、こんな気持ちを抱えながらも、平然を装い、一生懸命楽しそうに生きている。みんな同じなんだ。そんなことに改めて気付かされた。 著者が命を削って生み出したこのエッセイ本は、私がこれからも大事にしたい一冊となった。だいぶ時間が経っているけど、著者のご冥福をお祈りしたい。
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