夜明けを待つ の商品レビュー
佐々涼子(1968年~)氏は、早大法学部卒、専業主婦として2児を育てつつ、日本語教師等を経てライターになった、ノンフィクション作家。2012年、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で開高健ノンフィクション賞、2014年、『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻...
佐々涼子(1968年~)氏は、早大法学部卒、専業主婦として2児を育てつつ、日本語教師等を経てライターになった、ノンフィクション作家。2012年、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』で開高健ノンフィクション賞、2014年、『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』でダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR第1位等、2020年、『エンド・オブ・ライフ』で本屋大賞ノンフィクション本大賞を受賞。 本書は、2013~22年に、日本経済新聞や雑誌各誌に掲載したエッセイ33編と、「集英社クオータリー kotoba」等の雑誌に寄稿したルポルタージュ9編をまとめた作品集である。 私はノンフィクションが好きで、これまで多数のノンフィクション作品を読んできたが、佐々さんも支持するライターのひとりで、『エンジェルフライト』、『紙つなげ!~』も読んでいる。 そして、ひと月前に行きつけの大手書店で本書を見かけたのだが、佐々さんにしては珍しいエッセイ+ルポルタージュ集だなと思いながら、購入はしなかった。が、それから程なく、NHKの朝の番組の特集で、佐々さんが悪性の脳腫瘍に罹患し、余命長くないことを知り、即座に入手し、読み終えた。(尚、佐々さんが悪性脳腫瘍に罹り、残された時間が少ないことは、本書のあとがきで書いている。私は本を見るとき、大抵はあとがきから読むのだが、書店で見かけたときには、なぜかあとがきを読まなかったのだ。。。) 本書に書かれているのは、作品集という性格上、様々な題材ではあるが、通底する大きいテーマはいくつかである。これまで「死」をテーマにした多くの取材をし、作品を書いてきた佐々さんが、そのときどきにどのようなことを感じ、考えていたのか。ライターになる前に日本語教師をしていた経験も踏まえて、国を跨いで生きる子ども達にとって最も大切なことは何で、そのために我々は何をするべきなのか。そして、『紙つなげ!~』を発表した後、10年間闘病した母親を失ったこともあって、スランプに陥り、インド、バングラデシュ、フランス、タイ等の寺院を訪ね歩き、そこでどのようなことに気付いたのか。。。等である。ノンフィクション作家というのは、取り上げるテーマとそれを描くアングルに、作家本人の価値観や人生観が如実に反映されるものだが、佐々さんのそれには大いに共感を覚えるし、また、いくつもの新たな気付きを与えられた。 その中で、最も印象に残ったのは、ノンフィクション作家の使命について書かれた、次の一節である。 「私は震災や、事件、事故について書いている。殺人についても、終末医療についても取材をしている。世の中には、災害があり、テロがあり、戦争がある。子どもの虐待があり、貧困や、病がある。いいことも、悪いことも書くのは、いいことも悪いこともあるから書くのだ。理不尽なことは、この世に存在している。それはただそこにある。だから私は書いているにすぎないのである。しかし、私は、「それでも」世の中は決して捨てたものではないと思っている。世の中は基本的に信じるに足ると思っているし、それがなければ、こんな仕事を誰もしないのではないだろうか。私が書きたいのは、「それでも」のあとにやってくるものなのだ。」 あとがきは次のように締めくくられている。 (こどもホスピスの取材をしたときのことを振り返って)「取材をしていた時には、まだピンとこなかった。だが、その時わからなかったことも、今ならわかる。私たちは、その瞬間を生き、輝き、全力で愉しむのだ。そして満足をして帰っていく。なんと素敵な生き方だろう。私もこうだったらいい。だから、今日は私も次の約束をせず、こう言って別れることにしよう。「ああ、楽しかった」と。」 また佐々さんの書いた文章を読めることを願って。 (2024年1月了)
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恐らく彼女のこの先対象に寄り添った様な新しいノンフィクションを読む事は出来ないかも知れないと思うと今までの作品が宝物の様に思えて来る。 同世代で同じ様な経験をし同じ様なモノを見聞きして来た仲間の様に勝手に思っていた人が今静かに先に進もうとしている。 どうか「楽しかった」と終えれま...
恐らく彼女のこの先対象に寄り添った様な新しいノンフィクションを読む事は出来ないかも知れないと思うと今までの作品が宝物の様に思えて来る。 同世代で同じ様な経験をし同じ様なモノを見聞きして来た仲間の様に勝手に思っていた人が今静かに先に進もうとしている。 どうか「楽しかった」と終えれます様に。 まだまだ早目の「ありがとう」に変えて。
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ちょうどこの作品を読み始めたとき、佐々涼子さんの特集が組まれている朝のニュースを観ることができ、絶句してしまいました…。だって、そんな悲しい……。私は佐々涼子さんの描くノンフィクションが好きで、「エンジェルフライト」も「紙つなげ」も「エンドオブライフ」も「ボーダー」も読んできま...
ちょうどこの作品を読み始めたとき、佐々涼子さんの特集が組まれている朝のニュースを観ることができ、絶句してしまいました…。だって、そんな悲しい……。私は佐々涼子さんの描くノンフィクションが好きで、「エンジェルフライト」も「紙つなげ」も「エンドオブライフ」も「ボーダー」も読んできました。それぞれ、心に響くものがあって、この作品を読めることを楽しみにしてて読み始めたけれど、序盤ではそこまで深刻だとは思ってもいなかったのに…佐々涼子さん、脳腫瘍の希少がんで闘病中、平均余命13ヶ月との告知を受けたのは昨年の11月って…。 この作品は、そんな佐々涼子さんが今までに綴った短いエッセイとルポをまとめたものになっています。ノンフィクション作家として感じたこと、読み手に伝えたいこと…それは自らの死生観や宗教観であったり、元日本語教師の目線も含め日本で生活する外国の子供達のことであったりとさまざまなな内容となっています。印象的だったのは、外国人技能実習生に関わる内容で日本はこのままでいいのか、問題提起しています。今のままでは、日本に来てくれる外国人はいなくなってしまうと…。 佐々涼子さんの紡ぎ出す文章は、読みやすくてどこか優しいんですよね…!まだまだ、書き続けてほしい思いと、家族との大事な時間を穏やかに過ごせればそれもありなのかとも思ったりもして…。今を愉しむ人生、「ああ、楽しかった」と言える人生を、私も送ることができたら幸せだと感じました。
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著者の作品はすべて読んでいるが、今回はエッセイということであとがきを先に読んでしまった。 驚きで本編を読むのに暫く時間を置いたが、あとがきのせいかどのエッセイも沁々してしまった。 手元に置いておき、これからも屡々読み返すことだろう。
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生と死を見つめたすぐれたノンフィクションを上梓してきた佐々さんが、これまでに発表し書籍化されていなかったエッセイやルポをまとめた本。自身の家族の話、死生観、この国と外国人、そして宗教……。どれも佐々さんらしいテーマだが、意外な一面もある。主な作品はすべて読んだが、エッセイはあまり...
生と死を見つめたすぐれたノンフィクションを上梓してきた佐々さんが、これまでに発表し書籍化されていなかったエッセイやルポをまとめた本。自身の家族の話、死生観、この国と外国人、そして宗教……。どれも佐々さんらしいテーマだが、意外な一面もある。主な作品はすべて読んだが、エッセイはあまり読んだことがなく新鮮だった。 現在、佐々さんは悪性の脳腫瘍と診断され、手術・入院を繰り返している。残された時間は少ないという。そんな中で届けてくれた貴重な1冊だ。
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今までどれほど沢山の事を佐々さんの本に教えてもらっただろう。どれだけ救ってもらっただろう。 佐々さんがこれまであちこちに綴ってきたエッセイの中なら厳選された数編が収められている今作。 読めばこれまでの作品の数々がフラッシュバックしてくる。 佐々さんの作品をまだまだたくさん読みたい...
今までどれほど沢山の事を佐々さんの本に教えてもらっただろう。どれだけ救ってもらっただろう。 佐々さんがこれまであちこちに綴ってきたエッセイの中なら厳選された数編が収められている今作。 読めばこれまでの作品の数々がフラッシュバックしてくる。 佐々さんの作品をまだまだたくさん読みたい。
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「紙つなげ!」や「ボーダー」など、印象深くわたしが大好きなノンフィクション作品をたくさん世に問うてくださった佐々涼子さんの過去に発表された文章と近況が書かれた一冊。 日経新聞夕刊の連載「プロムナード」と季刊誌「kotoba」に連載された「ダブルリミテッド」は抜けがあるものの読むよ...
「紙つなげ!」や「ボーダー」など、印象深くわたしが大好きなノンフィクション作品をたくさん世に問うてくださった佐々涼子さんの過去に発表された文章と近況が書かれた一冊。 日経新聞夕刊の連載「プロムナード」と季刊誌「kotoba」に連載された「ダブルリミテッド」は抜けがあるものの読むようにしていたので、半分ぐらいは読んだことのある内容だったが、他の文章からの情報をあわせてみると、病気で書く仕事が中断した間の状況や気持ちなども答え合わせのようにわかり、そしてこの秋に書かれたあとがきを読み佐々さんの現在を思い胸がいっぱいになる。 まだ読んでない「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」と「エンド・オブ・ライフ」も読むので、もうしばらくこの世で待っていてほしい。 生と死をみつめる取材と執筆を重ねてきて、ある意味そのへんの僧侶よりずっと悟りを開いているといってもいい佐々さんの今この瞬間がすがすがしく満ち足りていることをひたすら祈る。
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何かで見かけて、これは読まなきゃならないやつ…という気が強く強くして、迷わず買った。その通りだった。 エッセイ部分は、そうだよねーと思ったり、ちょっとフフッと笑ってしまったりしながら読んだ。生について。死について。人生に起きる善いこと悪いことについて。大事なことがたくさん詰まっ...
何かで見かけて、これは読まなきゃならないやつ…という気が強く強くして、迷わず買った。その通りだった。 エッセイ部分は、そうだよねーと思ったり、ちょっとフフッと笑ってしまったりしながら読んだ。生について。死について。人生に起きる善いこと悪いことについて。大事なことがたくさん詰まっている。 それにしても、なんと言ってもタイトルがいい。
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