ウィーン ユダヤ人が消えた街 の商品レビュー
オーストリアのウィーンにはユダヤ人社会があり、反ユダヤ主義も根付いていた。そして、それは大恐慌からのナチの台頭、合邦により、拍車がかかることになる。 戦後、オーストリアはユダヤ人迫害に対する補償を拒否し、公式に認めることになるのは90年代以降である。これは被害者であり加害者でもあ...
オーストリアのウィーンにはユダヤ人社会があり、反ユダヤ主義も根付いていた。そして、それは大恐慌からのナチの台頭、合邦により、拍車がかかることになる。 戦後、オーストリアはユダヤ人迫害に対する補償を拒否し、公式に認めることになるのは90年代以降である。これは被害者であり加害者でもある複雑な経緯が起こしたものでもあり、それらを紐解くのが本書となる。 本書ではアイヒマンのウィーン時代が詳細に描かれている。アイヒマンといえば、どうしても「ユダヤ人問題の最終解決」以降が語られがちなので、なかなか貴重な文章ではないかと思う。ウィーン時代のアイヒマンは移住計画において残酷な成果を上げる。 そして、アイヒマンとセットで引かれやすいのがアーレントだが、本書でも当然のように名前が出てくる。本書においては、ユダヤ人の道徳的崩壊という点において注目されている。ユダヤ人迫害に関して、ユダヤ人のなかにも協力者がいたということは、つとに知られてはいるが、こちらもあまり触れられないテーマではある。 総じて、被害と加害が織りなす複雑な歴史を概観しており、単純な二項対立には回収されまいとする文章である。
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オーストリアの歴史やその周辺の20世紀初頭の情勢が読みやすく書かれていると思います。レーヴェンヘルツとムルメルシュタイン。
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