山ぎは少し明かりて の商品レビュー
この作品、すご~く深かった…。でも、読めてよかったなぁ…と心から思えた作品です。 主だった登場人物は、孫娘の都、娘の雅枝、祖母の佳代…。瑞ノ瀬村というダムに沈んだ故郷を巡って、3世代がどのように生き、どのように向き合ってきたか…そして、未来は?というもの…。 やっぱり、...
この作品、すご~く深かった…。でも、読めてよかったなぁ…と心から思えた作品です。 主だった登場人物は、孫娘の都、娘の雅枝、祖母の佳代…。瑞ノ瀬村というダムに沈んだ故郷を巡って、3世代がどのように生き、どのように向き合ってきたか…そして、未来は?というもの…。 やっぱり、いちばんこの作品で多く描かれている佳代の章「山ぎは少し明かりて」は、何というのかすごいです…。壮大なスケール感と故郷を思う気持ち、そして愛する人を思い続けること…何てレビューすればいいのか、わからなくなるほどの切なさとあたたかさをこの作品を読むことによって追体験できます!職場のお昼休みにエンディングを迎えてしまい、涙を抑えるのが大変でした…。この作品に出会えたことに感謝します。
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大学生の都、都の母の雅枝、雅枝の母の佳代と母娘3世代の物語。都の持つ現代の悩みと雅枝の持つ家族への悩みまではこんなに深い物語だとは思わず、佳代の章に入った時の幸せな気持ちのまま読み終えたかった。ダムに反対する気持ちも補償金で村を去る考えもわかる。佳代が取った行いはとても感情的で確...
大学生の都、都の母の雅枝、雅枝の母の佳代と母娘3世代の物語。都の持つ現代の悩みと雅枝の持つ家族への悩みまではこんなに深い物語だとは思わず、佳代の章に入った時の幸せな気持ちのまま読み終えたかった。ダムに反対する気持ちも補償金で村を去る考えもわかる。佳代が取った行いはとても感情的で確かに正しいとは言えないし家族たち周りはいたたまれない。だけど本当に守りたかったものへの想いは心の底から理解できる。通して読んでいくと胸の内側を絞られるような、ひどく悲しい。佳代を思うと湖へと撒かれた砂粒がせめてもの。
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導入部分は期待外れだったかなと思ったが、後半の佳代の話になったら一気読みだった。最後は号泣してしまった。 戦争から故郷に帰ってきた人や家族を思って待ち暮らして来た人たちの故郷に対する思いに涙が止まらなかった。
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家族の歴史 世代が飛ぶので理解に苦しんだ 死んだでのちに発見された夫は何故 疑問が残ったまま終わってしまった 家系図があればわかりやすかったかな
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祖母、娘、孫娘三世代にわたる物語。 生まれ育った場所がダムに沈んでしまう事になり反対運動をしていた祖父と祖母。 親が反対運動に夢中になり、蔑ろにされていた娘。 留学に行ったが馴染めずに帰ってきて引きこもり、祖母の家に通う孫娘。 なかなか読み応えがありました。生まれ育った場所が大...
祖母、娘、孫娘三世代にわたる物語。 生まれ育った場所がダムに沈んでしまう事になり反対運動をしていた祖父と祖母。 親が反対運動に夢中になり、蔑ろにされていた娘。 留学に行ったが馴染めずに帰ってきて引きこもり、祖母の家に通う孫娘。 なかなか読み応えがありました。生まれ育った場所が大切なのはわからないでもないけど、それよりも娘を大切にしてあげてほしかったなぁ。結局最後まで我を貫き通した祖母。
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うーん、導入部から腰を砕かれた自分としてはこの物語を受け入れられない。 ミステリなのか群像劇なのか、それにしても各々の登場人物の存在感や方向性が今ひとつ伝わってこない。ミステリならミステリらしくそれとわかる謎を散りばめてほしかったし、謎に迫る緊迫感や、様々な確証が集ってくる説得力...
うーん、導入部から腰を砕かれた自分としてはこの物語を受け入れられない。 ミステリなのか群像劇なのか、それにしても各々の登場人物の存在感や方向性が今ひとつ伝わってこない。ミステリならミステリらしくそれとわかる謎を散りばめてほしかったし、謎に迫る緊迫感や、様々な確証が集ってくる説得力がほしかった。ダム問題に焦点を当てた力作だけに残念だ。
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作品紹介にある【 都市開発や自然災害で、瞬く間に変わりゆく日本の古き良き故郷(ふるさと)の姿。私たちが得たものと失ったものは、一体何なのか。若き作家が三世代の親子の目を通じ、変わりゆく日本の「故郷」を壮大なスケールで描いた感動作。 】通りの話で、何故かどんどん引き込まれていく小...
作品紹介にある【 都市開発や自然災害で、瞬く間に変わりゆく日本の古き良き故郷(ふるさと)の姿。私たちが得たものと失ったものは、一体何なのか。若き作家が三世代の親子の目を通じ、変わりゆく日本の「故郷」を壮大なスケールで描いた感動作。 】通りの話で、何故かどんどん引き込まれていく小説でした。 やっぱり辻堂ゆめの作品は良い‼️
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ダムに沈む瑞乃瀬村を中心に、母佳代と娘雅枝とその娘都が、戦中から戦後高度経済成長、バブル崩壊後まで、時世に流されながら生きていく物語でした。 母佳代の話がメインになっていたのかと感じ、急激な経済成長に翻弄された戦前世代のルポのような印象。星2つです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
中々読むのに時間が掛かった。 ダムに沈んだ村を背景に、祖母、母、娘の3世代の女性達を通して昭和から平成を経て令和までの歴史を辿っているような話だった。 1章の娘、都は現在の若い女性。海外留学したはいいけど思っていたのとは勝手が違ったようですぐに帰ってきてしまう。しかしそのことを隠してLINEで彼氏とやり取りを続ける。その彼氏の実家が台風の被害でリンゴ園が壊滅的な状況に陥って、そこを手伝ううちに精神的な打撃から立ち直っていく。ちょっと短絡的な思考と行動だがここから母や祖母の過去にたどり着いたのだろうか。 2章の母、雅枝はキャリアウーマン、自分が生まれ育った村に対して愛着があるのか無いのかはっきりわからない。読み進めていくうちにどうやら両親の行動が関係があるらしい。複雑な人物だと思う。私も田舎で育ったので都会への憧れもわからないではないし、また、故郷を懐かしく思う気持ちもわかる。世代的にも似ているので雅枝に一番共感できる部分があった。 3章の祖母、私の母の世代。一番大変な時代を生きた世代だ。最後までダム建設反対の意思を貫いたのだが、その根底には、佳代の章の最初の部分に描かれている豊かな山の生活の描写にあるのだろう。今はこんな風景はほとんど残っていない。ここの部分を読むと、高度経済成長期に何か大切なものを壊して今の日本を作り上げてしまったのではないか、と思う。佳代の最後までの抵抗はダム建設反対だけでなく夫孝光を待つためでもあったのだ、いや、こっちのほうが強かったのかもしれない。そこには子どものころから一緒に過ごした村の情景、そして離れ離れの時もこの村の豊かさが守ってくれたからだろう。 孝光はどうして消えてしまったのだろう。佳代だけでなく、雅枝の心にも父の失踪は大きく影を落としている。 とにかく壮大な物語だった。読み終わってダムに沈んだ各地の村のことが知りたくなった。高度経済成長期に様々な犠牲を負った人のことも。 そして今なお、同じようなことが日本の各地で繰り返されているのではないだろうか。 立ち止まることも、そして考え直すことも大事だと思った。 読み応えがある物語だった。
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神奈川県の宮ヶ瀬ダムをモデルに、ダム建設に伴い湖の底に沈んだ村で最後まで反対を訴えた夫婦と、その妻の娘、孫三代に渡る物語。 大河小説は好きだけど、孫の話から始まるこの親子孫三世代の物語はページ配分のバランスが悪くて、祖母・佳代の章が長すぎる。 だからか、第三章を読み終わる頃には...
神奈川県の宮ヶ瀬ダムをモデルに、ダム建設に伴い湖の底に沈んだ村で最後まで反対を訴えた夫婦と、その妻の娘、孫三代に渡る物語。 大河小説は好きだけど、孫の話から始まるこの親子孫三世代の物語はページ配分のバランスが悪くて、祖母・佳代の章が長すぎる。 だからか、第三章を読み終わる頃には最初の話を忘れそうになって、一つの物語としての統一感が感じられなかった。 孝光と佳代のダム反対の気持ちはわからないではないけれど、あまりの頑なさにうんざり。 ふるさとがなくなったら、自分の人生そのものが消えるということなのかもしれないと佳代はいうが、そんなことはないし、思い出は消えないし、ましてや生きてきた過程が消えることはない。 あまりに感傷的にすぎて最後まで全く肩入れできないまま読了。 疲れました。
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