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地元に帰ってきたら幼馴染が壊れてた の商品レビュー

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2024/03/03
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※このレビューにはネタバレを含みます

タイトルは不穏だけど、ストーリーは、とっても優しい。十五夜イズムと言っていいのか、その辺りは迷うけど、十五夜先生の良さが、他作品に負けないくらい、しっかりと発揮されている。 十五夜先生の作品を読みたいけど、どれから読むべきか、迷っている漫画読みが私の目の前にいたら、この『地元に帰ってきたら幼馴染が壊れてた』を、そっと差し出したいくらいだ。 あくまで、私の感覚ではあるけど、他作品に比べると、こちらは読みやすいし、十五夜って漫画家は、こういう作品を描くのかって事を知るのにぴったりであるように思う。 フルカラーってことで、値段設定はちょい高め、と感じるかもしれないけど、読んでみると最適価格だ、と納得できるはずだ。私は、損していない、と思った。 この作品は、端的に言えば、ラブコメである。 ただ、幼馴染がイチャイチャするだけじゃなく、人間は負けっぱなし、立ち止まったままじゃいない、芯の部分に強さがある、そして、その人間力を引き出してくれるのは、好きな相手の言動って事を教えてくれる、結構、ツヨツヨなストーリーだ。 人生、生きてりゃ、ぶっ壊れてしまうくらい、辛い事は起きる。それが起きない人間は、稀だろう。辛い事から逃げたい、もう傷付きたくない、死んでしまいたい、そう思うのも致し方ない。 それでも、人は立ち直る、立ち上がる、歩き始める強さを、誰でも持っている、と私は信じたい。 大切な人がくれた強さを支えにして、自分の壊れた心と向き合い、抱き締め、その痛みを背負って、明るい未来に向かって、幸せになるための努力をする人を、私はカッコよく感じ、尊敬する。 ざっくりと感想を纏めると、幼馴染カップルは最高、そこに着地する(笑) この台詞を引用に選んだのは、冬馬の中にある響子に対する愛情が「本物」であり、同時に、彼の男しての強さが、ハッキリと視えるものだったので。 やや冴えない風貌であるかも知れないが、この冬馬、中身は、かなりのイケメンだ。 真相を聞いた時、確実に、自分の大切な人の心を壊したケダモノ、その事に関して勝手なことを言う目の前の婆さんに対して、純粋な憎悪と殺意が湧いたはずなのに、それを響子のために抑え込んだのだろう。その忍耐力も、個人的には好印象だ。 理屈じゃないくらい、好きだからこそ、相手の強さと良さを信じる。 私も、こういう風に、他人を信じられる人間になりたいものだ。 また、そんな冬馬の言葉を受け、涙を拭い、笑顔で立ち上がった響子も、また、実に美しい。 壊されちゃった人が全員、こうやって強い訳じゃないのは解っちゃいるけど、この強さを皆が持てたら良いな、と思う。 「元に戻れなくても、響子は少しずつ、変わろうとしているように見える。あいつは強いと思います。いくらでも、応援しますよ。響子は僕の幼馴染ですから。それに、響子は、昔から転んでも、タダじゃ起きなかったですしね」(by冬馬)

Posted byブクログ