ポアロのクリスマス 新訳版 の商品レビュー
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同じくポアロものの『ハロウィーン・パーティ』が、まさしくハロウィーンの夜に読むべき妖しげな雰囲気でよかったので、ちょっと早いけどこちらの『ポアロのクリスマス』も。クリスマスらしさは期待しないほうがよかったか……でもミステリとしては大満足。まさかの結末が待っていた。 ★2人いると見せかけて3人いる スティーブン・ファーが実はシメオン・リーの私生児であることは、私のような読者にもすぐわかる。シメオンとその次男ハリーに似ている描写(大柄でハンサム)がこれでもかと出てくるからだ。ただ、私生児がもう一人いたとは予想できなかった。シメオンに似ている大柄ハンサムな男性は、実は2人と見せかけて3人いたのだ。これは、『壁のくぼみに置かれた彫像はふたつではなく三つかと思った』という事象でも暗示されているように思う。 ★怪しげな使用人はおとり お屋敷の大富豪が殺されるとき、使用人が犯人というパターンが多いのがクリスティ作品。本作でもホーベリーといういかにも胡散臭い使用人が出てくる。鉄壁のアリバイあり。いよいよ怪しい。 このホーベリーが動揺してコーヒーカップを割るなどするのと同じシーンで、真犯人が初登場する。ちょうど殺人を遂行して、部屋を出てきたところだ(というのは後で読み返してわかるわけだが)。でも私のような読者はホーベリーの挙動を観察するのに熱心で、さらっと紹介される犯人の描写には目が向かない。はっきりと「大柄でハンサム」と書いてあるのに。ホーベリーというおとりにまんまと引っかかってしまった。 ★嘘つきがたくさんいる 真犯人以外にも、保身のために嘘をついている人たちが4人いる。これが推理をややこしくしている。しかも彼らの嘘(断末魔の叫びが聞こえたとき、どこにいたか)は結局のところ犯行自体には関係がない。彼らの嘘を探っていると、真の犯行時間が1時間以上ずらされていたことになかなか気づけない。 ★イギリス人にとってクリスマスとは クリスマスはカトリックにとって1年で2番目に大切な日。クリスマス当日後も、エピファニー(1月6日)までクリスマスを祝う。 でもプロテスタントのイギリスでは翌日(12月26日、ボクシングデイ)にはさっさとツリーを仕舞って日常に戻る。クリスマス当日も、普段合わない家族が集まって多大なストレスがかかる……となんだかネガティブな描写。クリスマスって、イギリス人にとっては喜ばしいというより面倒くさいものなのかしら。 そういえば本書の冒頭も、イギリスを『なんて汚い国なんだ』と南アフリカから来たスティーブンがこき下ろす場面から始まる。これはクリスティ自身の本音なのではないか、この頃自分の国が嫌いになってアフリカに移りたがっていた?なんて勘ぐってしまう。
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血縁とは呪縛のようなもの。時には自らの手で断ち切らなくてはならない。そして、人生はその人の周りを見ればその結果がわかる……。 タイトルの可愛さとは裏腹に、描かれるのは「シメオン・リーという老人がその人生で積み重ねてきたものの総決算」である。舞台はクリスマスを迎えるゴーストン館だ...
血縁とは呪縛のようなもの。時には自らの手で断ち切らなくてはならない。そして、人生はその人の周りを見ればその結果がわかる……。 タイトルの可愛さとは裏腹に、描かれるのは「シメオン・リーという老人がその人生で積み重ねてきたものの総決算」である。舞台はクリスマスを迎えるゴーストン館だが、温かな暖炉や家族団らんとは無縁で、集まった家族達の間にはギスギスした空気が漂っている。 屋敷の当主シメオン・リーは、家族の弱点や不満をよく知り、彼らの感情を面白半分にかき回すような老人だ。そんな彼のもとへ、ばらばらに暮らしていた家族たちが呼び寄せられ、やがて血なまぐさい事件が起きる。 登場人物は多い。名前をずらりと並べられると、途端に誰が誰だか分からなくなりそうだったが、それぞれの性格と配偶者がはっきり書き分けられているため、混乱はすぐにおさまった。個性はその話し方にも表れており、「ああ、いるいる! こういう人!」という説得力がある。 特に女性たちが魅力的で、賢く気配りのできるリディア、芯のあるヒルダなど、彼女たちの存在が屋敷の空気を支えている。 面白いのは、誰もが怪しいのに、誰も本当に殺人までしそうには見えないところだ。恨み、金、虚勢、嫉妬、過去への執着。それぞれに動機らしきものはある。しかし彼らを見ていると、彼らの奥にある弱さや愛情、良心も見えてくる。誰もが嘘をついているのに、その嘘が必ずしも殺人に繋がっているわけではない。 私は性格分析に気を取られ、最後まで犯人が分からなかった。 ポアロの人物評はなかなか辛口だが、人の本質を暴き立てるだけではない。誰が何を恐れ、何に縛られ、どんな虚勢を張っているのか。家族それぞれの隠された性質や弱みが言語化されたことで、ゴーストン館の空気が少し変わった。 ラストは事件中、ずっと張り詰めていた皆の空気が緩んでいる。 アルフレッドとハリーも、すぐに打ち解けることはできずとも、時間をかければいずれ笑顔でハグを交わせる関係になれる気がする。また、嫌われ者のシメオン・リーにしても、家族の性格や人間性を見抜く鋭い目があればこそ、あのような挑発ができたのだろうと思うと、彼の存在の歪な複雑さも味わい深い。 楽しいクリスマスとはいかなかったが、事件が一つの区切りになって、皆が前向きに進めるようになった。皆が意地を張ったり争ったりするのをやめ、相手と自分の欠点を認めたからこそだろう。自分から弱みを晒すのは勇気が要るが、ポアロによって本質を言い当てられたからこそ、彼らは長年の意地や葛藤を手放せたのではないだろうか。これならきっと、来年のクリスマスは楽しく過ごせるはずだ。 事件後のアルフレッドとリディアの会話からは、彼ら本来の穏やかさと互いを思いやる気持ちが伝わってくる。まるで二人を包む温かな空気に触れるようで、こちらも思わず口元が緩んでしまう。 いつも凄いなーと思うのは、各個人に確固たる意思と性格や背景から来る動機があること。これが文章の羅列である小説をミステリーたらしめてるのかも。 あとがきによると、実験的な作品でもあるらしい。たしかに、今まで読んだポアロものとは少し空気が違う。トリックもオチも挑戦的で、読んでいる間ずっと「どうも何かいつもと違うぞ?」と疑問符を飛ばしていた。 ああでも、こうなってくると、時系列順にアガサ・クリスティーの作品を追っても良かったかな……という気になってくる。シリーズの変化が追えて面白いかもしれない。 「血なまぐさい事件を」という依頼で書かれた作品とのことだが、血が多いだけで描写自体がグロテスクなわけではない。家族の不和、人物描写、クリスマスへの皮肉、そして最後に空気が緩む瞬間を楽しむ屋敷ミステリーだった。
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面白かった! 付け髭や妻とのあいだでできた息子の話でおや?とは思ってたし、ファーさんはそうなんだろうなっていうのはわかっていたけど、最後のどんでん返しでなるほどな!お見事!となった。 このどんでん返し感はゴルフ場殺人事件の展開にも似てる気がする。結構好きなタイプだ。
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以下、個人的な推理。 ぐへぇえええ! やられた。明らかに怪しいのに。こういうパターンがいちばん悔しい。 推理としては、まず血と音が偽装であることは想像できる。そうだとするとどういうことか、というと被害者シメオン・リーこそが仕掛け人だったということ。 家族に対して何らかの動揺を誘うことが目的であったと考えられる。 しかしシメオンはリウマチ患っている老人なのであそこまでの破壊工作はできなかったんではという気がするので、おそらく協力者がいた。あらかじめその協力者に頼んで部屋をいいかんじに(静かに)壊してもらって、事件時には叫んで簡単に壊して血を撒き散らして死んだふり。 で発見されたあとは最後に残った者=協力者が静かに殺した。ピラルクが傷を見たと言っているがこれは庇っているだけ。家族の誰かが犯人。 で、この時点では動物の血とは考えず(この時代にクエン酸系の工作ができると思っていなかった)、インク系と予想。であればインク関係。四男が芸術家なのでこいつだな。母親の動機もあるし、アリバイはまぁなんとかなるんちゃうかな。蓄音機とか。と予想。 いやーやられた。完全にゴムのところ怪しかったのにスルーしてしまった。うまいよクリスティ。上から目線。
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面白かったー。でも人が多い! 皆んなが「リー」なので毎度名前が出てくるたびに登場人物リストを見ていた。 スティーヴン・ファーの正体は薄々分かった、けどシメオンじゃなくてハリーの子供かと思っていた笑 ピラールは予想外、でも確かに最初からずっと言っていたなと思い直す。 真犯人は、いやはやそっちかー。 トリックは後書き通り奇想天外かもしれないけど、見事に全ての情報が提示された状態での結末だったので、さすがクリスティだなと唸った。 「そして誰もいなくなった」レベルに予想を裏切られた作品。結構好きかも。登場人物は多すぎるけどな! 結末として、みんなそれなりに幸せになったみたいで良かったとも思える。 そして、ポアロよ。 私もきっと、セントラルヒーティング派。たぶん。
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流石はミステリの女王 今作は冒頭にある通りアガサ・クリスティが義兄から 「もっと血が大量に流れる元気で凶暴な殺人」が読みたいと言われて書いた作品です リクエストに答えて血がドバドバ流れる殺人事件が起こります それもクリスマスに しかも密室 トリック、犯人、登場人物どれをとっても唸...
流石はミステリの女王 今作は冒頭にある通りアガサ・クリスティが義兄から 「もっと血が大量に流れる元気で凶暴な殺人」が読みたいと言われて書いた作品です リクエストに答えて血がドバドバ流れる殺人事件が起こります それもクリスマスに しかも密室 トリック、犯人、登場人物どれをとっても唸ります
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思わず唸るポアロの推理! さすがとしか言いようがありません。 クリスマス前に読み始めたのに、年越してしまいました笑
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家族が集まる楽しいクリスマス そこで殺人事件が起き… クラシックな雰囲気がこのシーズンにピッタリでした そしてストーリー自体も古さを感じさせないおもしろさ どの作品もですが結末には驚かされました さすがアガサ・クリスティ
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ポアロシリーズ。 季節的にマッチしているかな、と思って手にとってみたけど…メリークリスマス!とは陽気に言えない血みどろな展開(汗) 登場人物も、こんなクリスマスは二度とごめんだ!って言っているしw 富豪の老当主シメオンは、クリスマスに一族を呼び寄せるが、この老当主が一癖も二癖も...
ポアロシリーズ。 季節的にマッチしているかな、と思って手にとってみたけど…メリークリスマス!とは陽気に言えない血みどろな展開(汗) 登場人物も、こんなクリスマスは二度とごめんだ!って言っているしw 富豪の老当主シメオンは、クリスマスに一族を呼び寄せるが、この老当主が一癖も二癖もある偏屈爺さんで、呼び寄せた人達に難癖つけて、彼らが憤慨している様子を見て愉しんでいる。ちょっと変わった老当主で、挙句に密室で殺されちゃう。 アクの強い老当主が被害者という設定が、前作の『死との約束』と共通している。本作はストーリー性への没入度は前作ほど高くなかったけど、一体誰が犯人なんだろう??っていう謎解きの展開は最後まで楽しめた。 本編前に、著者の義兄から『もっと血が大量に流れる元気で凶暴な殺人』を読みたいというリクエストから生まれた作品という紹介文が掲載されていた。リクエストに応えつつ、『血』というキーワードが単に殺人現場の様子だけでなく、登場人物たちの抗えない宿命をも匂わせているように感じた。
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クリスマスに集まった家族に怒る殺人事件が舞台。時期はクリスマスだけど、クリスマスっぽさは無い話だった。「マクベス」からの引用から幕が開いたり、『クリスマス・キャロル』を模したようなストーリー構造なのがお洒落で良い。犯人も(私には)予想外の人物で、ポアロの名推理を楽しめた。被害者が...
クリスマスに集まった家族に怒る殺人事件が舞台。時期はクリスマスだけど、クリスマスっぽさは無い話だった。「マクベス」からの引用から幕が開いたり、『クリスマス・キャロル』を模したようなストーリー構造なのがお洒落で良い。犯人も(私には)予想外の人物で、ポアロの名推理を楽しめた。被害者があまり同情できる人物でなかったからか、事件解決後に残された関係者達のハッピーエンドを匂わせるラストにホッとした
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