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新しい封建制がやってくる の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2024/09/01

企業の給与制度がどうあれ、結局この世界は能力主義と運の良し悪しが支配している。その下位ポジションになれば、這い上がるのは難しい。搾取される側からは簡単に逃れられず、一生働いて暮らす。 メリトクラシー。その世界観は、学歴のある上層労働者階級と共通する。CEOには理系の博士号取得者...

企業の給与制度がどうあれ、結局この世界は能力主義と運の良し悪しが支配している。その下位ポジションになれば、這い上がるのは難しい。搾取される側からは簡単に逃れられず、一生働いて暮らす。 メリトクラシー。その世界観は、学歴のある上層労働者階級と共通する。CEOには理系の博士号取得者が多く、テック企業の幹部45人を対象にしたある調査では、大半が工学、計算機科学、ビジネスなどの分野で一流大学の学位を取得していることがわかった。学位を持っていない一部の者も、エリート教育機関の中退者であった。「ソフトウェアはIQビジネスだ」とは、自らもハーバード大学の中退者であるビル・ゲイツの言葉。IQの高い人たちが生きやすい世界。そりゃそうだろう、野生にも弱肉強食のルールがあり、人間が野生生物より秀でる部分は知能なのだから、当然、人間の中でも知能の序列が弱肉強食の指標になる。 不動産封建制、デジタル封建制。知能が構造を作り出し、ルールの支配者となってプラットフォーマーになる。サービスを利用する側の人間は、ライフラインを握られる定めだ。 ー 寡頭支配層はいつか自分たちの繁栄の基盤を掘り崩すことになるかもしれない。寡頭支配層の多くは、古典的自由主義と資本主義的企業に敵対する基本的なアジェンダを持つ過な進歩主義者と手を組んでいる。これはフランス革命に至るまでの状況とよく似ている。トクヴィルが指摘しているように、当時、多くのフランス貴族は放蕩生活を送っていただけでなく、最終的には「自分たち貴族の権利や存在すら」も脅かすことになる議論を展開する著述家たちを支援していたのである。 これまで、進歩主義的左翼によって提唱された政策は、ほとんどが下流・中流階級の犠牲の上に成り立っていた。しかしながら、新しいタイプの進歩主義者はもっと大胆で、フランス革命のジャコバン派や1960年代後半の中国の文化大革命で暴れまわった紅衛兵のような存在になりつつある。将来、若い活動家は前の世代の環境保護運動家たちと同じように、寡頭支配層の貪欲に我慢できなくなるかもしれない。 大部分は労働者階級だ。しかし、資本家が強欲に任せるままにかき集めた資金と構造に対し、現状のルールで労働を提供し続ける必要はない。支配階層をターゲットとした預金封鎖ならぬ、1%の富裕者が用いる通貨を無効化させ、労働者同士で財を交換し、上層部を切り捨てる革命を思い描く事は可能だ。だが、それでも格差は繰り返すから、平和的な上澄み補正の実装を考えられたら良いのだが。

Posted byブクログ

2024/06/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

黒死病で死者が増えて、労働力不足から労働力の価値が高まり封建制が崩れた。 強い指導者が表れなければ、状況は変わらない。 現代の封建制は、有識者層、寡頭支配層(オリガルヒ)、土地持ち中流階級、労働者階級、プレカリアート。 若年層のほうが自由主義的資本主義への支持が弱い。 プロレタリアの施し袋=大衆の反乱を防ぐ目的。 東アジアの人口減少が激しい。 大量失業よりもギグエコノミーに就くことで失業は隠される。 香港では女性の2/3が子どもは1人またはいらない、と考えている。 「優生学は食卓にいる幽霊だ」グリーリ。 寡頭制の鉄則=ロベルトミヘルス

Posted byブクログ

2024/05/06

新しい都市形態はできるだけ大学時代の経験に近い生活いわば青年期の延長を再現するものとなる。まさに10年以上経ってもこんな感じの人ばっかりな気がする。面白かった。アメリカも日本もヨーロッパも先進国どこも同じだな。日本が一番良いかも。アジアのスイスのような国になれればいいけど。

Posted byブクログ

2024/03/28

有識者と呼ばれるアカデミックなエリート層と、テック企業を中心とする一部の上位の「新しい貴族」となった富裕層と、「新しい農奴、奴隷」となったその他大勢との溝は、経済格差や人種差別、LGBTQ、クリーンエネルギー、教育、少子化など、様々な問題が顕在化すればするほど、さらに大きくそして...

有識者と呼ばれるアカデミックなエリート層と、テック企業を中心とする一部の上位の「新しい貴族」となった富裕層と、「新しい農奴、奴隷」となったその他大勢との溝は、経済格差や人種差別、LGBTQ、クリーンエネルギー、教育、少子化など、様々な問題が顕在化すればするほど、さらに大きくそして深くなっていく。 そして民主主義勢力の大きな脅威となって台頭してきた、中国やロシアなどの権威主義的な国家。 「封建制」という言葉の、新たな認識を突き付けられたような一冊。

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2024/01/07

本書は新しい封建制がやって来ると言うが、古い封建制と、「新しい」封建制とは、それぞれ、土地から利益を上げる仕組み、情報から利益を上げる仕組み、との違いがあり、それらの違いと類似点を見極めることが重要だと思う。

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2024/01/03

20231225-20240103 マイケル・リンドの「新しい階級闘争」に続けて夫から借りて読む。著者は最初に「新しい封建制」を「今日脱工業化経済の本で、富が少数者の手に集中する傾向がますます強まっている」アメリカその他の先進国で出現しつつある「新しい形の貴族制」であると規定して...

20231225-20240103 マイケル・リンドの「新しい階級闘争」に続けて夫から借りて読む。著者は最初に「新しい封建制」を「今日脱工業化経済の本で、富が少数者の手に集中する傾向がますます強まっている」アメリカその他の先進国で出現しつつある「新しい形の貴族制」であると規定している。以下の章では、歴史的な経緯を踏まえて、現在のグローバル経済下で、ごく少数の勝ち組(多くはIT経営者など)を除いて中流階級以下の大多数の人々が苦境に追いやられている、という現実を延々と事例を引いて紹介している。最終章では、何やらフランス革命前夜のような雰囲気を漂わせている。我々は”第三身分”なのだろうか?私が特にニヤッとしたのは”環境保護”に熱心なセレブが自家用ジェットを手放さないこと。エリートリベラルの独りよがりの押しつけはそうでない大多数の人々の生活のレベルを押し下げる方向に働くことが多いことも、そうだよなあ、と思った。 あと、歴史を学ぶことは本当に大事だなと改めて思った。

Posted byブクログ

2023/12/07

新しい階級闘争と一緒に東洋経済で解説されていたので、入手。新しい階級闘争と結構被っているが、あっちは欧米、こっちは日本含めたアジアにも言及している。新自由主義とリベラルが結びついて「意識高い」(意識高い系ではない)層が、経済的、政治的、文化的に正論はいいことだを振りかざして来る有...

新しい階級闘争と一緒に東洋経済で解説されていたので、入手。新しい階級闘争と結構被っているが、あっちは欧米、こっちは日本含めたアジアにも言及している。新自由主義とリベラルが結びついて「意識高い」(意識高い系ではない)層が、経済的、政治的、文化的に正論はいいことだを振りかざして来る有様が解説されている。こんな本を読んでいる時点で筆者も「意識高い系」に分類されちゃうのかもしれないが、それでも昨今抱いている違和感(LGBTqとかグリーンディールの欺瞞とかパレスチナ問題に対するアメリカの態度とか)に対して、明確に文字化してくれている。

Posted byブクログ