肉を脱ぐ の商品レビュー
読み始めて1ページ目に出てくる「生きている感じがした。その感じにうんざりする。」という一文に何か、グサッときた。 体を持たされることへの嫌悪感、生まれた瞬間から身体に押し付けられた途方もない重さ、決して釣り合わない快と不快、存在するだけで絶えず様々な奉仕を要求してくる身体の底知れ...
読み始めて1ページ目に出てくる「生きている感じがした。その感じにうんざりする。」という一文に何か、グサッときた。 体を持たされることへの嫌悪感、生まれた瞬間から身体に押し付けられた途方もない重さ、決して釣り合わない快と不快、存在するだけで絶えず様々な奉仕を要求してくる身体の底知れない貪欲さ、という現物の感覚はわかるような気がして… その感覚が引き起こす、関わりのある人間への普通に表に出す感情と、裏の感情の描写。とても興味深く、あっという間に読めた。(が、その文字面を咀嚼するために、引き返して何度か読み直したりしながら)
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凄い...。言葉・身体・存在・行動。それに向けられる悪意。それと葛藤する"人間"を抉る物語でした。ある場面では現実の差別が我が事のように悔しくて涙が出た。ある場面では言葉・身体・存在(例えばSNSアカウントも存在の一つ)・行動への希望を得た。 自分も身体への...
凄い...。言葉・身体・存在・行動。それに向けられる悪意。それと葛藤する"人間"を抉る物語でした。ある場面では現実の差別が我が事のように悔しくて涙が出た。ある場面では言葉・身体・存在(例えばSNSアカウントも存在の一つ)・行動への希望を得た。 自分も身体への違和感や苦痛は子どもの頃から持っているけれど、それとは別に、性暴力に遭って以来後遺症でどんどん身体がままならなくなり、本もゆっくりしか読めなくなってしまった、そんなままならない身体の今ゆっくりでもこの本を読み終えることができて良かった。 ラストに向かう描写の悲哀というか皮肉というか、表現が正しいか解らないが"自分が成仏する"ような感覚を得た。主人公が"言葉の重み"を獲得するに至る場面に震えた。李琴峰さんの小説はどんどん凄い場所に昇っていく(語彙力がなくてすみません)。出会えて良かったし、ぜひ読んでほしい作家さんです。 個人的な身体感覚を一つ話すと、私は心に刺さる小説を読むと生きていることへの確信を得たように身体が内側から震え出して、地面から浮き上がるように魂が軽くなるのを感じる。どんな時も本は光。素敵な小説を読ませてくれてありがとうございます。
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柳佳夜は会社では佐藤慶子と名乗り、勤めの傍ら 小説を書いている.会社には同性愛者の優香、男の社員で福島亮太らがいる.小説家としてのライバルは山下菜摘(川上冬華)でかなり売れている.慶子はエゴサで自分の名前を他人が語っているのを知り、密かにその人物の特定を試みる.その過程が本書の中...
柳佳夜は会社では佐藤慶子と名乗り、勤めの傍ら 小説を書いている.会社には同性愛者の優香、男の社員で福島亮太らがいる.小説家としてのライバルは山下菜摘(川上冬華)でかなり売れている.慶子はエゴサで自分の名前を他人が語っているのを知り、密かにその人物の特定を試みる.その過程が本書の中で最も楽しめた部分だ.中国系の小池嘉美がその張本人だと判明し、二人がやり取りする場面が面白かった.あまり公表されない小説家の実態が描写されているのが良かった.作者は台湾生まれだが、日本語を駆使できる能力は素晴らしいと感じた.
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24.肉を脱ぐ エゴサの先には何もないどころか、とって変わられた自分がいた 肉体に支配されたくない 見た目やジェンダーでない ただこの心だけ、精神だけで生きたい そんな彼女の気持ちが…わかる気もするけれど それこそが最後の狂気へと向かわせる
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肉体に支配される精神。物事の見方がそうなってしまうと生きづらいだろうなと思いながらページを捲っていた。 主人公は生身の自身を嫌悪し、精神だけの存在である「柳佳夜」というペンネームに縋って生きてきた。小説、会社、自身の性、すべてがままならない状態の中、「柳佳夜」という同姓同名のVTuberの存在を知る。Twitterにおいて、自分の存在を塗りつぶされて消されていく恐怖に襲われた主人公はVTuberの正体を探り始める。 内容をまとめるとこんな感じなのだが、言葉では表せないぐらいの重苦しさと嫌悪感に囚われながら読み終えた。肉体と精神を分離しなければ耐えられないほどの現実を送りながら、人を蔑み高みから見下ろしているかのようなスタイル。昨今の、SNSの影響で自己顕示欲に押しつぶされそうになっている若者を究極形を主人公に見た気がした。
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肉体から受ける制約と葛藤する主人公。 丁寧な筆致は作者らしいけど、少し息苦しい。ラストは安部公房みたいで迫力あったけど。
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我々の生活はカラダに支配されていると言われれば、確かにそうであるなぁと納得。 そう言われて、改めて振り返ってみると、私も自分の肉体に、愛おしさを感じたことは1度もないので、これからはもう少し愛を持って接してやるべきなのかもとも思った。 題材としては、面白いなぁと思う。 これから...
我々の生活はカラダに支配されていると言われれば、確かにそうであるなぁと納得。 そう言われて、改めて振り返ってみると、私も自分の肉体に、愛おしさを感じたことは1度もないので、これからはもう少し愛を持って接してやるべきなのかもとも思った。 題材としては、面白いなぁと思う。 これから注目したい作家さんだ。
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“身体”を疎ましく思う女性が主人公。彼女はツテを頼りに持ち込みでデビューした兼業作家だが、2作目が編集者に認められず苦しんでいる。そんなとき、エゴサーチで自分の筆名と同じYouTuberが注目を集めていることを知り……。 自分の身体に対する疑問、不信を突き詰めるとこうなるだろうと...
“身体”を疎ましく思う女性が主人公。彼女はツテを頼りに持ち込みでデビューした兼業作家だが、2作目が編集者に認められず苦しんでいる。そんなとき、エゴサーチで自分の筆名と同じYouTuberが注目を集めていることを知り……。 自分の身体に対する疑問、不信を突き詰めるとこうなるだろうという小説だった。精神の容れ物であるとしても、身体を生かすためには様々な要求に応えなければならないという矛盾や、女性であることの不合理がこれでもかと詰め込まれている。会社という組織の中でも彼女は異端だ。 ラストシーンは非現実的だが受け入れられた。
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自分の身体はただの肉体でしかなくて。心が思うように動いてくれるものではなく、栄養を欲して、人間の温もりを欲して、自分の意識を縛る鎖のようなものだと気付かされた。前から人間という生き物の不自由さや面倒くささには気づいていたけれど、それを言語化したうえでさらに、人同士の身体の違いにつ...
自分の身体はただの肉体でしかなくて。心が思うように動いてくれるものではなく、栄養を欲して、人間の温もりを欲して、自分の意識を縛る鎖のようなものだと気付かされた。前から人間という生き物の不自由さや面倒くささには気づいていたけれど、それを言語化したうえでさらに、人同士の身体の違いについて考えされられた小説だった。 人間が「体をもつ」ことの意味を突きつけられた。 読みやすかったしすごく考えてされられて面白かった。
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ラストのどんどん肉を剥ぎ落としていく行為、リアルに表現されていて、ほかの作品も同様の表現だったら犯罪者の心理的描写や異常者の作品があったとしたら気が狂いそう。 内容も自分の身体の全てがいらない、お腹が空くのも排泄も身体のサイクル全てを拒否したい考えを持っているのに同名のYouTubeの存在を執念深く調べあげあり、自分の小説をエゴサして気にしたりと思考は固執している。会社で浮く事なく普通に働いている人間の内面は違うとゾワッとするそれでいて嫌悪感なく拒否反応も出ずに読めてしまったのは不思議。
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