ブラックバードの歌 の商品レビュー
世界中に満ちている音楽を聴きとることができ、フルートを奏でることを生きがいとしていたアニーだったが、事故で指をけがしてしまう。アニーは、失望、苛立ち、恐れ、諦めを抱きながら毎日を送り、心はすさみ、母にも冷たく接してしまう。そんなある日、アニーは藪が生い茂る空き地でノアに出会う。ノ...
世界中に満ちている音楽を聴きとることができ、フルートを奏でることを生きがいとしていたアニーだったが、事故で指をけがしてしまう。アニーは、失望、苛立ち、恐れ、諦めを抱きながら毎日を送り、心はすさみ、母にも冷たく接してしまう。そんなある日、アニーは藪が生い茂る空き地でノアに出会う。ノアは卵を暖めているクロウタドリ(ブラックバード)を世話し、見守っていた。クロウタドリが奏でる鳴き声に魅せられるうち、アニーは自分の中にある音楽への思いを取り戻していく。 「わたしたちはどちらも、もう一度、音楽を見つけなければいけなかったんだ。それは怒りと痛み、悲しみにおおわれて、一度はかくれてしまっていたけれど、わたしたちはとりもどした。もう手ばなさない。 これこそが魔法だ。」 自分の大切なものを失ってしまったときに抱く怒りや悲しみの深さ。誰かにあたってしまう気持ち。それでも前に進もうとする勇気。前に進むために必要な出会い、そして愛情が描かれている。 短い物語だが、アニーの繊細な感情が丁寧に味わい深い言葉で描かれているし、ノアやお母さんとの気持ちのぶつかりや結びつきを豊かに感じることができる。 「いつだって、やろうとしない方が楽だよね」というノアの言葉がずしりと響いた。
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アニーは自動車事故で腕を怪我し、片手が上手く動かなくなってしまった。大好きなフルートを吹けなくなり、リハビリにもやる気が出ず、何もかも投げやりになってしまう。引っ越し先で鬱々と過ごしていると、窓から見える公園の奥に誰かがかがみ込んでいるのが見えた。茂みの中から出てきた少年ノアは、...
アニーは自動車事故で腕を怪我し、片手が上手く動かなくなってしまった。大好きなフルートを吹けなくなり、リハビリにもやる気が出ず、何もかも投げやりになってしまう。引っ越し先で鬱々と過ごしていると、窓から見える公園の奥に誰かがかがみ込んでいるのが見えた。茂みの中から出てきた少年ノアは、アニーに美しい歌を歌うブラックバードを見せてくれる。歌に魅入られて毎日茂みに通うアニーだったが、何かに襲われてブラックバードは歌わなくなってしまう。アニーとノアは、それでも懸命にブラックバードの世話をする。 自然と音楽、そしてアニーの心の変化の描写がとても美しい作品。さすがカチャ・ベーレンだと思いました。自分を支えるほど大好きなものを失ったアニーのショックと虚ろな気分は読んでいて痛々しかったです。また、ノアの「いつだって、やろうとしないほうが楽だよね」というセリフにはっとさせられました。夢を追うのも、努力するのも、何だってやらないほうが楽。でもやらないと手に入らなかったり失ってしまったりするものもある。やらない理由を探すのが得意になってしまうと、何も手に入らなくなってしまいます。 哀しいブラックバードと傷付いたアニーが心を通わせていくシーンがとても美しく、シンフォニーを聴いてみたいと思いました。
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挿絵多くて文字少な目なので、あまり読書しない子どもにも読みやすいだろう。 なんだか既視感のある物語展開だなと思ったら「コーダ あいのうた」に似てると気づいた。
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4年から。アニーは、事故でフルートが弾けなくなり絶望の中にいた。引越し先から見えた茂みの中に隠れる男の子のもとを訪ねると、つがいのブラックバードが卵を育てていて…。 落ち着いた文体で表現された描写がとても綺麗。アニーや男の子の間や、音楽、空気感を感じられ、惹きつけられる。児童が普...
4年から。アニーは、事故でフルートが弾けなくなり絶望の中にいた。引越し先から見えた茂みの中に隠れる男の子のもとを訪ねると、つがいのブラックバードが卵を育てていて…。 落ち着いた文体で表現された描写がとても綺麗。アニーや男の子の間や、音楽、空気感を感じられ、惹きつけられる。児童が普段触れない落ち着いた文体には、このくらいの長さが丁度良い。
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不慮の事故で音楽の夢を閉ざされ、 傷ついた少女が、少年やブラックバード との絆を通して、怪我を乗り越え、 希望を見出す再生の物語。 お話のあらゆるところに音楽や色の描写が 溢れていて、音を感じながら読んだ。 女の子心理描写がとても丁寧に描かれていて、 心が弱っている時の気持ち...
不慮の事故で音楽の夢を閉ざされ、 傷ついた少女が、少年やブラックバード との絆を通して、怪我を乗り越え、 希望を見出す再生の物語。 お話のあらゆるところに音楽や色の描写が 溢れていて、音を感じながら読んだ。 女の子心理描写がとても丁寧に描かれていて、 心が弱っている時の気持ちが痛い程わかる。 ブラックバードは、カラスではなく クロウタドリ。黒い身体に口ばしが オレンジで可愛らしい。日本では、 あまり馴染みのない鳥だが、旅鳥で 冬にやってきて、美声らしい。 ブラックバード繋がりで、 ビートルズの『Black bird』を聴いた。 お話しとは無関係だが 希望を見出す世界観とメロディが、 マッチしていて、優しい気持ちになった。
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令和6年読書感想画高学年の指定図書。 母の運転する車に乗っていた時に事故に遭い、音楽学校への進学や演奏を諦めた少女が心の傷を乗り越えるお話。 高学年向けだけど、文章の量が少ない。説明っぽくなく最低限の文章で想像させる。 最後に母と和解ができてよかった。
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音楽を聴いているように美しい調べの本でした。自然を楽器で表現するかのような。 ブラックバードの歌声を私も聴きたくなりました。
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短い物語なのに、とても深く心に残る。 それは主人公アニーの心の動きを丁寧に描いているからだろう。 大好きなフルートで音楽学校への入学を夢見ていたアニー。 しかし母親が起こした不慮の事故で大切な指がうまく動かなくなってしまう。 リハビリをすればまた演奏できるようになるといわれたが...
短い物語なのに、とても深く心に残る。 それは主人公アニーの心の動きを丁寧に描いているからだろう。 大好きなフルートで音楽学校への入学を夢見ていたアニー。 しかし母親が起こした不慮の事故で大切な指がうまく動かなくなってしまう。 リハビリをすればまた演奏できるようになるといわれたが、心が折れてしまい、引っ越し先の古いアパートに引きこもって窓から外を眺めるばかり。 その窓から見えた公園で、アニーの心を動かす少年とブラックバードとの出会いが待っていた...。 事故を起こしてしまったのが母親というのが、アニーの心の持って行き場をなくしてしまう要因となったのだろう。 責めるに責められず、前向きにもなれない。 そんな時に出会ったノアは天真爛漫な少年で彼の母も包むような優しさがあり、アニーの心は次第にほぐれていく。 大人が読んでも心打たれる小説だった。
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とても短いけれど、少女の心情がていねいにえがかれた佳作。 アニーは、母さんが運転する車で事故に遭い、指が思うように動かなくなってしまった。色を見るように音を見ることができて、フルートをかなでることにすべてをかけていたのに、音楽学校への願書提出を目前にして、夢が絶たれてしまったのだ...
とても短いけれど、少女の心情がていねいにえがかれた佳作。 アニーは、母さんが運転する車で事故に遭い、指が思うように動かなくなってしまった。色を見るように音を見ることができて、フルートをかなでることにすべてをかけていたのに、音楽学校への願書提出を目前にして、夢が絶たれてしまったのだ。 絶望で投げやりになり、リハビリもやろうとしないアニー。そんななかアパートから見おろせる公園で、やぶのなかに頭をつっこんでいるふしぎな少年と知りあった。その少年、ノアは、美しい声で歌をうたうブラックバードのつがいを見まもっていた……。 『わたしの名前はオクトーバー』に通じる、自然への大きな信頼が描かれている。鳥の声に心をひかれたアニーは、しだいにケガのことを意識せず、毎日やぶにもぐりこんで鳥の面倒を見るようになる。そんななか、起きる事件。そしてノアとのすれちがい。そうしたできごとが自然に描かれていて、わたしは「オクトーバー」より好きだった。 ノアや母さんの、辛抱強い待ちの姿勢も印象的。それはカチャ・ベーレンの2作に共通するもので、深い傷を負った人に寄りそう上での、著者の信念のようなものを感じる。
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