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ブラックバードの歌 の商品レビュー

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2024/08/27

短い物語なのに、とても深く心に残る。 それは主人公アニーの心の動きを丁寧に描いているからだろう。 大好きなフルートで音楽学校への入学を夢見ていたアニー。 しかし母親が起こした不慮の事故で大切な指がうまく動かなくなってしまう。 リハビリをすればまた演奏できるようになるといわれたが...

短い物語なのに、とても深く心に残る。 それは主人公アニーの心の動きを丁寧に描いているからだろう。 大好きなフルートで音楽学校への入学を夢見ていたアニー。 しかし母親が起こした不慮の事故で大切な指がうまく動かなくなってしまう。 リハビリをすればまた演奏できるようになるといわれたが、心が折れてしまい、引っ越し先の古いアパートに引きこもって窓から外を眺めるばかり。 その窓から見えた公園で、アニーの心を動かす少年とブラックバードとの出会いが待っていた...。 事故を起こしてしまったのが母親というのが、アニーの心の持って行き場をなくしてしまう要因となったのだろう。 責めるに責められず、前向きにもなれない。 そんな時に出会ったノアは天真爛漫な少年で彼の母も包むような優しさがあり、アニーの心は次第にほぐれていく。 大人が読んでも心打たれる小説だった。

Posted byブクログ

2024/03/04

とても短いけれど、少女の心情がていねいにえがかれた佳作。 アニーは、母さんが運転する車で事故に遭い、指が思うように動かなくなってしまった。色を見るように音を見ることができて、フルートをかなでることにすべてをかけていたのに、音楽学校への願書提出を目前にして、夢が絶たれてしまったのだ...

とても短いけれど、少女の心情がていねいにえがかれた佳作。 アニーは、母さんが運転する車で事故に遭い、指が思うように動かなくなってしまった。色を見るように音を見ることができて、フルートをかなでることにすべてをかけていたのに、音楽学校への願書提出を目前にして、夢が絶たれてしまったのだ。 絶望で投げやりになり、リハビリもやろうとしないアニー。そんななかアパートから見おろせる公園で、やぶのなかに頭をつっこんでいるふしぎな少年と知りあった。その少年、ノアは、美しい声で歌をうたうブラックバードのつがいを見まもっていた……。 『わたしの名前はオクトーバー』に通じる、自然への大きな信頼が描かれている。鳥の声に心をひかれたアニーは、しだいにケガのことを意識せず、毎日やぶにもぐりこんで鳥の面倒を見るようになる。そんななか、起きる事件。そしてノアとのすれちがい。そうしたできごとが自然に描かれていて、わたしは「オクトーバー」より好きだった。 ノアや母さんの、辛抱強い待ちの姿勢も印象的。それはカチャ・ベーレンの2作に共通するもので、深い傷を負った人に寄りそう上での、著者の信念のようなものを感じる。

Posted byブクログ