宙わたる教室 の商品レビュー
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とてもよかったー またいい本に出会えました(^^) 科学は全くわからない私でも 楽しく読めました 様々な事情を抱え定時制高校に通う生徒たち。 藤竹という教師と出会い 科学部を始めるうちに変わっていきます 藤竹が熱血教師という感じではないのがいいです 生徒も個性豊かで 抱えてる事情を知ると応援したくなります 教師だけの力ではなくて 周りのクラスメイトの影響や 実験の成功体験などで どんどん変化していく様子が面白いです 実験も興味深かったですが 人間模様にもきちんとフォーカスされていたので 科学が苦手な私でも楽しく読めたんだと思います 読み進めるうちに 藤竹の熱い思いも明らかになり、 実験発表あたりの生徒たちの成長ぶりには 胸が熱くなりました どんな環境の人でも関係なく 学ぶ楽しさを感じてる人が 好奇心のまま学ぶっていうのは 実は難しいんだなと読んでいて思いました それだけに藤竹の思い、 それを受けた生徒の様子に涙が出ました とてもいい読了感でした(^^)
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色々な事情を抱える定時制高校生達の、彼らが想像もしていなかった事へ真剣に取り組む姿に、大きな純粋さが感じられて良かったです。
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私自身通っていた学校が定時制のある学校で、物がなくなったり、墨汁を荷物にかけられていたり、事件があったためいい印象を持っていなかったが、この本を読むことでイメージが変わった。 学習障害や、言語の壁、対人関係での心の傷など様々な問題を抱えているのは全日制も定時制も変わらない。本書にある通り、今はSNSの発展に伴い、他人と自分の境目が曖昧になり、「なんでわたしばっかり」と悲嘆的に自分を見てしまうケースは多いだろう。 「自動的にはわからない」作中で教師が生徒に投げかける言葉だ。 ノートをきれいに取ることに一生懸命だが、その知識を実践的に使うことができない生徒は多い。話はちゃんと聞いているのに、私には無理だ。とあきらめるのは早いだろう。個人差はあるだろうが、知識は自分で使って初めて理解だ。これを生徒に理解してもらうのは難しい。 教室といういくらでも失敗できる場所で、学習面でも人間関係でも、たくさん躓いてそのたびに立ち上がるこで「自動的にはわからない」社会での生き方を学ぶことができるのだろう。
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「オポチュニティの轍」で泣きそうになった。 ロボットのようなものに異様に感情移入する自分を再認識した。
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都立東新宿高校定時制を舞台にした8篇からなる連作長篇。 最初の4篇は主人公が1人ずつ変わり、よくありがちな苦労話が綴られていく。つまらなくはないけれど、「ふーん、そうなんだ」で終わってしまい、先行きが不安になる。 この4人を結びつけるのが(3人の)担任である藤竹で、彼らを部員にし...
都立東新宿高校定時制を舞台にした8篇からなる連作長篇。 最初の4篇は主人公が1人ずつ変わり、よくありがちな苦労話が綴られていく。つまらなくはないけれど、「ふーん、そうなんだ」で終わってしまい、先行きが不安になる。 この4人を結びつけるのが(3人の)担任である藤竹で、彼らを部員にして科学部を創設する。さあ、ここからが伊与原さんの腕の見せ所である。 後半は様々な障害を克服し、周囲の人達をも巻き込みながら目標を達成するまでが描かれていく“胸熱”小説だ。 あとがきによれば小説のモデルがあったそうで、それにも驚かされた。
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宇宙への浪漫、そして人間の可能性を強く感じることが出来ました。 伊予原さんは難しい科学のお話をわかりやすく書いてくださるのでとても読みやすいです。更にこのお話は年齢も境遇もバラバラな生徒たちが集まる定時制高校が舞台というのも目を引く所です。 定時制高校に通学する理由は様々。す...
宇宙への浪漫、そして人間の可能性を強く感じることが出来ました。 伊予原さんは難しい科学のお話をわかりやすく書いてくださるのでとても読みやすいです。更にこのお話は年齢も境遇もバラバラな生徒たちが集まる定時制高校が舞台というのも目を引く所です。 定時制高校に通学する理由は様々。すぐに退学してしまう生徒が多い中、抱えている問題に打ち勝ち、学ぶことを諦めない科学部の生徒たちに胸が熱くなります。勿論藤竹先生の存在も大きいですね。 そしてNASAの火星探査車オポチュニティの話にとても感動。長い期間ミッションお疲れ様でした。
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伊与原さんの小説は3作目で毎回小説×化学の知識を得る楽しさを感じていた。 定時制高校に通う、年齢も考えも異なる人物たちが担任の先生と化学部の実験にいどむ話。それぞれキャラ立ちしていて各章の人物目線が楽しく読める。 今回は化学知識ももちろんのこと、定時制高校に通うことになった人物た...
伊与原さんの小説は3作目で毎回小説×化学の知識を得る楽しさを感じていた。 定時制高校に通う、年齢も考えも異なる人物たちが担任の先生と化学部の実験にいどむ話。それぞれキャラ立ちしていて各章の人物目線が楽しく読める。 今回は化学知識ももちろんのこと、定時制高校に通うことになった人物たちのバックボーンにも深みがあって、小説としておもしろかった。学ぶことを辞めたら年寄りか〜。「学ぶことを辞めたら年寄りだ。二十代でも八十代でも。」自分もまた学ぶことを、辞めたら成長しない職業に就いているので心にきました。
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文春なんだから次の直木賞これでいいじゃん、と思うけど、毎度ながら、年寄りには判らない、ってことになるのかな。
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定時制高校(夜間高校)で夜な夜な行われる、科学部による実験。 科学に目覚めた青年や料理店のおばちゃんなど年齢も凸凹の部員が織りなす成長と青春を描いた物語です。 科学はエリートや優等生のものなのか? 本作品を読んでいて、是非、今の進路を悩める高校生に読んでほしいなと思...
定時制高校(夜間高校)で夜な夜な行われる、科学部による実験。 科学に目覚めた青年や料理店のおばちゃんなど年齢も凸凹の部員が織りなす成長と青春を描いた物語です。 科学はエリートや優等生のものなのか? 本作品を読んでいて、是非、今の進路を悩める高校生に読んでほしいなと思いました。 いろんなことで挫折するし、いろんな理由で普通に高校生活を送りたかった、あるいは高校で学びたかった人が学べないなど、高校に行けない人もいる。 「親ガチャ」とか生まれた時からの差がとかいろいろ言われる今の時代、何が1番不幸なのか。 私は 「打ち込めるものや熱中できるものがない」 ということ。 これが、貧しくもなく、ハンデももっていない人にとって1番不幸なんじゃないかと思います。 作中のご年輩の方々が一生懸命生きた時代は、大体の人が貧しくて、集団就職して、家のために働いていた人たちばかりだったということを知ってはいても想像したことがなかった私は、確かに家族のために仕事を頑張ろうと思っていても、下の兄弟を学校に行かせるため、親を食べさせるための生活なんてしたことはないです。 そんな時代からすると凄い贅沢な暮らしをしているし、義務でもないのに、高校や大学は当たり前のように進学する。 でも、やりたいことはない。そんな不幸なことはないかなと感じました。 その代わり、集団就職をしていた世代からすると、不登校になったりなど、社会に出る前から傷つく子供も多いというのも事実。 ただ、何がきっかけになるかはわからないですが、そういった子達もリカバリーのチャンスはどこかに潜んでいる。 辛さもあり、温かさもある。そんな青春小説だなと思いました。 そして、本当ならば興味を持ったことはいつはじめても良いはずなのですが、学問に関しては厳しい現実も実は描かれている作品です。 なぜなら、本作で書かれていた科学はエリートや優等生のものなのか?という問いは実は日本の学問界隈全てに当てはまることだと言っても過言ではないからです。 私の専攻していた分野も、大体は東京の有名大学が中心、地方も旧帝大が中心ですし、名前の聞いたことのない大学が出ても、出身大学や誰々の弟子っていうのは有名なところしかいかないのが現状です。 面白い学説を提唱しても、どこぞの有名大学の教授が認めない限りは議論すらならない。 そんなことが日本では昔から続いています。 そういう厳しいこともありつつ、でも、本作の登場人物が乗り越えられないかもしれない壁かもしれませんが、乗り越えてほしいなと応援したくなります。 そして、今の学校生活を楽しくないと思っている学生や進路に悩んでいる学生は本作品に触れて、自分自身と向き合ってほしいなと思う、そんな作品だなと思いました。 学校には何でもあるんだよ?やる気になれば宇宙や火星も作れる。 あなたのやりたいことはわかりませんが、失敗してもその失敗を楽しめることは間違いなくあなたの好きなことです。
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それぞれ秘めた事情があって、たまたま同じ定時制高校に通う生徒たちが主人公の物語。 皆どこか負い目を感じて生きてきたが、科学コンテストでの発表を目指す実験に参加することで、自分の役割を見つけ一歩も二歩も成長する。 物語が進むごとに柳田岳人、越川アンジェラ、名取佳純、長嶺省造、丹羽要...
それぞれ秘めた事情があって、たまたま同じ定時制高校に通う生徒たちが主人公の物語。 皆どこか負い目を感じて生きてきたが、科学コンテストでの発表を目指す実験に参加することで、自分の役割を見つけ一歩も二歩も成長する。 物語が進むごとに柳田岳人、越川アンジェラ、名取佳純、長嶺省造、丹羽要、と実験参加者が増えるのだが、皆感情移入がし易いキャラだった。 私が通った高校にも定時制があったが、妻も息子も定時制がある高校だった。 とは言え、定時制に通う生徒と接触する機会はなく、「昼間は働いているんだ。たいへんだな。」と思うだけで特に気にしたことはない。 昔から定時制と並んで、通信制もあったが実態は知らない。 今はインターネットが発達しオンラインで授業動画が観れたりするので、自分が高校生の時とは随分変わっているのだろうと思う。 この物語のように他の生徒と一緒に実験したり、スポーツをするなら定時制ですね。 読んでいて、自分も実験に参加したくなりました。 学生時代の"実験→結果考察→実験装置改良→実験"に明け暮れていた日々のことも思い出しました。 私の場合、結局「この方法だと満足な成果は得られない。」というダメな例を幾つか示すことになっただけでしたが、、、 ダメな理由を考えて、どうしたら問題を解決できるかアイデアをひねり出し、何度も試してみるのが楽しかった。 伊与原新さんの小説は、科学の知識が得られるだけでなく科学の楽しさが感じられるのがいい。 これで4作品目になるが、この作品が一番良かったかな。 最後は熱いものが込み上げてきました。
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