小さな町 の商品レビュー

ソン・ボミ(著者),橋本智保(訳者)

2024/02/09

タイトルの「小さな町」は主人公の「私」が幼い頃に住んでいたところ。彼女は大人になり結婚してソウルに住んでいる。夫との関係は冷えている。芸能プロダクションで働く夫が毎日せっせとスクラップしているノートをこっそり見るのが私の日課。そこで見つけた北朝鮮のスパイ容疑で冤罪だったにも関わらず20年も服役した男の記事がなぜか頭から離れない。
あるとき落ちぶれた女優が突然姿を消したことを契機に私は「消えていた」幼い頃の過去について回想していくことに。
異常とも思える程、過保護だった母親と、私たちの前から何も言わずに去っていった父親。過去の真相を確かめたいと思うが、母親は癌で亡くなってしまう。
幼い頃の「私」の記憶と大人の「私」の今の話がとりとめなく交差しながら延々と続いていく上に、スパイとか冤罪とか、獄中死とか火事とか失踪とか家出とか自殺とか、犬を飼うとか飼わないとか脈絡のない話が次々と出てきて読みながらモヤモヤしたし、混乱した。まるで暗くてジメジメした韓国ドラマを見てるような気分に。
そして最後に父親から明かされたのは「私」の出生についての驚愕の真実。
「私」はこの真実を受け入れ、これからどんなふうに生きていくんだろうか。
夫との関係はどうなるのか。
どうか幸せに穏やかに生きて欲しい。

2024/01/21

韓国の事が少し知れるかなっと思って手に取り読みました。予想通り韓国の過去の事がわかる物語で満足しました。
北朝鮮との関係、拉致問題・スパイ等々、厳しい時代だったんだなぁと考えさせてくれる内容でした。人生は自分の力ではどうにもならない事も起きる、外的な要因も大いにあるなと。
物語の内容は、少女期と大人になってからの二部構成で行ったり来たりしますが、ここが繋がるのかっと思ったりして楽しく読めました。