悪逆 の商品レビュー
探偵社で擬態しながら殺人を犯す箱崎と、主に館野(大阪府警捜査一課)と玉川(箕面北署刑事課防犯係)ペアの応酬劇。お互いの目線で語りが変わっていくが、箱崎が残忍な殺しと鮮やかな手口で大金を奪っていく。前半は箱崎の完全勝利で進んでいくのだが玉川の経験豊かで老練な捜査が少しずつ実っていく...
探偵社で擬態しながら殺人を犯す箱崎と、主に館野(大阪府警捜査一課)と玉川(箕面北署刑事課防犯係)ペアの応酬劇。お互いの目線で語りが変わっていくが、箱崎が残忍な殺しと鮮やかな手口で大金を奪っていく。前半は箱崎の完全勝利で進んでいくのだが玉川の経験豊かで老練な捜査が少しずつ実っていくのが面白い。また、箱崎の深淵は本人側から語られないが正体がわかっていき驚かされる。玉川が館野とご飯を食べるときのゆるっとした空気管やコロンボを思わせるかみさんトークがびりびりした内容に良い緩和剤となっていた。最後の最後まで息をつかせぬ展開で、これは映画やドラマになったら面白いだろうなあと感じた。 実際の現場をのぞいているような臨場感がよかった。犯罪者や追い詰める側の内面を掘り下げてあるような話が好みなので★は4つ。 殺害の現場は残忍な表現が多く、性的な犯行現場はないものの、中学校までNGだと思う。個人的に読ませるなら中学生以上で相手を見て判断。
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リアリズムを追求する黒川博行さんの最新長編。いつもながらの大阪を舞台にした警察小説ながら独立した作品。本作がこれまでと少し違っているのは犯人側の視点が場面場面で挿入されている点。しかもその犯人がサイコパスのように感情を排した人間であるため非常に不気味にみえる。殺される人物も社会に...
リアリズムを追求する黒川博行さんの最新長編。いつもながらの大阪を舞台にした警察小説ながら独立した作品。本作がこれまでと少し違っているのは犯人側の視点が場面場面で挿入されている点。しかもその犯人がサイコパスのように感情を排した人間であるため非常に不気味にみえる。殺される人物も社会に巣くう悪者なので余計に恐怖心が煽られる。その雰囲気は推協賞を受賞した名短編「カウントプラン」をほうふつとさせる。地道な警察の捜査の行く末とラストまで痺れる展開が面白い傑作。
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最後までヒヤヒヤ。このまま逃げ切れるんじゃないかと思って。まぁ、そううまくいかれたら困る。内情がわかると裏をかくのもお手のものなのかな。
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犯罪の手順とか、道具屋とか、蛇の道は蛇的な裏社会の流通が、人物像も含めてとても面白かった。 犯人があまりにも用意周到で、後始末まで徹底していたので、この通りにやったら現実でもうまくいくのではないかと思ってしまったくらいだ。 ただ、なぜに短期間に連続して犯行に及んだのだろう。 警察の交渉術はさすがだった。 隠そうとすると、自分の不利益になりそうなことで圧力をかけてくる。そして絶妙な間合いで、聞かれたことに答えれば、他の不都合は見逃すという揺さぶり。これはもう吐いちゃう。 結局、海棠はどうなったのかな。
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マルチ商法や新興宗教の首謀者を狙った連続強盗殺人事件。 痕跡を残さず淡々と犯行を重ねる犯人と、長期化、迷宮入りの懸念を持ちながら地道に捜査を続ける警察。 きっかけを掴んでから一気呵成に犯人を追い詰める捜査側のスピード感がすごい。 最終盤、犯人が逃げおおせて続編の可能性もちら...
マルチ商法や新興宗教の首謀者を狙った連続強盗殺人事件。 痕跡を残さず淡々と犯行を重ねる犯人と、長期化、迷宮入りの懸念を持ちながら地道に捜査を続ける警察。 きっかけを掴んでから一気呵成に犯人を追い詰める捜査側のスピード感がすごい。 最終盤、犯人が逃げおおせて続編の可能性もちらついたが、さすがにそれはなかった。
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しょっぱなから、車の車種とか銃の種類やら羅列されてめっちゃだるい ラッキとかやりすとかなんやねん 殺すときの詳細なんかいらんからもっとリズミカルに展開してハラハラさせて
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クライム サスペンス 文句無し‼️面白い‼️よくできてる‼️ ドラマ化するとしたら 誰が良いだろう。犯人のあまりのカッコ良さに 読み終えるのが さびしくなった‼️
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こいつは驚いた!ラスト4ページまで犯人が捕まらないもんだから、これでどういうラストが待っているんだろう?とハラハラしながら読み終えた。 社会に巣食う悪党たちが次々と殺され、現金やインゴットが盗まれる事件が起こる。犯人は元刑事のエース、箱崎。箱崎は警察の動きを知り尽くしている...
こいつは驚いた!ラスト4ページまで犯人が捕まらないもんだから、これでどういうラストが待っているんだろう?とハラハラしながら読み終えた。 社会に巣食う悪党たちが次々と殺され、現金やインゴットが盗まれる事件が起こる。犯人は元刑事のエース、箱崎。箱崎は警察の動きを知り尽くしているため、その尻尾はなかなか掴ませない。 一方、箱崎を追い詰めていくのは玉川と舘野のコンビ。黒川博行ならではのテンポよい関西弁での掛け合いが楽しく、物語を進めてくれる。 ただ、事件が次々に起こるだけで、なんとなくただそれだけだったかなぁ。犯人や刑事に感情移入するでもなく、淡々と読み終えてしまった。
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感想 強盗シーンよりも警察が地道な足取りで捜査をするシーンが長いが、こちらがとてもリアルに書かれているように感じた。 最後は箱崎が逃げ切れるか〜!?ってやっぱりとなったが、最後まで盛り上がれた。 あらすじ 箱崎は探偵業を隠れ蓑にして世の中の悪党から強盗をする。最初のターゲットは詐欺を行い、金塊を溜め込んでいた大迫。外国人の犯行に見せて殺害する。大阪府警は足取りを追うが手掛かりがないことから捜査は難航する。 二人目は、仮想通貨などの詐欺を行っていた成尾。自宅の壁裏に隠していた現金を奪う。こちらは多数の物証が残されており、大迫とは別の犯人と見立てられ、警察の捜査が進められる。 三人目は滋賀県の新興宗教幹部の田内。覚醒剤を溜め込んでいたところを狙う。偽の隠し場所を教えられ、奪取に失敗する。 四人目のターゲットは、新興宗教教祖の海棠。こちらも覚醒剤の取り引きに絡んでいる模様。 警察は金塊の取り引きや中古車の売買から箱崎にたどり着き、彼が元刑事で警察の捜査手法を熟知してその穴をすり抜けるようにしていたことに気づく。 捜査網がどんどん縮まるも、箱崎は捜査網をすり抜けて、海棠を襲撃し、逃亡を図る。
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久々ので刑事物。分量はかなりありましたが一気に読めました。 捜査の裏の裏を知り尽くした冷酷な強盗殺人犯とそれを地道な捜査で追い詰めていく刑事達。この両者のシーンを時系列で交互に描写するスイッチバック手法が用いられることによってさらに読みやすく、リアリティを持って迫ってくるものがあ...
久々ので刑事物。分量はかなりありましたが一気に読めました。 捜査の裏の裏を知り尽くした冷酷な強盗殺人犯とそれを地道な捜査で追い詰めていく刑事達。この両者のシーンを時系列で交互に描写するスイッチバック手法が用いられることによってさらに読みやすく、リアリティを持って迫ってくるものがありました。 極悪非道な事件に立ち向かう内容にも関わらず、悲壮な感じにはならなかったのは、ひとえにベテラン所轄刑事の玉川と大阪府警捜査一課の舘野のコンビの人間味とユーモア溢れるやり取りによるものかと思いました。
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