三度目の恋 の商品レビュー
三度目の恋というタイトルから、初恋の人と結婚した梨子が夢の中で江戸時代の吉原の遊女として、平安時代の女房として、時を超えても同じ男と恋をしていて、現代でも結ばれたという話なのかと思って読み進めましたが、そんな単純な話では無かった〜。 現代の梨子の意識と昔の女の意識との境目がなく...
三度目の恋というタイトルから、初恋の人と結婚した梨子が夢の中で江戸時代の吉原の遊女として、平安時代の女房として、時を超えても同じ男と恋をしていて、現代でも結ばれたという話なのかと思って読み進めましたが、そんな単純な話では無かった〜。 現代の梨子の意識と昔の女の意識との境目がなく、ぼんやりとつながったりたゆたんでいるような表現が川上弘美先生らしくて、好きな雰囲気でした。 今、大河ドラマでは光る君へで平安時代、来年はべらぼうで江戸の吉原が出てくる予定。こんな世界なのかなと小説で補習&予習できた感じでした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
夢と現実とのあわいで、年の差であったり関係性の変化であったり恋愛における価値観のラインが揺らぐような感覚があった。「今」の私からすれば、高丘さんのような人とのあれこれは、夢の中で恋愛感情を持たない人間とそういう関係になってしまった直後の、誰にも言えないぐらいの気まずさを思い出させる。ナーちゃんだって、小さいころから知ってる女の子に18歳になった途端手出す大人はダメだろ!でもこれらはおそらく意図的な描写で、時代を越えた梨子たちの恋が、不思議なたゆたいを生んでいた。 そして、「家庭的な」というか、家のことに専念して夫の浮気にも殊更には騒ぎ立てない「昭和的な」女であった梨子が、いくつかの時代のいくつかの女として生きる中で、それまでの揺らぎをおさめるように外に出て働く選択をすることも興味深いと感じた。夢の中でのどんなことが現実のどんなことに影響していったのか、具体的なところまではわからないけれど、梨子なりに現実を取り戻そうとする姿は、彼女が「昭和的な女性」という記号的なものではなく、自分の足で人生を歩むひとりの人間であることを強く感じさせた。
Posted by
伊勢物語と絡み合いながら夢で時空を超えていく物語。強烈な面白さではなくて、じわじわと引き込まれてついつい読んでしまった。
Posted by
伊勢物語を理解していれば、 もっと楽しめただろうと思いつつ。 最近の長編は特に、 後半部のぎゅいんと動く、 まさに動く描写のスピンがすごくて、 どうやってこれを生み出すのだろうかと、 川上弘美の内界を考えてしまう。 表紙が大好きなjunaidaであるのも素敵。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読む手を止められない。 でも、噛み締めて読みたい…! 年間100冊以上読む私が「一気読みするのは勿体ない…!」と躊躇するのは初めての体験でした。 と、同時にこれはどんな答えを見出せばいいのか…今でも少し戸惑います。 すっごくカロリーが高い作品であることは間違いないです。 本来「愛しい」という気持ち、「愛」というものは、もしかしたら心苦しいものなのかもしれない。 幸せを運ばないのかもしれない。 けれども、人は「愛」を心に抱くことを辞められず、傷つき、悲しみながら生きていく。 「愛の形」は時代によって変わるけれども、「愛しい」「愛する」という気持ちの本質は変わらず、悲しいものなのかもしれないと思うようになりました。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
莉子がナーちゃん好きすぎて、 ナーちゃんの女関係に最後はショックを受け… でも、魔法で本気の恋愛や憧れ?を経て、 莉子の考え?意識?が成長するいい作品。 伊勢物語アレンジがわかりやすく、 スラスラ読めた。
Posted by
感情は自らの中から生まれ出てくるものなのに、 とらえどころがなく、扱いづらいものです。 人間ってそんなものに振りまわされて 生きているのですね。 感情って実は、 自分のものじゃなくて 本能なのかもって気がします。 本作は伊勢物語をモチーフに書かれたものです。 専業主婦である主人...
感情は自らの中から生まれ出てくるものなのに、 とらえどころがなく、扱いづらいものです。 人間ってそんなものに振りまわされて 生きているのですね。 感情って実は、 自分のものじゃなくて 本能なのかもって気がします。 本作は伊勢物語をモチーフに書かれたものです。 専業主婦である主人公の女性は、 現生と夢で見る時代を同時に生きています。 夢の中で主人公は 江戸時代の吉原遊郭の花魁であったり、 平安時代の姫に仕える女房であったりしますが、 毎夜のように見る夢の中の暮らしがとてもリアルで、 それぞれの時代にどっぷり浸かって生きながら、 同時に現代女性の意識で考えたりもします。 もちろん眠りから覚めれば、 いまの時代を生きるごく普通の女性です。 時代によって価値観や道徳観、 倫理観は随分変わるものですが、 この作品ではそれらを 現代の視点で肯定したり、 否定したりすることをしていません。 主人公が生きた江戸や平安の時代の風俗風習、 その時ともに生きた人たちの姿を通して、 人間の営みの本質が描かれています。 読み終えるのが惜しくなるような本に ときおり出会うことがありますが、 本書がまさにそれで、 一気に読み進めるのではなく、 できるだけ間をあけて、 ゆっくり読ませていただきました。 歴史や古文の授業が いまひとつ面白くなかった理由が わかったような気がします。 歴史の授業では それぞれの時代に起こった出来事、 古文の授業では 古典文法や古文解釈を教わるばかりで、 その時代に生きた人たちに スポットがあたっていませんでした。 歴史は人によって築かれるものなのに。 その時代を生きた人物を深堀すれば、 歴史や古文も もっと興味を持って学べたかもしれません。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
Posted by
これはハードカバーで借りて読んだけど、文庫版になったのでいそいそと買ってきた。河出書房の池澤夏樹=個人編集・日本文学全集で「伊勢物語」の新訳を手がけた経験もあってのこの小説だったのだろうか。
Posted by
いちずに?ほんに、まことにか?へ、くそ、かずら、ばいのりちい、えいわがらくさあい?だらだらしやくねつわおん、ていおんやけどにごちゆういを、なんにつけ、やけだけしおんちやんどくさい、へりくだう、くだらけた、くらい、くおにはーにちいどくさい?へくだまだまだしだらく、ないがらなきなきの...
いちずに?ほんに、まことにか?へ、くそ、かずら、ばいのりちい、えいわがらくさあい?だらだらしやくねつわおん、ていおんやけどにごちゆういを、なんにつけ、やけだけしおんちやんどくさい、へりくだう、くだらけた、くらい、くおにはーにちいどくさい?へくだまだまだしだらく、ないがらなきなきのばいおん?
Posted by
一途な恋、嫉妬、愛する形、うつりゆく気持ち、消えない想い…。 伊勢物語をモチーフに現代、江戸、平安を渡り歩く中で描かれる女性の心を、自分は正確に理解できるわけではない。 ただ、どんな事よりも強く心をとらえて離さない恋なのに、脆さ、儚さをとても感じる。 だからこそ人を想う自身の気持...
一途な恋、嫉妬、愛する形、うつりゆく気持ち、消えない想い…。 伊勢物語をモチーフに現代、江戸、平安を渡り歩く中で描かれる女性の心を、自分は正確に理解できるわけではない。 ただ、どんな事よりも強く心をとらえて離さない恋なのに、脆さ、儚さをとても感じる。 だからこそ人を想う自身の気持ちを大切にしたい。
Posted by
- 1
- 2