「人口ゼロ」の資本論 持続不可能になった資本主義 の商品レビュー
経済学とか苦手だが、わかりやすく書かれていた。数字はやっぱり苦手だけど。 人口減はわかりきっているのに、表面的な対策ばかりで一向に改善されない。それどころか少子化は進むばかりだ。 富める者はどんどん富み、貧しい者はどんどん追い込まれる。資本主義は貧しい人たちを放置してこそ、成り...
経済学とか苦手だが、わかりやすく書かれていた。数字はやっぱり苦手だけど。 人口減はわかりきっているのに、表面的な対策ばかりで一向に改善されない。それどころか少子化は進むばかりだ。 富める者はどんどん富み、貧しい者はどんどん追い込まれる。資本主義は貧しい人たちを放置してこそ、成り立つものなのか。はー 資本主義に変わる政策に、急には無理だから、徐々にでも転換していくべきなのに、そうなってるとは思えない。権力を持った人たちも、自分が生きている間はなんとか逃げ切れると思っているから、目先の自己利益だけを追求し、庶民にはやってる感だけを示す。 子育て現役の人たちの施策を充実させればさせるほど、お金がなく結婚もできない人たちからの搾取が酷くなる、というところはわからなくもないのだが、すでに生まれて来た子供を確実に真っ当な大人にするというのも、やはり重要であろう。
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昨年(2023)の年末から読み始めたことになっていますが、読みかけて放置されていたものをGWの部屋のお掃除で発掘しました。読みかけの部分まででレビューを書こうとしましたが、面白そうな内容だったので本日残りを読み終えました。 タイトルにある「人口ゼロ:とは、現在の人口を維持する必...
昨年(2023)の年末から読み始めたことになっていますが、読みかけて放置されていたものをGWの部屋のお掃除で発掘しました。読みかけの部分まででレビューを書こうとしましたが、面白そうな内容だったので本日残りを読み終えました。 タイトルにある「人口ゼロ:とは、現在の人口を維持する必要な出生率(2.07)を上回らない限り、遅かれ早かれ人口は是疎になっていくということを示しています。これまで日本人を含めて、氷河期などで何度も人口減少という危機を乗り越えてきたので絶滅することはないとは思いますが、今と同じような生活が徐々に送れなくなるという覚悟はする必要があるように思いました。 思い起こしてみると、私が小学低学年の時に日本の人口が1億人を越えて人口がどんどん増えて、年金制度が拡充された時、当初は余った予算をどう使うべきか頭を悩ませていたと思います。今は別の悩みがあり、常に課題を探して議論することは大事なことのように思いました。 以前は男(夫)が金を稼いで、女(妻)が、毛底を守り子育てをしていました。私の両親がそうだったので、そのスタイルはその時代に適していたもので、それを否定するものではなく両親には感謝しています。今は、当時とは状況が変わったので(私が妻と一緒に子育てしてきた時と今との比較)娘たちには彼女たちの考え方を尊重したいと思っています。この本を読んでそのような思いを感じました。 以下は気になったぽいんとです。 ・韓国、香港、台湾の合計特殊出生率は日本より低いが、日本が深刻なのは、今後に子供をもうける潜在的な人口層である0−14歳や、現役の15−64歳の厚みでは、日本の方が圧倒的に縮小しているからである(p24) ・非婚化の進行については、29歳までに結婚する男性の比率が1990年の34.9%から、2020年には27.1%に縮小、女性も、59.6%から38.6%へ少数者化している。39歳まで延長しても、80.9→65.5、92.5→76,4%に低下している(p32)30年ほど前までは、男性の場合、50歳までに結婚しないことは殆どあり得ない状況であったが、今では25%である(p39) ・人間は利益で行動する、従って、子供の数の選択行動についても、やはりこの考え方で、つまり、教育費を含む子育てコストと親の所得、子供の効用という3者の関係をめぐるモデルで説明されることになる(p55) ・欧州諸国の、外地を開発の対象としてみて様々なインフラ建設に一生懸命の日本や中国とは対照的である。フランスのODAのほとんどはフランス語を教えるために使われている、これは事実上のフランス植民地として支配続けることを目的としているし、彼らがフランスにきて有効な働き手となるためのトレーニングにすぎない(p89) ・そもそも下人は奉公人として家庭を持てなかった人々がいて、貧困になるほど有配偶率が低くなる、この現象は歴史を遡っても見られる(p104) ・1)室町後期までは、荘園経済の停滞、2)室町後期〜江戸前戯、次男以下、隷属農民の排出、小農自立+皆婚化、3)江戸後期、武家・地主・富農の人口増、隷属農民・非農業人口の停滞、4)近代、少子化による農村の人口増、工業発展による都市人口増加(p102) ・夫婦のどちらか一方しか正規労働者になれないという事情、従って家事労働の一切が妻に課せられるという事情は、資本側が異常に強いという特殊な労使関係によって決められている(p122) ・日本のパワーは末端職場の仕事のクオリティであると表現されている、末端労働者にもちゃんとした賃金が支払われ、有り余る能力がつけられることによる見えない生産力がある(p150) ・資本主義は、その始まりは本質的に低賃金で働かせる労働者群を必要としており、経済格差は最初から必要事であったということになる(p152)それぞれの先進国は外国人を安価な労働力としてしか考えていないので、思い切り低賃金とする、すると国内で彼らと競合する底辺労働者層は困る、それにつられて低賃金で働くことになる、人口減→労働力不足→外国人労働者への依存、という負のループになる(p156) ・大卒女性が産む子供の数が19年ぶりに増加したことが明らかになった、有配偶者に限った場合の出生率が1990年以来上昇し続けている(データは2010年まで)(p180) 2024年5月31日読破 2024年5月31日作成
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人口減少が続く日本の現状、今後について、マルクス経済学を用いて論じている本。前半の日本の人口減少の原因分析については興味を持って読み進められたが、マルクス経済学の人口論に入ってからついて行くのがキツくなったのが本音。経済学の勉強をサボったのがいかんかったかな。
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マルクス経済学における人口論を根底に、現在日本が抱える人口減少の原因を探っていく。 個人的には「個人の選択、利益」の総和が、まわりまわって「個人の不利益」になるロジックや、欧米の外国人労働者問題ははるか昔からの歴史的背景があること、そして生命の再生産という捉え方がとても勉強になっ...
マルクス経済学における人口論を根底に、現在日本が抱える人口減少の原因を探っていく。 個人的には「個人の選択、利益」の総和が、まわりまわって「個人の不利益」になるロジックや、欧米の外国人労働者問題ははるか昔からの歴史的背景があること、そして生命の再生産という捉え方がとても勉強になった。 なぜ結婚しないのか、なぜ子供が欲しいと思わないのか、様々な要因が絡み合うが、いま一つの答えとして日本の抱える貧困という問題が注視されていることは、本書でも例外ではない。国が言う異次元の少子化対策はもちろんやったほうがいいが、なんか違う感が世間を覆う。この先の日本に不安を覚える。
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※このレビューにはネタバレを含みます
なぜ資本主義は行き詰るのか。「人口」という切り口から資本主義とマルクス主義の違いとサステナビリティを描く。 資本主義は搾取を前提としたシステムで西欧諸国は大航海時代からそれを営々と続けてきた。社会の下層に貧困層がいる、という前提で社会の富裕層(資本家)は儲けられる。貧困層がいなくなれば移民で補う。 いまさらだが、欧米諸国がマルクス主義を蛇蝎のごとく嫌うのが再認識される。そりゃ、マルクス主義の旗印である平等が実現してしまったら…儲けられなくなる…! 本書ではシンプルだが根本的な質問が投げかけられる。人口が減っていくのは、子をなそうとしてもできない層が増えているから。前出の搾取される側に当たる層だ。そこにメスを入れないと資本主義…どころか社会、国家が維持できない。 そこでその世界を救うのがマルクス主義、というのが本書の主張。 斎藤幸平氏の「人新世の資本論」ではサステナビリティという切り口から問題の解はマルクス主義、としたがこの本でも。
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人口の減少と経済成長 経済格差からくる「生命の再生産」の阻害 戦前や戦後は地方の耕作従事者を東京なとの都市へ供給することで、労働力を賄ってきた。地方が先細り、日本国内で将来の労働力を得ることができない場合、海外に活路を見出すことになる。 日本の成長率が圧倒的であった時代は外貨を求...
人口の減少と経済成長 経済格差からくる「生命の再生産」の阻害 戦前や戦後は地方の耕作従事者を東京なとの都市へ供給することで、労働力を賄ってきた。地方が先細り、日本国内で将来の労働力を得ることができない場合、海外に活路を見出すことになる。 日本の成長率が圧倒的であった時代は外貨を求めて日本まで出稼ぎに来る労働者が多かった。 現在、円安や各国の最低賃金を見ても、日本のメリットは大きく減り、国内でも労働力の確保が難しくなる 改めて人口を維持して労働力を確保することは、長期的な国家的な視点で見る必要があるのだと感じました。 4万円の減税還付という一時的なカンフル剤で、どうにでもなるものではないなと。
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