実力も運のうち 能力主義は正義か? の商品レビュー
やはりサンデルは良い。たとえ全編そうでなくとも、自分では辿り着けないいくつもの見解に出会うことができる。 例えば、第2章の「能力の道徳の歴史」は、Dトランプ的自力志向や、日本の無宗教性ゆえの自己救済などに思いを寄せることができる「宗教的教養」を提示している。
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気づきを与えてくれる1冊。才能を伸ばす、努力する、成果を上げる、報酬を貰う、他人から讃えられる。現代の能力主義の日本で生きていたら当たり前ことを根本から考え直せます。個人的にはトップの成功者ほど、「実力も運のうち」な事に自然と気づけている気がします。その証拠に超富裕層はフィランソ...
気づきを与えてくれる1冊。才能を伸ばす、努力する、成果を上げる、報酬を貰う、他人から讃えられる。現代の能力主義の日本で生きていたら当たり前ことを根本から考え直せます。個人的にはトップの成功者ほど、「実力も運のうち」な事に自然と気づけている気がします。その証拠に超富裕層はフィランソロピー(社会貢献活動)に関心が強い人が多い(お金を使い切れないというのもあるが)。SNS等で成功者ぶった人を見ても、この本を読んだ後だと幼稚に見えて、精神が乱されず、本質を見抜くことに繋がります。
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成功や失敗が単に個人の努力や能力だけでなく、運や環境の影響を大きく受けていることに気づかされた。私たちはしばしば、「努力すれば報われる」という信念に基づいて、成功者を称賛し、失敗者に自己責任を負わせる傾向があるが、この考え方には盲点があるというサンデルの指摘は、価値観を見直すきっ...
成功や失敗が単に個人の努力や能力だけでなく、運や環境の影響を大きく受けていることに気づかされた。私たちはしばしば、「努力すれば報われる」という信念に基づいて、成功者を称賛し、失敗者に自己責任を負わせる傾向があるが、この考え方には盲点があるというサンデルの指摘は、価値観を見直すきっかけとなった。 特に印象に残ったのは、教育や経済システムが不平等を助長し、一部の人々に有利な立場を与えているという点。社会において成功を手にするための機会が平等でないことは、実力主義の名のもとに隠されている不公平さを浮き彫りにしている。これに対して、どのように公正な社会を構築していくべきか、考えるべき課題は多いと感じた。 また、自身の生活においても、「成功は自分の努力の結果だ」という自己満足に陥っていないか、あるいは「失敗はその人自身の責任だ」と他者を過度に厳しく評価していないかを省みる機会となった。
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著者曰く、昨今米国内で起きてる分断の要因は、メリトクラシーからなる学歴格差であると説く。 クリントン元民主党代表がトランプに大統領選で負けた要因を米国内におけるメリトクラシーによる分断と米国がどのようにしてメリトクラシーによる価値観が強固となった歴史を紐解きながら哲学している。
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著者が哲学者だけあって正直言い回しが難解でわかりにくかった。 ただ伝わってきたのは、人間はそれが身体的なものであれ経済的なものであれ持って生まれて得たものにかなり左右される事。 著者もいろいろ提案してるけどそのうちの何割かでも世に(主に大学に)適用されれば良いな。
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『それをお金で買いますか』と合わせ読み。 普段、正義に反するなぁとボンヤリ考えていることを、正面から論じている。 いまとなっては教授の指摘が先にあって、私の思考があとからついてきたのか、私の頭のなかの思考を、この本が言語化したのか分からなくなっているけれど、論理と言語で整理するこ...
『それをお金で買いますか』と合わせ読み。 普段、正義に反するなぁとボンヤリ考えていることを、正面から論じている。 いまとなっては教授の指摘が先にあって、私の思考があとからついてきたのか、私の頭のなかの思考を、この本が言語化したのか分からなくなっているけれど、論理と言語で整理することは大切。
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誰にでも平等に機会が与えられているが故に 学歴が高い人は努力した人 学歴の低い人はチャンスがあったのに掴まなかった人 といった評価がなされる。 身分制度があった頃は、自分の不遇な境遇を制度のせいにできたが、能力主義の現代では、自分の不遇を自分のせいにできてしまう。 それが昨今のエ...
誰にでも平等に機会が与えられているが故に 学歴が高い人は努力した人 学歴の低い人はチャンスがあったのに掴まなかった人 といった評価がなされる。 身分制度があった頃は、自分の不遇な境遇を制度のせいにできたが、能力主義の現代では、自分の不遇を自分のせいにできてしまう。 それが昨今のエリートとブルカラーの軋轢を生むというのは納得である。 とはいえ、学歴の高い人は経済的に恵まれた家庭である傾向が高く、そもそも努力できる力というのも先天的なものである可能性も高い。 それなのに、学歴の高い人はあたかもその個人の努力だけで勝ち取ったと評価し、恵まれた職業につけるようなシステムは、それこそ差別的と感じる。 必要なのは、低賃金への人への金銭的サポートではなく、敬意である。 清掃員だってスーパーの店員だって、大工だって、どんな職業も必要で尊敬に値することがわかっているのであれば、給料をもっと均等にしたら良いのではないか。 一方、資本主義社会ではそれも難しいことは承知である。なかなか難しい問題であり、引き続き考えていきたい。
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ハーバード白熱教室をテレビ番組で観た後なのに理解力不足故に読みづらく、読了にひどく時間がかかってしまった。アメリカン・ドリームは今や夢物語になっているんだなぁ。答えの出ない議論に皆何を求めているのだろう。結局は、謙虚であることが全てなのに。
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ぼくたちはもちろん社会の中で・他者との関係の中で自分自身を確認して折り合いをつけて生きていく(「相対的に賢い」「相対的に不得手がある」などなど)。そうした個人性・相違が存在することにこそ人のかけがえのなさが保証されているとさえ言える(ぼくは本気で言っている)。だが、そうした要素に...
ぼくたちはもちろん社会の中で・他者との関係の中で自分自身を確認して折り合いをつけて生きていく(「相対的に賢い」「相対的に不得手がある」などなど)。そうした個人性・相違が存在することにこそ人のかけがえのなさが保証されているとさえ言える(ぼくは本気で言っている)。だが、そうした要素に不条理を感じるのも人の常というもの。「なぜあいつより劣っているのか」とか。そんな劣等感・不平等を個人の努力だけでなんとかさせるのではなく、社会的な制度や政治思想といったバックボーンから改善していくことを本書は説いていると受け取った
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※このレビューにはネタバレを含みます
実力も運のうち。 運が良い過程の育ったなら、実力も高くなる。 特に学歴は家庭の所得と大きく関係している。 機会は均等に与えられているとされているが、実際なスタート地点が違うのだから同じではない。 高学歴者と低学歴労働者との間の格差が広がり、それがアメリカではトランプの当選につながったと説明されている。 アメリカの現状がとてもよく分かった。
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