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2024/10/19

だれかの人生はわたしのものではないし国のものでも法制度のためにあるものでもない 一般化できない異なる事情を全員が抱えているし、その事情がどういうものか、その人の状況とまったく同じに再現することも理解することも不可能だし実際の気持ちはその本人にしかわからない 罰は類型化できても...

だれかの人生はわたしのものではないし国のものでも法制度のためにあるものでもない 一般化できない異なる事情を全員が抱えているし、その事情がどういうものか、その人の状況とまったく同じに再現することも理解することも不可能だし実際の気持ちはその本人にしかわからない 罰は類型化できても罪はできないのと同じように、人生は類型化できても死は個別案件すぎるのにな

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2024/10/04

シーラッハと酒井氏の訳、最高ですね。 テーマや扱う内容が重いだけにその実直な表現が考えさせられます。 この本の物語としてはまぁそうだろうなぁという結末なのですが、そこも着実に。 年老いたけれども健康で社会的立場にも恵まれた一人の男性が端を発すること。 ありえない設定だけど人として...

シーラッハと酒井氏の訳、最高ですね。 テーマや扱う内容が重いだけにその実直な表現が考えさせられます。 この本の物語としてはまぁそうだろうなぁという結末なのですが、そこも着実に。 年老いたけれども健康で社会的立場にも恵まれた一人の男性が端を発すること。 ありえない設定だけど人としてのテーマを掘り下げてくれています。

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2024/07/27

自殺を考えたことがある人間としては安楽死が制度化されることは反対という立場で本作を読んでいた。 問題を提起したおじいさんの弁護士の言葉には一理あると思いつつもとてもイライラさせられた。 というのも、私は手段も場所も選んで実行しようとしたことがある。ただし、実行することはできなかっ...

自殺を考えたことがある人間としては安楽死が制度化されることは反対という立場で本作を読んでいた。 問題を提起したおじいさんの弁護士の言葉には一理あると思いつつもとてもイライラさせられた。 というのも、私は手段も場所も選んで実行しようとしたことがある。ただし、実行することはできなかった。自殺を考えるまでとそこからでは必要な精神力がまるで違った。死にたいけれども、実際に死んでしまった際に悲しむだろう人たちの顔が浮かんでくるものだ。だからこそ、実際に死ぬ部分のハードルを他人に託すことはとても恐ろしいことに思える。それに、人を殺すという業の深いことを他人にやらせるというのも罪深いことに思える。 解説に書かれていた日本と西洋での安楽死への考え方という部分で個人の権利に対する考え方が違うという話をされていたが、こちらには作中で書かれていたキリスト教としての考え方よりすんなりと受け入れられた。

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2024/03/03

最近気づいたシーラッハの新作。 タイトルから別の話を想像していたのですが、主題は「臨死介助の是非」でした。「自死選択の是非」ではなく。 法学、神学、医学の観点からそれぞれ意見を求め、戯曲なので、観客に最終判断を委ねる…「テロ」の時と同じ手法。 個人的には、なしであってほしいで...

最近気づいたシーラッハの新作。 タイトルから別の話を想像していたのですが、主題は「臨死介助の是非」でした。「自死選択の是非」ではなく。 法学、神学、医学の観点からそれぞれ意見を求め、戯曲なので、観客に最終判断を委ねる…「テロ」の時と同じ手法。 個人的には、なしであってほしいです。 倫理観は、時代で変わっていくものかもしれないですが、ナチの事例をシーラッハが持ち出していることが、警鐘だと思いたいからです。 この本を読む寸前にジャン=リュック・ゴダールがいわゆる安楽死を選択していた、という記事を読んだこと、また、やはりこの本を読む寸前に読んだアチェベの「崩れゆく絆」の主人公の最期のシーン、など、時折脳裏をかすめなました。 シーラッハ、好きです。 ドラマチックなタイプの書き方ではないのですが、作品のひとつひとつに心が揺さぶられます。 短編と戯曲が特に良いと思います。 酒寄さんの翻訳もすばらしいです。これからもよろしくお願いします。 マイナス一つ星は、やはり書き手として、結論はどうか、が見えないので。でも、それはそれで良いんですけどね(笑)読み手もアマノジャク(笑)

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2024/02/04

欧米の近代的な自由の理念や自己決定権とキリスト教のせめぎ合いが、安楽死の問題を舞台に、抜き差しならない形で展開する。これは、思考実験とかではなく、まさに今、ドイツで起きていることと言っていい。ドイツ連邦議会が2015年に自死の介助を罰する法を制定したのに対して、ドイツ連邦憲法裁判...

欧米の近代的な自由の理念や自己決定権とキリスト教のせめぎ合いが、安楽死の問題を舞台に、抜き差しならない形で展開する。これは、思考実験とかではなく、まさに今、ドイツで起きていることと言っていい。ドイツ連邦議会が2015年に自死の介助を罰する法を制定したのに対して、ドイツ連邦憲法裁判所は2020年にそれを違憲としたのだ。西欧でここまで法的に安楽死を認める流れになっているとは知らなかった。

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2024/01/27

 個人的に大好きなドイツの作家フェルディナント・フォン・シーラッハ。いつもながらに難しいテーマを今回も取り扱っている。そのテーマは「神との関係性における安楽死」。キリスト教信者のみならず、他の宗教信者に対しても、安楽死の本質とは何かを問いかけている。われわれ日本人が「神」から推察...

 個人的に大好きなドイツの作家フェルディナント・フォン・シーラッハ。いつもながらに難しいテーマを今回も取り扱っている。そのテーマは「神との関係性における安楽死」。キリスト教信者のみならず、他の宗教信者に対しても、安楽死の本質とは何かを問いかけている。われわれ日本人が「神」から推察できる事は何か。西欧諸国がとらえる「死ぬ権利」について、日本人が同じ土俵で語る事は難しいという現実を読んでいて感じざるを得なかった。それにしてもシーラッハ作品を扱う酒寄氏の翻訳はいつ読んでも爽快である。

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2024/01/07

戯曲形式で自死の問題を議論する書籍。高齢化が進むなか、自分も100歳を超えて自力でご飯が食べれなくなったらどう考えるかなと思っていた。本作品は78歳で妻に先立たれた人が医師による自死を求めて訴えるという内容。自分が思っていた対象とは少し異なるが、一度認められるとどんどん拡大解釈さ...

戯曲形式で自死の問題を議論する書籍。高齢化が進むなか、自分も100歳を超えて自力でご飯が食べれなくなったらどう考えるかなと思っていた。本作品は78歳で妻に先立たれた人が医師による自死を求めて訴えるという内容。自分が思っていた対象とは少し異なるが、一度認められるとどんどん拡大解釈され、優性思想が蔓延りかねない。また、本書は著者がドイツ人のため、自死してはいけないという意見は宗教的な面から議論されていてそれも日本とは異なる状況だった。あとがきに記されていたがまずは日本独自の死生観を議論することが大事だと思う。

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2023/11/18

テロ、が衝撃作で舞台も興味があり、それと同じような感じかな?と読み始めた。 宗教観なんかが色濃く反映されるので、意見がまとまることはないと思うんだが… 「困惑するかもしれませんが、法的には生きることは義務ではないのです。」 というセリフにああそうだなと首肯。 後半のケラー倫...

テロ、が衝撃作で舞台も興味があり、それと同じような感じかな?と読み始めた。 宗教観なんかが色濃く反映されるので、意見がまとまることはないと思うんだが… 「困惑するかもしれませんが、法的には生きることは義務ではないのです。」 というセリフにああそうだなと首肯。 後半のケラー倫理委員のセリフが一番入ってきた。 「〜しかし人間は愛情、保護を必要とし、共同体に依存しています。わたしたちが生まれてから死ぬまでに相互に頼ることはないと主張するのは無理があるでしょう。たしかに生きる義務はありません。〜しかし本来、わたしたちは社会的な生きものなわけですから、死を望む者が死ぬ手伝いをするのではなく、その人を抱きとめ、翻意するように働きかけることは必要不可欠です。そういう心根はわたしたちの法と憲法よりも古いものです。それによってわたしたちの共同体ははじめて成り立つのですから、法よりも上位のものといえます。〜」 長文だが、是非お読みいただきたい。

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2023/10/29

安楽死についてのドイツの戯曲。 テンポよく読める。アメリカの法廷ドラマを見て法律を全く知らないのに弁護士の論破が面白く感じるアレである。 しかし本題の安楽死は、P165の解説にもあるが、西洋的価値観について日本人が同じ土俵で語ることは難しいという現実がある。 だから日本人からする...

安楽死についてのドイツの戯曲。 テンポよく読める。アメリカの法廷ドラマを見て法律を全く知らないのに弁護士の論破が面白く感じるアレである。 しかし本題の安楽死は、P165の解説にもあるが、西洋的価値観について日本人が同じ土俵で語ることは難しいという現実がある。 だから日本人からすると違う世界の話であり、理解できない神学論争的なものでもあり、ある意味どうでもいいものである。 誰もが納得できる「良き死」など、実際はどこにも存在しないのではないだろうか。

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2023/10/29

戯曲の作りで、自死の幇助についての討論会という内容。 戯曲と言えばファウストのようかと思ったら、とても読みやすくすぐに内容に入り込んで行けました。 死にたいと考える人の気持ち。そしてそれを手助けするのはどうか。手助けした後のこと。自死の方法やその周囲への影響。 とても考えさせら...

戯曲の作りで、自死の幇助についての討論会という内容。 戯曲と言えばファウストのようかと思ったら、とても読みやすくすぐに内容に入り込んで行けました。 死にたいと考える人の気持ち。そしてそれを手助けするのはどうか。手助けした後のこと。自死の方法やその周囲への影響。 とても考えさせられるものでした。 小説とは違う角度からとても読みやすく問題提起され、私の深い部分に波紋を残しました。 きっと皆さんの心にも、何か考えさせられるものが残るのではと思う作品でした。

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