存在のすべてを の商品レビュー
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本屋大賞2024第3位。 第9回渡辺淳一文学賞受賞。 いきなり2児同時誘拐という手に汗握るシーンが続き、謎の結末を迎えて、、。 その後の、癖のある警察と記者の友情話?? なのかなと思い、のろのろ読んでいたけど、 画家が主体になるとグッと引き込まれていった。 ここからは⭐︎5 未知の世界の裏側に驚愕。憤慨。 突然、事件に巻き込まれて子供との生活を余儀なくされるも、1つ1つのエピソードが微笑ましく、応援しながら読み進めた。 この親子の行く末が心配で心配で。 案の定、別れのシーンに号泣、、完全に親子。 画家としての才覚に親子以上の絆を感じた。
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30年前の誘拐事件から始まる。記者が、事件の足跡を追う前半は、かなり退屈だが、後半、誘拐された子どもと育てた夫婦のことが明らかになるあたりから、不器用だけど愛の溢れる夫婦、健気な子ども、気の良い支援者などの登場人物も良くて惹きつけられた。ネットで何でも済ますことができ、実在や存在...
30年前の誘拐事件から始まる。記者が、事件の足跡を追う前半は、かなり退屈だが、後半、誘拐された子どもと育てた夫婦のことが明らかになるあたりから、不器用だけど愛の溢れる夫婦、健気な子ども、気の良い支援者などの登場人物も良くて惹きつけられた。ネットで何でも済ますことができ、実在や存在が大切だということなんだね。主人公の写実絵も、そのことに関連してるんだね。
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丁寧に書かれている大作でした 登場人物それぞれの生き方や雰囲気もわかりやすかったです それゆえに自分が興味を抱くタイプの小説ではないのが前半でわかってしまい、途中からちょっと読むのが大変でした タイトルの格好良さから抱いていたイメージとは違った感じでした
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私の苦手なミステリー…こんなに分厚くて読み切れるか、と躊躇したものの、どうやら画家や画廊といった美術も絡むとわかり、スイッチオン! 中盤から惹き込まれて一気読み。 誘拐事件の謎に迫る内容でありながら、私には美術界や報道のあり方に焦点を当てた作品だと思う。 我が息子が美術系に進...
私の苦手なミステリー…こんなに分厚くて読み切れるか、と躊躇したものの、どうやら画家や画廊といった美術も絡むとわかり、スイッチオン! 中盤から惹き込まれて一気読み。 誘拐事件の謎に迫る内容でありながら、私には美術界や報道のあり方に焦点を当てた作品だと思う。 我が息子が美術系に進学していることから、息子に見せられて写実の絵画を目にする機会がある。素晴らしい作品はやはり写真のようで写真ではなく、モチーフと背景のバランスを見事に捉え、モチーフの存在感が引き立っていると感じる。 「これから世の中がもっと便利になって、楽ちんになる。そうすると、わざわざ行ったり触ったりしなくても、何でも自分の思い通りになると勘違いする人が増えると思うんだ。だからこそ『存在』が大事なんだ。世界から『存在』が失われて行くとき、必ず写実の絵が求められる。それは絵の話だけじゃなくて、考え方、生き方の問題だから」 30年前に語られたこの貴彦の言葉がすべて。 「存在のすべてを」というタイトルに込められた、著者の想いが伝わってくる。 世の中はメタバースの世界に向かいつつあるけれど、やはりすべての物事は確かな「存在」に裏付けられてこそ、人々に感動を与えるのでは思う。 いくら画面越しに素晴らしい絵画や動画を見せられても、どうしても存在感は得られないし、虚無感すら憶える。 存在のすべてを現すような作品にこれからも出会いたい。 そして、報道のあり方だ。 門田はなぜブンヤをしているのかについて自問していた。 報道する者がどのように何を人々に伝えるかは、関係者の人生を大きく左右する。 門田のように、最後まで諦めずに取材し真実を掴み取ることができた者だけが物書きとして認められる、そんな世の中であってほしいと願う。 そして、きっと彼のような物書きによって救われる人がきっといた、そう信じたくなるような結末だった。
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おすすめの本は?と聞かれたら間違いなくこの本をおすすめします。 ただし、少し分厚いので、その見た目に負けないひと限定です。笑
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序盤、スピーディな誘拐事件で引き込まれた。 その後、主人公を変えながら一章ずつ物語が進んでいく。 元々絵画には疎いのだが、絵画を通して道を辿っていくようなストーリーは、一言一句大切に読み進めたいと思った。 そして終盤、『空白』が明らかになり、何とも言えない気持ちのまま、『再会...
序盤、スピーディな誘拐事件で引き込まれた。 その後、主人公を変えながら一章ずつ物語が進んでいく。 元々絵画には疎いのだが、絵画を通して道を辿っていくようなストーリーは、一言一句大切に読み進めたいと思った。 そして終盤、『空白』が明らかになり、何とも言えない気持ちのまま、『再会』で落ち着く。 どの章もひとつも欠かすことなく大切で、長編ではあったが登場人物それぞれの感情に引き込まれ、一気に読んだ。 読後は幸せ…というより安堵に近い。 一言で表すならば『再生』だろうか。
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読み応えのある一冊。 実際にあった事件なのかと思わせるような臨場感のある雰囲気を感じた。著者の事前の調査がかなり入念にされたものかと感じた。 登場人物が多く、初めは読みづらさを感じたが、読み進めるにつれて相関関係が明らかになっていった。 偶然が重なり出来上がった人間関係の中、最後...
読み応えのある一冊。 実際にあった事件なのかと思わせるような臨場感のある雰囲気を感じた。著者の事前の調査がかなり入念にされたものかと感じた。 登場人物が多く、初めは読みづらさを感じたが、読み進めるにつれて相関関係が明らかになっていった。 偶然が重なり出来上がった人間関係の中、最後は人の深い愛情を感じて、読了後も本の世界からしばらく離れられなかった。
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久々に読後感がなんとも言えない作品と出会いました。最初は、ミステリー小説?と思って読み進めていましたが、もう終盤にかけて感動、涙でした。上手く感想書けないけど、実写化希望。
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※このレビューにはネタバレを含みます
2024.11.05 意図しないところで自分が犯罪の当事者となったとき、他人は後講釈で「自首すればよかったのに」とか、「すぐ警察に相談すれば良かったのに」とか言うだろう。そしてそれは宝くじ「正しい」のだろう。 しかし、人はそれほど冷静かつ正しい判断ができる存在だとは思えない。私が本作の登場人物だったらもっと賢い判断ができたと言い切る自信はない。 人は性善説、性悪説に分けて考えることが多いが、私は「性弱説」を取る。どれだけ「賢い」「頭が良い」「良い」人間であったとしても、こうした「巻き込まれ」事件への対応はうまくとれないのではないだろうか。そういった意味で人間を見つめて描かれている本作を高く評価する。
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ジャーナリストってこんなに警察以上にしつこく事件を追うものなの?って『罪の声』を読んだ時も思いました。粘り抜く姿勢に脱帽。意図せず犯罪に巻き込まれてしまった人々の人生が哀しいです。
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