訂正可能性の哲学 の商品レビュー
・クリプキによるウィトゲンシュタインの言語論の読みなおし:あらゆる規則、意味の一貫性は、それを生み出した行為に依存して、未来の他者に遡行的に産出されるものに過ぎない。 →規則や意味の一貫性なるものが、人が誰を仲間だと思うか、それぞれの共同体の境界を決める判断と不可分に結びついてい...
・クリプキによるウィトゲンシュタインの言語論の読みなおし:あらゆる規則、意味の一貫性は、それを生み出した行為に依存して、未来の他者に遡行的に産出されるものに過ぎない。 →規則や意味の一貫性なるものが、人が誰を仲間だと思うか、それぞれの共同体の境界を決める判断と不可分に結びついている。 ※「家族」を、ウィトゲンシュタインの言語ゲームに参加するプレーヤーの共同体と定義するには、参加と排除のハードルが異なるのでは。 ・固有名は、その定義を遡行的に訂正することができる。 ・人間はそもそも、理想社会の到来にそれが理想社会だというだけの理由で反抗することができる、そういう厄介な存在だということである。 ・アルゴリズム的統治性は個人の固有性を認めない。
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家族、制作について興味があり手に取った。 第一部は興味深かった。 ちょうど「M-1の審査員を、その大会で実績を残した人たちで構成するのは不健全ではないか」というコメントがあり、訂正可能性と持続可能性について言っていたのかなと考えていた。 p61 外部からの参加を排除したままだと滅びる p84 当事者ではない問題についても、訂正されるとわかっていても関わる勇気を持つ p88 誤配と訂正の連鎖こそ人生 p105-108 同じ人間だからという概念は大きすぎて、わたしたちという共感は持てない。でも「わたしたち」の範囲は修正し拡張できる。 →希望を感じた。
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面白かった。訂正する、ということの価値・意味を、素人にも非常に分かりやすく示してくれている。 ウィトゲンシュタインの言語ゲームから始めて、人のコミュニケーションが元々持ち合わせている性質からstraightforwardに訂正可能性の意義を見出し、それを公共性や民主主義、政治と結...
面白かった。訂正する、ということの価値・意味を、素人にも非常に分かりやすく示してくれている。 ウィトゲンシュタインの言語ゲームから始めて、人のコミュニケーションが元々持ち合わせている性質からstraightforwardに訂正可能性の意義を見出し、それを公共性や民主主義、政治と結びつけながら、ルソー、あるいは一般意志の解釈へ繋げていく流れが非常に明瞭。個人的には、こうした文脈の中で2010年代を思想史的に位置付けているのも(思想史というのはもっと発展の時間スケールが長いものだと思っていたので)感心した。
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人は長く一貫性や包摂性を探していき続ければ、直感的には本書で編まれた言葉の場所に辿り着く、そんな普遍性と、これまでの哲学者が見てきたものと東浩紀が見ているものが大変強靭な論理性で結ばれて、何度も頷いてしまった。素晴らしかった。
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人間は常に誤りを犯しうる存在である。したがって絶対的かつ不変な正義は存在し得ないし、そうした正義の実現に向かって歴史が収束していくという世界観は幻想にすぎない。私たちに必要なのは「常に正しくあること」ではなく、「間違っていたときにそれを正せること」つまり訂正可能性なのだ。
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第一部は「家族」という言葉を使って社会を説明しようとする試み、第二部はコロナ禍以降の社会の変化を考慮に入れて民主主義の在り方を再考する試み、という風に読みました。 第一部がやや抽象的・概念的な議論なのに対し、第二部の方が具体的な話が続くので、読みやすいのは第二部かな。 タイト...
第一部は「家族」という言葉を使って社会を説明しようとする試み、第二部はコロナ禍以降の社会の変化を考慮に入れて民主主義の在り方を再考する試み、という風に読みました。 第一部がやや抽象的・概念的な議論なのに対し、第二部の方が具体的な話が続くので、読みやすいのは第二部かな。 タイトルが「訂正可能性の哲学」だけど、言うほど「訂正」というものがキーワードになっているようには思えなかった。 過去の理論を訂正しながら改善していくというのは学問として当然のことというか、別にこの本じゃなくともあらゆる本でやっていることなので、無理にそれをタイトルにしなくてもよかったのでは?感がある。 各所で絶賛されているし、このブクログにも高評価が並んでいるけど、言うほどかな〜と思ってしまいました。 そこまで真新しいこととか核心をついたようなことは言ってないと僕には思いました。
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正義も真理も愛もない。自我も美も自由も国家もない。すべては幻想。そして過去の哲学を「訂正」するのが哲学。 本書では家族葬と訂正可能性、一般意志再考という大きなテーマについていくつかの文献にあたりながら論じている。 現在を正しく読み解くにはそれを構成する要素を正しく知る。改めて読書が大切と思うことになった。ほんと若いうちにスラスラ読めるようになっておくべき。
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詳しい書評はあとで記す めっちゃ面白かった。論理の展開や回収の仕方や、correct-abilityの意味も綺麗に回収していて見事だった。
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硬直した議論が蔓延る日本や世界の思想界では数少ない、思考を柔軟にしてくれる本 「知」の巡りが少しでもよくなることを期待
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訂正する力に挫折していたところ、友人から勧められて読みました。 まだ、一通り目を通しただけですが、訂正する力に比べるとはるかに読みやすい。
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